程度の良い個体が多いのは平成以降の後期型
セダンのドレスアップジャンルが誕生する前から、いろいろなドレスアップカーを乗ってきた若者が落ち着きを求めて愛していたのがトヨタ13系クラウンだった。8代目となるこのモデルは、1987年5月に登場し、1989年8月にマイナーチェンジで後期型となり、1991年10月まで生産。ハードトップには、当時としては珍しいフェンダーやドアをワイド化した3ナンバー専用ボディが設定された。
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当時主流のディッシュタイプのホイールを履かせ、エアサス車(純正)は後付けのサスペンションコントローラーで車高を下げるだけで、存在感を醸し出していた。程なくドレスアップパーツメーカー「ジャンクションプロデュース」が自社第1号となるエアロキットを開発。その後は各エアロメーカーも追従し、バーツが充実した13系クラウンはセダン・ドレスアップブームの活性化に大きく貢献したのである。
そんな13系クラウンだが、現在の中古車市場を見ると状態の良し悪しを問わなければタマ数は割と多い。しかし、前期型(1989年8月以前)は良質な個体がほぼ皆無らしく、主流は平成元年から販売を開始した後期型といえるだろう。 13系は様々なモデルを設定していたのが特徴。ハードトップのエンジンは、初代セルシオより早く搭載された4リッターV8に始まり、3リッターと2.5リッターの直6、そして数は少ないがワイドボディに2リッターも採用されていた。
撮影車輌は後期型から導入された4リッターV8で、トヨタ初代セルシオにも採用された1UZ-FE型エンジンを搭載。静粛性の高さは高級車に相応しく、トルクフルな走りも楽しむことができる。 エンジンは排気量を問わず、割と頑丈のようだ。ただし、過去オーナーのオイル管理が重要で当然ながら安心感は高い。しかし、年式的にヘッドからオイルが滲んでいる個体が多いことも特徴だ。
高級車らしい装備と風格は4リッターV8
「程度の良い中古車は少なくなっていますが、現在市場で多く出回っているのは2.5リッターと3リッター。V8は減りつつあり、状態が良ければ結構な高値で取引されるケースもあります」と語るのは、撮影車を販売するプレストクリエイティブオートの吉澤店長。
ラインナップは多かったが、外装はグリルとトランクのエンブレム、ドアパネルの形状などでV8か否かを見分けることができた(エンブレムを貼った”なんちゃって”も多かった)。後期型のテールランプはウインカーの位置が上で、前期型は下。
外装の持病的な劣化は特になく、状態が良い個体も出回っている。人気のカラーは、当時のセダンに多かったツートン。特にパールツートンと黒ツートンは需要が高いそうだ。
ナローボディの5ナンバー車も出回っているが、パーツは少なくカスタマイズには不向き。撮影車輌には懐かしいザウバーディッシュホイールがセットされていた。13系クラウンは太めのホイールを余裕で履けるのもポイントだ。 2.5リッターと3リッターの美点は、自動車税は13年超車なので全車1割増しとは言えども4リッターV8と比べれば安いこと。年間の維持費を抑えたい人にオススメだ。「V8は使用状況によっては、エアサスの不具合が出ることもある。だからあえてバネサス(スプリング)の3リッターを選ぶ人も多いです。でも個人的には、最上級グレードのV8が高級車らしくてオススメですね」と吉澤店長。
古さは隠せない当時の最先端電装パーツ
インテリアは、マルチビジョンなど当時では革新の装備が満載。しかし、前期型でオプション設定されているエレクトロマルチビジョンは、「さすがに今となっては使えない。ただマルチシステムを残したままオーディオを変更することもできるので、必ずしもマルチレスじゃないとダメというわけではないですね」とのこと。また、保管状況が悪いとダッシュボードが劣化でめくれている場合もあるので要チェックだ。
また、電動機能は年式的に壊れているケースが多い。パワーウインドウやシート、エアコンなどのスイッチをひと通り触って、しっかりと動くのか確認は必要だ。
撮影車輌は良い状態を保っていたが、モケットシートは日焼けや色あせなど劣化しているケースが多く、ひどい場合は粉が吹いていることもあるそうだ。革シートもひび割れている車輌が多いので、よく見ていただきたい。
写真の4リットルV8モデル「クラウン・4.0ロイヤルサルーンG」のボディサイズは、全長4860×全幅1755×全高1400(mm)/ホイールベース2730mm/車輌重量1690kg。
これからは旧車としての輝きを放つこと間違いなし。中古車相場は30万~100万円と、手の届きやすい存在といえるだろう。
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