ジェイテクトは、電気自動車(EV)の駆動ユニットのモータ用として世界最速(同社調べ)となるdmn*150万以上の高速回転を可能にしたグリース潤滑玉軸受を開発した。モータの小型・高出力化による高速回転化に対応し、電費の向上と航続距離の延長に貢献する。* ベアリングの回転性能を表す値。ピッチ円直径(mm)×回転速度(min-1)
近年急速な勢いで普及しているEVは、環境への負荷が低く、今後益々厳しさを増す燃費規制をクリアする技術として注目されており、電力の高効率化や安全性・快適性の向上のため、更なる技術の開発が求められている。中でも、自動車の燃費・電費の向上に直結するモータの小型・高出力化が進んでおり、モータを支持する軸受には更なる高速回転性能が要求されている。そのため、高速回転下でも破損や焼付きが発生しない軸受の開発が課題となっていた。
そこで、ジェイテクトでは、これらの課題を解決するEVの駆動ユニットのモータに使用する高速回転グリース潤滑玉軸受を開発した。
軸受の高速化技術として、冠型の樹脂保持器の形状を工夫する手法が一般的だが、更なる高速回転化による遠心力の増大により、保持器の変形や他部品との干渉による破損や、焼付きという問題が発生していた。そこで、本開発品は、冠形の保持器とは全く異なった革新的な新形状の保持器の開発と、独自開発のグリース採用によって、更なる高速化に対応することを可能にした。
1. 新形状樹脂保持器の開発
・ボールポケット形状の工夫、軽量化設計で遠心力による影響を軽減
・グリースを保持する形状を採用し、潤滑性向上
・従来の高速回転用冠形保持器と比較して、保持器の軸方向寸法コンパクト化
2. JTEKT独自開発のグリースの採用
・高温高速条件下での潤滑性能、及びグリース寿命の向上
本製品は、軸受幅を拡大することなく、グリース潤滑玉軸受の高速性を更に向上させ、dmn 150万以上を実現している。
【量産開始】2025年
【売上目標】3億円/年
【販売先】国内外自動車メーカー、駆動モータ製造メーカー
【製造工場】亀山工場、四国工場、ダイベア(ジェイテクトグループ会社)など
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