クルマ界のあらゆる不思議に迫ることで一部でカルト的な人気を誇ったかもしれないベストカー本誌企画「不思議でたまらない」。今回は本企画からクルマの色、ボディカラーにまつわる「フシギ」を深掘り!(本稿は「ベストカー」2014年3月26日号に掲載した記事の再録版となります)
文:編集部
クルマ界に太古の昔より伝わる!? 通説を大検証! 「ブラウン系のクルマは本当に売れない」のか?[復刻・2014年の話題]
【画像ギャラリー】クルマ界に太古の昔より伝わる!? 通説を大検証! 「ブラウン系のクルマは本当に売れない」のか?[復刻・2014年の話題](7枚)
■なぜ茶色のクルマは売れないのか?
ホンダ ステップワゴン
今回の「不思議でたまらない」のテーマは、「なぜ茶色のクルマは売れないのか?」。
昔っから、ブラウン系のクルマは売れないといわれているが、その理由ってなんだろう? 日本で茶色のクルマが普及しない理由をいろいろ調べてみます!
* * *
まずは、優れた色彩のクルマを表彰している「オートカラーアウォード」の実施団体、一般社団法人日本流行色協会に理由を聞いてみた。
「うーん、そうですねぇ。茶色のクルマといえば、2003年に日産マーチからショコラが出て、第6回 オートカラーアウォードのファッションカラー賞を受賞しています。
2003年7月マーチに追加設定された「14s」で登場したボディカラー「ショコラ」
今、クルマに求められているものって“未来”、“エコ”、“新しいエネルギー”といった先進性のあるものですよね。でも、ブラウンはそうしたイメージと対極にある色味。茶色は、土を連想させるカラーですから、色味の調整いかんで田園や田舎といった印象が生まれます。
ブラウンに先進性を加え、都会的にするためには、黒に近づけてクールな印象を作るか、光の効果でゴールドを加える、あるいはチョコレートを思わせる色と質感を持たせるという方法があります。
茶色のクルマがあまり売れない2つめの理由としては、ブラウンは日本人にとって着こなしにくい色だということがあげられるかと思います。
白人の肌の色は、ブラウンと相性がいいのですが、私たちの肌色は黄みよりの茶色系ですので、着こなしには難しさがあるかと思います。ただ、本当にいいものを知っている人は、いい素材でできたブラウン系のものを着こなします。ブラウン系は素材感で見え方が大きく変わってしまうのです。
粋の文化が栄えた江戸時代には、といわれるくらい(編集部注:江戸時代後期、贅沢を禁じる禁止令が出され、庶民の着物の色味は「茶色」「鼠色」「藍色」のみと決められた。江戸の町人は、茶色や鼠色に微妙な変化を持たせてたくさんの茶色や鼠色を創り出した……ってなことから“四十八茶百鼠”という言葉ができたらしい)たくさんの茶色が創り出されました。
なかには、歌舞伎役の名前が付けられた茶色もあります。かぶく(傾く)ことがかっこいい時代が再びやってくれば、ブラウンが流行色となることでしょう。意外と近い将来かもしれませんよ」。
とのこと。ふむふむ。茶色は先進的なイメージから遠いところにあるカラーってわけか。ただし、案外変幻自在で奥が深そうな色でもあるんだなぁっと。
ところで、本当にブラウンカラーのクルマは売れてないのだろうか? メーカーさんに聞いてみた。
トヨタ「ポルテ、スペード、シエンタ、ハリヤー、ヴィッツ、アイシスなどにブラウン系のカラーを用意しております。比率としては、ポルテは全体の11%がダークブラウンマイカメタリックです。アイシスの同色の販売比率は1%です」。
ポルテの販売の11%はブラウン系統のダークブラウンマイカメタリックが占める(画像は別色)
ホンダ「ブラウン系といえば、N-BOXにプレミアムブロンズがあります。あと、N-ワゴンにも茶色系のカラーがあります。販売の割合としては、はっきりいってそれほど多くはありません。N-ワゴンのプレミアムディープモカパールで販売比率8%です」。
スバル「アウトバックにディープチェリーパールという茶色っぽい色味があるのですが、月に50~60台売れる程度。割合にして3%ほどです」。
三菱「RVRにクォーツブラウンメタリックがあります。正直、それほど出るカラーではないですね。このカラーの全体に占める割合は2.6%です」。
メーカーによると確かに茶色のクルマは売れてない。だが、しかし。軽自動車など女性ユーザーが多い車種はちょいと事情が異なるようなのだ……。
ダイハツ「うちでは茶色系は、けっこう人気カラーです。ほとんどの車種にブラウン系のカラーを設定していますし、ミラココアで一番人気のカラーは有料色のプラムブラウンクリスタルマイカです。28%の方がお選びになります。また、ミライースの一番人気の車体カラーも有料色のプラムブラウンクリスタルマイカです」。
ミライースの一番人気のカラーは、有料色のプラムブラウンクリスタルマイカ
スズキ「MRワゴンで一番売れているカラーは、アーバンブラウンパールメタリックという茶色系のものになります。だいたい25%の方がこの色をお選びになりますね。そのほか、アルトやアルトラパン、エスクードでも茶色系は人気があります。ブラウン系を設定しはじめたのは、数年前なのですが、ずっと茶色系は人気がありますよ」。
