軽SUVとして人気のダイハツタフトが2021年5月10日に一部改良を実施し、ターボ装着グレードを追加したほか、特別仕様車の設定も行った。
そこで装備や価格からタフトのベストバイを渡辺陽一郎氏に聞いた!
新型ランドクルーザー300は絶対盗まれない!?「指紋認証」標準装備も「効果は半年」と言われる理由
文/渡辺陽一郎、写真/Daihatsu、ベストカー編集部
【画像ギャラリー】マイナーチェンジでさらに魅力アップ!! 一部改良を実施した人気の軽SUVダイハツ タフト
■人気の軽自動車+人気のSUV=タフト誕生!!
軽自動車でありながら、SUVの手法でデザインされているダイハツ タフト
今は軽自動車の人気が高い。2021年1~5月に国内で新車として売られたクルマの内、軽自動車の比率は39%に達した。また外観を野性的に仕上げ、悪路の走破力を高めたSUVも売れ行きが堅調だ。SUVの販売比率は、乗用車市場全体では約16%、軽自動車を除いた小型/普通乗用車に限れば26%前後を占める。
そこで企画されたのがダイハツタフトだ。軽自動車でありながら、SUVの手法でデザインされている。全高は1630mmだからムーヴに近いが、フロントマスクはSUVらしく上下方向の厚みがあり、ボディの側面は水平基調だ。
前後フェンダーのタイヤが収まる部分と、ボディ側面の下まわりには、ブラックの樹脂製サイドストーンガードを装着した。SUVらしい力強さを際立たせている。
タフトは2020年6月に発売され、2021年5月に一部改良を実施した。従来はターボを選べるのは上級のGのみだったが、マイナーチェンジでベーシックなXにもターボを加えた。
特別仕様車としては、GとGターボにクロムベンチャーを設定した。外観にはメッキやシルバーのパーツを装着して、内装の質も向上させている。
ブラックの樹脂製サイドストーンガードを装着し、SUVらしい力強さが際立つ
なおタフトのライバル車には、スズキハスラーがある。ハスラーは初代モデルを2014年1月、2代目を2020年1月に発売したが、タフトの初登場は2020年6月だ(1970年代に発売されたタフトはまったく違うクルマ)。そのためにタフトは、ハスラーの後追い商品という印象を持たれやすい。
そこでタフトは、ハスラーとは異なる特徴として装備を充実させた。価格が最も安い135万3000円のXでも、ガラスルーフのスカイフィールトップ、フルLEDヘッドランプ、電動パーキングブレーキなどを標準装着する。
ライバル車のハスラーも、ベーシックなグレードとして136万5100円のハイブリッドGを用意するが、ガラスルーフは装着されない。LEDヘッドランプも、ハスラーではハイブリッドX以上の設定で、ハイブリッドGはハロゲンに留まる。ハスラーのパーキングブレーキは、すべてのグレードにわたり足踏み式だ。
このようにタフトは、価格の割に装備を充実させて個性を打ち出し、ハスラーとの競争も巧みに避けている。
■タフトの後席は荷室と割り切ろう
タフトの車内。シートの色彩も前後で変化させ、後席は畳んで使う荷室と割り切っている
装備を充実させた代わりに、タフトのシートアレンジは単純だ。後席は固定式で、前後のスライド機能は付かない。畳む時も背もたれを単純に前側へ倒すだけだ。座面を昇降させて小さく畳む機能は備わらない。
つまりタフトのコンセプトでは、後席は畳んで使う荷室と割り切られている。そのために車内の色彩も、前席はブラック、後席はグレーに区別した。
GとGターボでは、前席側のドアのインナーハンドルはメッキ仕上げたが、後席側はメッキされていない。後席の造りはシンプルで、その背面と荷室の内張りには、汚れを落としやすい加工を施した。
タフトのウェブサイトやカタログを見ても、後席に乗員が座っている写真は掲載されていない。大半が後席を畳み、荷室として使っている。
従ってタフトは、2名以内で乗車するユーザーに適する。
