第7回は、「新世紀エヴァンゲリオン」として1995年にTVアニメの放送を開始したのちも、世紀をまたいで「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」として新作映画が製作され続けている、“エヴァンゲリオン”シリーズの劇中車をお送りいたします。
現在でも人気が続く「エヴァンゲリオン」
この記事を書いていて自分でも驚いたのですが、TVアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」がこの世に現れたのは1995年。もう24年も前の話なのですね。エヴァンゲリオンを初めて見たときの衝撃は、今でも忘れられません。
現実の延長軸に構築された独自の世界観、謎が多くファンがいろいろと憶測できる設定、使徒と呼ばれる異形の敵、それに対抗しうる唯一の手段として登場するEVA(ロボットのような巨大な人造人間)、個性的な登場人物、一度聞いたら忘れられないオープニング曲、壮大なBGM、そして圧倒的かつ緻密な作画クオリティなど、大ヒットを生み出した理由には、枚挙にいとまがありません。
TVアニメ終了後も映画版が製作された他、21世紀に入って“リメイク版”の「ヱヴァンゲリヲン新劇場」の製作も開始され、上映のたびに大きな話題を呼んでいます。メディアミックスは現在でも行われており、高い人気を継続しています。
レストア済みでローンはあと33回? 「アルピーヌ A310」
エヴァンゲリオンシリーズでは使徒と戦う特務機関NERV(ネルフ)が物語の中心で進むため、兵器や輸送手段としての車は頻繁に出ますが、一般車はモブシーン以外あまり登場しません。
そのため今回取り上げた2台はとても印象が強いです。1台目はメイン登場人物で、NERVに所属するEVAの戦闘指揮官・葛城ミサトが乗っていた「アルピーヌ・ルノー A310」です。
TV版第1話で主人公・碇シンジをこの車で迎えにくるも、第3使徒・サキエル襲来の余波を受けていきなりボロボロに。「レストアが終わったばかりで33回ローンが残っている」というミサトのセリフが有名(?)です。
アルピーヌ・ルノー A310は、軽量小型なピュアスポーツだったA110から一転し、2+2の4人乗りGTカーへとキャラクターを変更したスポーツカーで、1971年に登場しました。
設定資料や作画から見ると、1977年以降の「A310 V6」に、初期型で特徴的な「6連ヘッドライト」を組み合わせているようです。また、設定では「右ハンドル化」「電気自動車化」が行われている、とされています。
“NERV官用車”の「コスモスポーツ」には、とある秘密が……
A310は新劇場版でも活躍していますが、第2作「破」で大破してしまいます。そこでミサトは「マツダ コスモスポーツ」に乗り替えます。
コスモスポーツは“愛車”ではなく、「NERV官用車」という設定で、左右ドアにNERVエンブレムが貼られ、ボディ上面にも赤いストライプが走っています。「サーキットの狼」で風吹裕矢が駆ったロータス ヨーロッパのイメージもありますね。
コスモスポーツは、国産車初のロータリーエンジン搭載を果たしたスポーツカーで、1967年に登場しました(官用車は後期型のL10B型なので1968~1972年型)。
それが劇中年代2015年頃に公の組織で採用されているのはおかしい? という声も聞こえてきそうですが、官用車にコスモスポーツが選ばれたのは、エヴァンゲリオンシリーズの監督・庵野秀明氏のこだわりによるもの。
氏は1983年に「帰ってきたウルトラマン マットアロー1号発進命令」という自主制作の8ミリフィルム映画を作成したことがあり、近年では「シン・ゴジラ」も手がけた特撮マニアでもあります。
「NERV官用車」は、「帰ってきたウルトラマン」の劇中車で、同じくコスモスポーツを用いていた「マットビハイクル」をオマージュしているのでした。
「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」は2020年6月公開
2007年から4部作で製作の「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」は、現在第3作「Q」まで公開済みです。ラストを飾る「シン・エヴァンゲリオン劇場版 :||」(読み方は現段階では不明)はいよいよ2020年6月上映開始を予定しています。
すでに公開されているパイロットフィルムでは、パリの景色の中にルノー メガーヌやカングーの姿も伺えました。車好きとしても、エヴァファンとしても次回作に大きく期待したいと思います。 文・絵/遠藤イヅル※イラストの無断転載、改変その他類似の行為を禁じます※本記事は十分に調査したうえで掲載しておりますが、すべての情報の正確性において一切の責任を負うものではありません。あらかじめご了承ください
【図説で愛でる劇中車】シリーズの過去記事はこちらマツダ コスモスポーツの中古車を見てみる
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