日産「キューブの場合は、ビターショコラという茶色が、販売比率24.8%で一番売れていますよ。モコも一番人気カラーはアーバンブラウンで、42.9%の方がこの色を選ばれます。その他、スカイライン、NV350キャラバン、エルグランド、セレナのほか、デイズルークスにも茶色系をご用意しています」。
マツダ「茶色系の中でもラディアントエボニーマイカは人気があり、プレマシーをお買いになる方の25%はこの色を選ばれます。キャロルとキャロルエコの場合、20.8%がアーバンブラウンパールメタリックです。なお、フレアにも同じくアーバンブラウンパールメタリックがありますが、販売比率は4.1%となっています」。
プレマシーのメインカラーであり、最も売れているラディアントエボニーマイカ
某社の担当者いわく「軽自動車はセカンドカーという位置づけで購入される方が多いのでカラーで冒険されることが多いのかもしれません。また、女性はクルマを家具感覚で選ばれることがあり、茶色=家具の色といった感覚でブラウン系のクルマをお買い上げになるようです」。
というコメント通り、茶色のボディカラーは必ずしも不人気カラーで売れない、というわけではないようだ。
* * *
下の表にあるとおり、茶色は、実はけっこう上位に入り込んでいる。白、シルバー、黒と違いどんなクルマにも設定される色でないことを考えるとこれは大健闘。
茶色のクルマが売れていないように映るのは日本では白、シルバーのボディカラーがあまりにも突出しているからにほかならない。
自動車色別生産割合
■目玉の色と色の見え方
モコ購入者の42.9%がアーバンブラウンを選ぶそうな。茶色系、大人気!
目玉の色の違いによる、見え方の差異はあるのだろうか? 日本眼科医会に聞いてみた。
「日本人の目玉の色は茶色や黒色、白人のそれは青色だったりしますが、この目玉の色の違いによる見え方の違いはありません。人種間による見え方の差異もありません。また、性別による見え方の違いというものもありません。どこの国の人でも、男性でも女性でも皆、同じように見えています。
しかし、色覚異常の場合は見え方が異なります。赤と緑が混ざっているとき、例えば緑の草の中に赤い花が咲いているような場合に判別しにくいという方が日本人男性の5%、女性だと0.5%くらいいらっしゃいます。
ただ、ものの見え方は多数決みたいな部分がありまして、たまたま今現在、“赤と緑が混ざっていても判別できる”人の方が、判別できない方と比べて人数が多いだけで、この人数の割合が逆転したら、またいろいろ変わってきます」。
■まとめ
白、黒、シルバーほどではないが、車種によっては茶色のクルマも大健闘中!
(写真、内容はすべて『ベストカー』本誌掲載時のものですが、必要に応じて注釈等を加えている場合があります)
投稿 クルマ界に太古の昔より伝わる!? 通説を大検証! 「ブラウン系のクルマは本当に売れない」のか?[復刻・2014年の話題] は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
うるさくて大迷惑だけど捕まえられないの!? 路上で無意味にバイクを吹かす人たち
ホンダ新型「“軽自動車”」初公開! 斬新すぎる「ジト目」の“超かわいい”デザイン採用! めちゃレトロな「N360」モチーフに進化した新型「N-ONE e:」登場へ!
日産「“新型”エルグランド」登場へ! 16年ぶり刷新の“元祖”「豪華ミニバンの王者」復権なるか? 「日産の命運」もかかった“新型登場”で強敵「アルファード打倒」を目指せるのか
通学はもう「命がけ」 酷暑を数キロ、ぐったりする子ども… 町長が“公用車で送迎”を始めた切迫した理由「全国的な課題だ」
戦闘機の名門が「船」自衛隊に提案中!? 日本にピッタリかもしれない北欧サーブの高速戦闘艇とは 「日本で作って輸出」もアリ?
うるさくて大迷惑だけど捕まえられないの!? 路上で無意味にバイクを吹かす人たち
【情弱?ぼったくり?】批判を笑って受け流す「残クレ」ユーザーの主張。利用することのメリット・デメリットとは
約480万円から! 日産新型「コンパクトカー」予約開始! 全長4m以下×SUV風デザインがカッコいい! “マーチ後継”「新型マイクラ」フランスで発表!
新型マツダ『CX-5』発表に「先代よりマッチョ」「今風になった」など反響! 注目はサイズとインテリア
日産「“新型”エルグランド」登場へ! 16年ぶり刷新の“元祖”「豪華ミニバンの王者」復権なるか? 「日産の命運」もかかった“新型登場”で強敵「アルファード打倒」を目指せるのか
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
高級大型乗用車から軽自動車まで結構比率は高かったように思う。
今は売れないのでしょうが、そこそこラインナップされている所を見ると、
結構根強い人気はありそうだ。
言い難く、また対候性の弱さもあり不人気だったという。
当時の高級車(と呼ばれる車種)はカタログ上ではブラウンはじめ
エンジ系レッド、ターコイズ系ダークブルーがフィーチャーされてた。