7月18日(土)から19日(日)にかけてGTワールドチャレンジ・ヨーロッパ・パワード・バイ・AWSの第5戦がイタリアのミサノ・サーキットで開催された。スプリント・カップの今季2ラウンド目となった週末は、土曜夜にレース1、日曜午後にレース2が行われた。このふたつのスプリントレースにおいて、32号車BMW M4 GT3エボ(シャルル・ウィーツ/ケルビン・ファン・デル・リンデ組)が2レースで優勝を飾り、チームWRTとドライバー両名にとって完璧な週末となった。
■バレンティーノ・ロッシが好相性のミサノで自身初のポールポジション
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まず土曜日に行われたレース1では、60分間のレース終了時には日が完全に沈み暗闇に包まれるなかで、ウィーツとファン・デル・リンデが駆る32号車BMWが、リカルド・フェラー/バスティアン・ブース組の80号車ポルシェ911 GT3 Rエボ(ライオンスピードGP)に19秒もの差をつけて優勝した。
レース1は、スタート時の接触が勝敗を分ける決定的な要因となった。ウィーツが素晴らしいスタートを切った一方、地元でポールポジションを獲得したバレンティーノ・ロッシ駆る46号車BMW(チームWRT)と、同じくフロントロウからスタートした66号車アウディR8 LMS GT3エボII(トレゾア・アテンプト・レーシング)を駆るアンドレア・フラッシネティは、どちらもスタートで出遅れたように見えた。
フェラーはこの隙を突いて2台の間に割って入ろうとしたが、この際に接触。これによりロッシとフラッシネティの両方がバランスを崩しただけでなく、フェラーのペースも乱されることに。フラッシネティは、マービン・ディーンストが駆る87号車メルセデスAMG GT3エボ(ウインワード・レーシング)に弾き飛ばされ、その二次接触でアウディがスピン。さらにそのマシンが不運なことにダニエル・ジュンカデラ駆る3号車メルセデス(メルセデスAMG・チーム・フェルスタッペン・レーシング)に突っ込み、両車ともその場でリタイアとなった。
4周目にセーフティカーが退くと、ウィーツは直ちにリードを広げ始める。その間、ブロンズクラスのライバルであるディーンストとファビアン・シラー(ゲットスピード・チーム・ドバイ・メルセデスAMG/12号車メルセデス)は2番手争いを繰り広げ、シラーはピットストップまでロッシを後ろに抑え込むことに成功していた。ロッシの苦戦は、スタート時にグリッドのハッチングラインからはみ出したことによる10秒のペナルティでさらに悪化し、地元の大人気ドライバーである彼と相方のマックス・ヘッセは6位でのフィニッシュを余儀なくされた。
ウィーツからバトンを受け取ったファン・デル・リンデは、残り5分でフルコースイエローが宣言されるまでリードを8秒以上に広げていた。このイエローフラッグは、グラベルにスタックしたロマン・アンドリオロの555号車マクラーレン720S GT3エボ(CSAレーシング)を回収するためのものであった。その後レースは再開されることはなく、これにより2番手を巡る80号車ポルシェと48号車メルセデス(メルセデスAMG・チーム・マンフィルター)緊迫したバトルは事実上、無効化されることとなった。
序盤にルーカス・アウアーがドライブした48号車の後方にポジションを落とし、6番手まで後退したフェラーは、ブースに交代するまで1周長くコースに留まった。ブースは48号車をドライブしていたマーロ・エンゲルをかわしてコースに戻り、フルコースイエロー(FCY)が解除されるまでこのドイツ人ドライバーを振り切り続けた。
ティエリー・フェルミューレンとベン・グリーンがドライブする69号車フェラーリ296 GT3エボ(エミル・フレイ・レーシング)は4位を堅実に守り抜き、これに続いたトレゾア・アテンプトの99号車アウディがゴールドカップを制している。
猛追するヘッセに順位を奪われた後、トマソ・モスカがスタートドライバーを務めた51号車フェラーリ296 GT3エボ(AFコルセ)の後半戦を受け持ったマティアス・ザガゼタは、総合7位/ゴールドカップ2位でフィニッシュした。しかし、トラックリミット違反による5秒のペナルティを受け、最終的な順位は15位となっている。