ファミリーなど、3~4名の乗車にはハスラーが向いている。ハスラーはワゴンRと同様にシートアレンジを充実させ、後席にはスライド機能を装着した。後端まで寄せると、前後席に座る乗員同士の足元空間は1035mmに広がり、タフトの900mmを上まわる。
後席の足元空間の広さを見ても、タフトは積載性、ハスラーは居住性を中心に設計されていることが分かる。
■安全装備の有無とドレスアップ装備が売却時には重要
グレードはXとGに大別され、それぞれにターボが用意される
そこでタフトのベストグレードを考えたい。XとGに大別され、それぞれにターボが用意される。合計4グレードだ。
ノーマルエンジンのX(135万3000円)とG(148万5000円/2WD)の装備を比べると、上級のGが充実する。Xの装備内容に、アダプティブドライビングビーム(ハイビーム状態を保ちながら対向車などの眩惑を避ける機能)、ルーフレール、アルミホイール、前席のシートヒーターなどを加えた。
これらの装備を価格に換算すると総額22万円相当だが、XとGの価格差は13万2000円に抑えたからGが割安だ。アダプティブドライビングビームは安全性を高める装備だから、なるべくGを選びたい。アルミホイールなどは人気の装備なので、数年後に売却する時もGが有利だ。
マイナーチェンジの時に追加された特別仕様車のGクロムベンチャー(155万1000円)は、内外装にメッキパーツを装着して、前席にはシルバーのステッチ(縫い目)も入る。Gに対する価格上昇は6万6000円だから、さほど買い得ではないが、内外装が気に入ったなら検討する価値はある。
登坂路の多い地域のユーザーは販売店の試乗車で実際に登り坂を走ってみたい。パワー不足を感じたらターボ装着グレードも視野に入れて検討する
登坂路の多い地域のユーザーは、販売店の試乗車を使って、実際に登り坂を走ってみたい。パワー不足を感じた時にはターボも検討する。
日常的な運転感覚に大きな影響を与える最大トルクは、ノーマルエンジンは6.1kg-m(3600回転)だが、ターボは10.2kg-m(3600回転)だから1.7倍に向上する。しかもターボに組み合わせられるCVT(無段変速AT)は、高効率なD-CVTだから、WLTCモード燃費は20.2km/Lと良好だ。
ノーマルエンジンの20.5km/Lと比べて、ほぼ同じ数値になる。ターボの装着による燃費の悪化をD-CVTが補った。
Gターボ(160万6000円)の価格はGに比べて12万1000円高いが、ターボの搭載と併せて、運転支援機能の全車速追従型アダプティブクルーズコントロールなども装着される。この装備はノーマルエンジンのGにもオプション設定され、価格は4万4000円だ。
そうなるとターボの正味価格は、この4万4000円を価格差の12万1000円から差し引いた7万7000円に収まる。燃費の悪化を抑えたCVTの併用も考えると、GターボはGと同等かそれ以上に割安だ。
従ってタフトを買う時は、GとGターボを乗り比べて判断したい。ターボの動力性能に魅力を感じたら、積極的に選ぶと良い。
■オプション装備奮発で多彩な機能を
オプション装備はスマホに連携させる6.8インチディスプレイオーディオとスマートパノラマパーキングアシストのセットオプションに注目。運転が気軽に楽しくなると車に乗る機会も増える
オプション装備では、スマートフォンに連携させる6.8インチディスプレイオーディオとスマートパノラマパーキングアシストのセットオプションに注目したい。オプション価格は9万9000円で、車両周辺の死角を補うモニター含め、多彩な機能が得られる。
外観の色彩などを変更する3種類のスタイルパックも用意される。価格は5500円から1万1000円と手頃だ。特別仕様車のクロムベンチャーを検討する時は、割安なスタイルパックも確認したい。
以上のようにタフトでは、さまざまな選び方が成り立つ。ご自分にピッタリの仕様を見つけていただきたい。
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ネイキッドがマイチェンで角目になった時のガッカリは強烈に残ってる