2024年後半の月販販売台数を見ると、ハリアーが好調なのに対し、RAV4の激減ぶりが目立つ。2024年12月16日の一部改良があったにせよ、それ以前の月と比べてもハリアーの半分以下だ。なぜRAV4はハリアー0の半分しかい売れないのか? 次期ハリアーはどうなるのか、迫っていきたい。
文:渡辺陽一郎/写真:ベストカーWeb、トヨタ、CGイラスト(ベストカー本誌製作)
[RAV4]がマジで売れへん!!! [ハリアー]の半分しか売れてない理由とは? 次期RAV4のデビューは2026年秋頃か!?
【画像ギャラリー】次期RAV4はこうなる!!! ハリアーよりだんぜんカッコいいゾ!!!(10枚)
RAV4の人気が急減しているのか?
2019年4月に登場後丸5年が経過するRAV4
売れ筋の価格帯が400万円を超える中級から上級SUVで、最も多く売られている車種がトヨタハリアーだ。2024年の1か月平均登録台数は5348台だから、コンパクトカーのアクアと同等になる。
その一方で同じトヨタのRAV4は、2024年の1か月平均登録台数が2550台だった。直近の月販台数をハリアー/RAV4を比較してみても、2024年10月は4763台/3081台、11月は4593台/1032台、12月は3255台/563台だった。
ハリアーとRAV4は、パワーユニットやプラットフォームなどの基本部分を共通化しており、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)の数値も2690mmで等しい。それなのにRAV4の登録台数はハリアーの半分以下だ。
2020年6月に発売された現行ハリアー。発売当初から現在に至るまで人気は衰えていない
最近はハリアーからヤリスクロスまで、他社も含めて乗用車のプラットフォームを使うシティ派SUVが増えた。この反動もあり、SUVのニーズに原点回帰の傾向が生まれている。ランドクルーザーシリーズやスズキジムニーシリーズなど、悪路向けのSUVが従来以上に注目されている。
例えばジムニーに加わった5ドアボディのノマドは、人気が際立って高い。2025年1月30日に発表された後、約4日間で受注台数が5万台に達して受注を停止した。ジムニーノマドの目標販売台数は、1か月当たり1200台だから、瞬く間に3年半の受注を獲得したわけだ。
この人気は凄い。ランドクルーザーシリーズも、2025年2月上旬時点で、70/250/300の全車が受注停止となっている。
以上のようなSUVの人気動向を踏まえると、野性的な雰囲気を備えたRAV4の売れ行きが、ハリアーの半分以下で少ないのではないか。なぜRAV4の売れ行きが伸び悩むのか、販売店に尋ねると以下のように返答された。
「RAV4の人気が低いというより、ハリアーが絶好調なんです。価格の高い上級SUVなのに、コンパクトなカローラクロスやヤリスクロスの売れ行きに近いです」。2024年の1か月平均登録台数を比べると、カローラクロスが約6800台、ヤリスクロスは約6700台だ。ハリアーはこの2車に比べて価格が大幅に高いのに5348台も売れているのだから、その人気ぶりがわかる。
RAV4の販売台数が激減しているのには以下のことも考えられる。
2024年11月28日にRAV4が一部改良、ガソリン車、ハイブリッド車を12月16日、PHEVを2025年1月6日に発売
2024年10月に一部改良モデルの発表が予定されていたものの、認証不正の影響で一時的に受注停止となっていたが、トヨタは2024年11月28日にRAV4を一部改良し、ガソリン車、ハイブリッド車を12月16日、PHEVを2025年1月6日に発売すると発表。
一部改良では、FFモデルが廃止され、Xグレード系にはパーキングサポートブレーキ、ブラインドスポットモニター、ドアミラー足元照明が標準装備。また、Xグレードには8インチのディスプレイオーディオが標準装備され、Xグレード以外のグレードでは10.5インチのディスプレイオーディオPlusがそれぞれ標準装備となった。
Xグレード以外に10.5インチディスプレイオーディオ(コネクティッドナビ対応)Plusが標準装備
この一部改良が認証不正の問題で、当初予定の10月から12月に延期され、この間受注停止になっていたが、一部改良モデルの発表とともに受注が再開。一部改良モデル発表前の受注停止、受注後の受注再開という状況により、10月の3081台から、11月1032台、12月563台に急減した。
とはいえ、2024年決算期の3月の販売台数はハリアー7560台、RAV4が3130台、2024年暦年で見てもRAV4の販売台数は3万599台と、6万4188台とハリアーの半分以下だから、それが大きな理由ではないことがわかる。
納期に関しても2月初旬現在、RAV4はガソリン車が2か月程度、ハイブリッドは3~4か月、PHEVは2~3か月に対し、ハリアーは2025年春に一部改良が予定されており、ガソリン、ハイブリッドともに現在はグレードによっては受注停止となっており、PHEVは納期3か月程度となっている。
ハリアーは2020年6月に発売され、早くも納期はハイブリッドモデルが半年~1年以上で、2022年10月の一部改良モデルの発売時点では、上級グレードのZ、Zレザーパッケージの受注停止状態が続いていたが、2023年6月24日からこのZ、Zレザーパッケージの受注が再開。2024年8月中旬時点で注文すると、納期は全グレード、2024年11月中旬~下旬となっていたのだが……。
なぜハリアーが人気なのか?
