WEC(世界耐久選手権)で7号車と8号車による2台体制を敷き、長らく連覇を続けているTOYOTA GAZOO Racing。そんな彼らは、将来的な3台体制への拡充を検討していることを明らかにした。
トヨタにとって、3台体制のモデルケースのひとつとなっているのが、同じくハイパーカークラスを戦うライバルのフェラーリ。フェラーリは今季、ファクトリー体制の“フェラーリ・AFコルセ”の50号車、51号車に加え、サテライト扱いとなる83号車を走らせている。トヨタもそういった形での体制拡充を検討しているが、レースディレクターのロブ・ルーペンは仮に3台目をフルシーズンエントリーするにしても2026年以降になるだろうと語った。
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「我々はフェラーリがカスタマーカー、サテライトカーを走らせているのを見て、あれは良いと思っている」
「追加のマシンを走らせることは明らかに可能性を増やすことに繋がる。だからそこに関しては我々も検討しているところだ」
「我々はこういう風にしたいなどと言う段階にはないが、私から何か答えるとしたら、フェラーリがやっているような方法は良いと思っている、ということだ」
motorsport.comにそう語ったルーペン。ただ車両の製造やそれを走らせるためのインフラを整えるためのリードタイムを考えると、2025年シーズンに3台目のGR010を投入するのは不可能だと続けた。
「もし来年やるつもりなら、既に決断を下しているはずだが、現時点では何も決まっていない」
「現在の状況では、各コンポーネントに対してどのくらいの時間が必要になるのかは分かっているので、短期で決断することはできない」
その他、ハイパーカークラスでカスタマーチームに車両を展開しているメーカーにポルシェが挙げられるが、ポルシェはLMDh規定の車両で、フェラーリやトヨタは4輪駆動のLMH車両。その辺りの複雑さはポルシェとは異なるとルーペンは強調する。
なお、トヨタが仮に3台目を追加した場合も、その車両はWECマニュファクチャラーズポイントの対象外となる。その代わりに、ハイパーカー向けの“ワールドカップ”と呼ばれる選手権に組み込まれ、サテライトチーム同士でポイントを争う。ワールドカップは現在、フェラーリの3台目やポルシェカスタマーであるJOTAやプロトン・コンペティションが参加している。
そしてそもそも、トヨタが再来年にマシンを追加エントリーする余地があるかどうかは不明だ。
WECの参戦台数は来季40台となる予定で、同時に各メーカーは2台のマシンを走らせることが義務付けられる。来季は2台のヴァルキリーLMHを擁するアストンマーティンが参入予定で、既存のキャデラック、ランボルギーニ、イソッタ・フラスキーニが2台体制となった場合、グリッドは定員オーバーとなる可能性がある。
そのようにハイパーカーのグリッドが盛況になる中で、トヨタは追加のマシンを走らせる余地があるのかと尋ねられると、ルーペンは「ポルシェは何台のマシンを走らせている? フェラーリは何台だ?……そう考えると我々はなぜ3台を走らせられないのか? という話になる」との見解を口にした。
また、WECでは今後水素エンジン車が参戦可能になる予定で、トヨタは水素燃料エンジンを搭載したプロトタイプ車両の開発・投入を計画している。新設される水素クラスは少なくとも2027年まで導入される予定はないが、ルーペンは現行のGR010と水素エンジンプロトタイプの参戦時期が重複する可能性もあると付け加えた。
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