欧州車が集うラリーで異彩を放つ1938年式シボレー「マスター パネル トラック」が体現する旧車イベント参加の最適解
毎年年明けの1月に成田市のホテル日航成田を拠点とし、コマ図を使って指示速度にいかに近づけた走行ができるかを競うクラシックカーラリーがある。モーガンクラブニッポン(MCN)が主催する「ニューイヤーラリー」だ。英国車を中心にヨーロッパ車の参加が大半を占めるなか、クラシックな出立ちのアメリカ車、しかも競技には不向きに思えるパネルバンタイプのクルマで参加して異彩を放っていた“中山雄司”さんご夫妻の愛車とは……。
19歳で購入した彼女の愛車はシボレー「C10ピックアップ」!自身が組んだエンジンに換装して公道デビューさせる
英国車中心のラリーに挑む異端の「左ハンドル」のクラシック・バン
MCNの主催という背景もあり、参加車の多くを英国車が占め、その他もヨーロッパ車がほとんど、日本車がポツポツといった顔ぶれのニューイヤーラリー。そんなイベントに、1938年式シボレー「マスター パネル トラック」というアメリカ製のパネルバンでエントリーしていたのが中山雄司さんだ。
アメリカ車に限らず左ハンドル車が好きだと語る中山さん。そのきっかけは、アメリカの大学院で学生生活を送っていた頃に遡る。
「学生時代ですが、当時2500ドルくらいで手に入れることができたポンティアック『ファイヤーバード』に乗っていたんですよ。安くてかっこいいし、学生にはちょうどいいクルマでした」
留学していた時代のアメリカは、こうしたマッスルカーたちが底値だった時期であり、今では高くなりすぎてしまったと笑う。帰国してからは、アメリカ本国のように格安のアメリカ車が無いこともあり国産車で過ごしていたが、経済的な余裕ができたタイミングで、再び左ハンドル車へと戻ったという。
「とくにアメリカ車に限定している訳ではなく、左ハンドルならヨーロッパ車でも、自分の中ではアメリカのクルマという感覚です」
博物館からサーフショップを経て日本へ渡った数奇な運命
今回、中山さんがイベントに参加したマスター パネル トラックは、元々はアメリカのとあるミュージアムに展示されていた車両だったという。それを購入した西海岸のサーフショップが、お店のインテリアとして使用していたらしい。
その個体をネットの売買情報で見つけた“中山”さんが、江東区にあるアメリカ車専門店のマリンコーポレーションに買い付けと輸入を依頼したのが7年前のことだ。
「サーフショップではほぼ乗っていなかったようですが、この手のラダーフレームのアメリカ車ではお約束のモディファイがすでに施されていて、僕は普段乗りしたかったので好都合でした」
足回りの移植とエアコン追加で叶える快適なクラシックカーライフ
1938年製の車両には、1974年から1978年にかけて製造されたフォード「マスタングII」のフロント足回りを移植するという、アメリカでは定番のモディファイが施されていた。本来はリーフスプリングだったサスペンションがダブルウイッシュボーン化され、ドラムブレーキもディスク化されるなど、操作性や安全性は格段に向上している。
リアセクションもこの手のモディファイの定番メニューだという1980年代のカマロ用パーツを使い、ディスクブレーキ化を実現。それに伴い、本来は215cuinだったエンジンも、1980年代のシボレー「C10」に搭載されていた292cuinの直列6気筒エンジンへ換装され、3速ATのターボハイドロ350(TH350)を組み合わせるというアップデートが施されていた。
日本上陸後は、点火系の改善やラジエーターの張り替え、バックモニターの取り付けをDIYで行ったほか、ショップでエアコンを追加することで、より快適に過ごせる仕様へと進化を遂げている。
今回のニューイヤーラリーは、奥様の洋子さんとのペアでエントリーした。4~5年前には上位入賞を果たしトロフィーを持ち帰ったそうだが、今回は残念ながら入賞はならず。
「ニューイヤーラリーは一番寒い時期ですが、新年会のような楽しさもあるので来年もまた参加します」
中山さんは、愛車とともに駆け抜けた充実した休日を振り返り、満面の笑顔で語ってくれた。
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