デビューから約5年も経つが人気が衰えていないハリアー
そこまでハリアーの人気が高い理由は何か、前出の営業マンに聞いてみた。「ハリアーは従来型を含めて人気車なので、中古車価格も高いです。数年後に高値で売却できるため、従来型から現行型へ乗り替えるお客様も多いですね。リセールバリューも高いので、残価設定ローンを利用した時も月々の返済額を抑えられます。ハリアーは販売面でも有利なクルマなので人気が高いのです」。
ハリアーハイブリッドG・4WD(433万9000円)を首都圏の販売会社において3年間の残価設定ローンで契約すると、3年後の残価は新車価格の59%に達する。平均は40~50%だから、ハリアーの残価は高い。残価設定ローンでは、残価を除いた金額を分割返済するので、残価が高ければ月々の返済額を抑えられる。ハリアーハイブリッドG・4WDの月々の返済額は、均等払いで6万6800円だ。
RAV4ハイブリッドアドベンチャー4WD(433万1800円)は、同じ販売会社で計算して、3年後の残価は新車価格の54%だ。RAV4も50%を超えて高いが、ハリアーの59%には達しない。そのためにRAV4ハイブリッドアドベンチャー4WDの月々の返済額は7万2400円だ。価格はハリアーハイブリッドG・4WDよりも若干安いのに、月々の返済額は、3年契約で5600円高くなってしまう。
販売店では「今は車種によっては、50%近いお客様が残価設定ローンを利用する」というから、ハリアーとRAV4のような価格と返済額の逆転現象が生じると、多くのユーザーは前者を選ぶ。車両本体の魅力は前述の通りRAV4も高いが、資産価値や残価設定ローンを使った時の返済額の安さも含めると、ハリアーの価値が際立つ。
SUVとは思えない質感の高さとラグジュアリーなコクピット
このほかグレード構成の違いもある。ハリアーは前輪駆動の2WDと4WDを幅広く用意するが、RAV4は現行型の発売時点から4WDが中心だった。2WDは安価なXとハイブリッドXのみの設定で、2024年11月の改良では2WDが廃止された。今は4WDしか選べない。2WDのSUVを希望するユーザーも多いから、RAV4が4WD中心になると、車両の性格が際立つ代わりに売れ行きでは不利になる。
例えばスバルクロストレックは、従来型のXVは4WDのみだったが、現行型では前輪駆動の2WDを加えた。開発者は「4WDは不要だと考えるお客様も多い。その場合、SUVでも2WDであることを条件に選ばれるから、4WDのみでは最初から選択の対象に入れてもらえない。そこでクロストレックにも2WDを用意した」と述べた。
以上を踏まえると、ハリアーは都会的で目を見張るほど上質な内外装から2WDを選べる駆動方式まで、幅広いユーザーが魅力を感じるように開発されている。歴代モデルの人気も高く、売却時や残価設定ローンでも有利だから販売は好調だ。
次期型RAV4はどうなる?
次期RAV4の予想CGイラスト(ベストカーが製作したもの)。フロントマスクはハンマーヘッドデザイン
その点でRAV4は、ユーザー層を絞り込んだ。駆動方式は4WDが中心で、直列4気筒2Lノーマルガソリンエンジンを搭載するアドベンチャーやG・Zパッケージには、後輪の駆動力配分を積極的に変化させるダイナミックトルクベクタリングAWDを搭載した。この機能はハリアーには採用されず、RAV4が悪路走行に踏み込んだSUVであることを示している。内外装も上質感より機能性を重視している。
つまりRAV4は、一般ユーザー向けのSUVとして大量に販売されるハリアーと、悪路走破力を追求したランドクルーザーシリーズの中間に位置する存在だ。もともと大量な販売は狙っていなかった。
同じパワーユニットやプラットフォームを使いながら、主流のハリアーと、個性派で反主流ともいえるRAV4の両方をそろえる。ここがトヨタの強さだ。ファミリー向けのノアと、ワルっぽいヴォクシーにも同様のことが当てはまる。今に始まった話ではなく、上級セダンが全盛だった時代には、立派で豪華な王道を行くクラウンと、外観が控え目でボディもコンパクトな反主流のプログレをそろえた。
トヨタは自社製品に対決の構図を生み出し、さまざまな需要を一手に吸収してしまう。その一方でボディサイズに基づくヒエラルキーは必ず守り、例えばシエンタ/ノア&ヴォクシー/アルファード&ヴェルファイアを比べると、サイズ、質感、価格は明らかに異なる。
ホンダのフリードがステップワゴンを喰うような下克上は絶対に許さない。同じサイズ同士では対決させ、異なるサイズでは立場の違いを踏まえる。昔から変わらない強いトヨタを支える周到なクルマ作りだ。
現行モデルもいいがこちらのほうが人気が出そうだ(予想CGイラストはベストカーが製作したもの)
TEXT/ベストカーWeb編集部
次期RAV4はベストカー本誌2月10日号でお伝えしたように、2026年秋頃に登場予定。新開発のプラットフォーム、マルチパスウェイプラットフォームを採用し、直4、2.5LのHEV、PHEV、BEVで、2L純ガソリンエンジン車はなくなる。駆動方式はHEV&PHEVがFFと4WD。現行モデルは2024年11月の一部改良でFF車を廃止したが、次期型でFF車が復活することになる。
気になるエクステリアデザインは、今回掲載しているCGのように次期RAV4の目撃情報をもとに作ったもので、フロントマスクはプリウスやクラウンなどと同様のハンマーヘッドデザインである。全体的なフォルムは現行RAV4とあまり変わらない(目撃情報)とのことだ。
予想価格はHEVが450万円、PHEVが580万円、そしてBEVが600万円前後と予想。時期型ではハリアーの販売台数を大幅に上回ることができるか、期待して待ちたい。
全体的なフォルムは現行からあまり変わらないという(予想CGイラストはベストカーが製作したもの)
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投稿 [RAV4]がマジで売れへん!!! [ハリアー]の半分しか売れてない理由とは? 次期RAV4のデビューは2026年秋頃か!? は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。
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みんなのコメント
名前だけ同じで前モデルとは全く違う車だもん