フェラーリの降格により31号車BMWをドライブするジョーダン・ペッパーとアマウリ・コルデール(チームWRT)が7位に浮上し、84号車アウディ(イースタレント・レーシング)をシェアするサイモン・ライヒャー/クリストファー・ハーゼ組、および50号車フェラーリ(AFコルセ)を駆るアーサー・ルクレール/トーマス・ノイバウアー組を上回った。
マティス・リズモントとイグナシオ・モンテネグロがドライブした30号車BMW(チームWRT)はシルバークラスを制すとともに総合トップ10入りを果たし、WRTにとって好調な一日を締めくくっている。一方、シラーとガブリエル・リンドーネ組の12号車メルセデスは総合21位でフィニッシュし、ブロンズクラスのウイナーに。リナト・サリホフ/ディーンスト組のウィンワード・メルセデスAMGは、ピットストップ後にサリホフが総合6番手を走行するなどクラス優勝が確実視されていたが、マシンが一時的にパワーを失ったように見えた際に、リンドーネに約15秒のタイム差とトラックポジションを奪われてしまった。
■迅速なピットストップでレース2も制したチームWRT
レース1では、スタート直後にウィーツが決定的なリードを奪ったため、勝利は疑いの余地がなかったが、レース2では、WRTチームの迅速なピットワークのおかげで、彼らのBMW M4 GT3エボがトップに立つ展開となった。
ポールポジションを獲得した3号車メルセデスを駆るジュール・グーノンは、ファン・デル・リンデからの絶え間ないプレッシャーを受けながらもオープニングスティントを通じてトップを守り、20周終了時に2台はテール・トゥ・ノーズの状態でピットインした。ここでチームWRTのメカニック陣は32号車BMWのピット作業を最速で完了し、ウィーツをジュンカデラより先にコースに復帰させた。ジュンカデラは残り60分のレースで差を詰めることができず、2.97秒差でフィニッシュした。
この勝利は、シリーズ4度のチャンピオンであるウィーツにとって、スプリントカップ通算20勝目となる新記録を更新するものであった。ライオンスピードGPのブース/フェラー組がポイントを獲得できなかったため、ウィーツはファン・デル・リンデとともにチャンピオンシップのトップに浮上している。
一方の80号車ポルシェはトップ10圏外を走行中、ブースが2コーナーでパトリック・ニーダーハウザーが駆る96号車ランボルギーニ・テメラリオGT3(ルトロニック・レーシング)をスピンさせ、10秒のペナルティを科せられた。これにより同車は20位でのフィニッシュとなっている。
48号車メルセデスを駆るアウアーは、最終ラップの直前でロッシがドライブする46号車BMWを抜き去り、エンゲルとともにチームに3位表彰台をもたらした。ピットストップ前にファン・デル・リンデにプレッシャーをかけていたものの、その後ペースが落ちた46号車は4位でフィニッシュ。グリーン/フェルミューレン組が5位となった。
グリーンは最初のスティントで31号車BMWを駆るペッパーとのバトルに敗れていたが、レースコントロールはその追い抜き動作の際にペッパーがグリーンをコース外に追い出したと判断し、31号車に10秒加算ペナルティを科した。この影響でペッパーの相方であるコルデールは10位フィニッシュに留まっている。
ルクレール/ノイバウアー組の50号車フェラーリは6位に入り、マービン・キルヒホーファー/ディーン・マクドナルド組の59号車マクラーレン720S GT3エボ(ガレージ59)を僅差で抑える結果となった。トレゾア・アテンプトの66号車アウディは総合8位でフィニッシュし、今週末2度目のゴールドクラス優勝を飾っている。ライバルであるルイ・プレットとトム・フレミングは58号車マクラーレン(ガレージ59)でその直後に続いた。
序盤、アカはアンドリオロの555号車と111号車マクラーレン(CSAレーシング)を駆るアーサー・ルジエに追われていたが、両者ともフレミングに抜かれ、フレミングがゴールドクラスで2位に。555号車が同3位となっている。
オーレリアン・パニスとアンソニー・バルトーネのペアがドライブした6号車メルセデス(ゲットスピード・チーム・バルトーネ・ブラザーズ)は、シルバークラスで一度もトップを譲ることなく完勝。総合13位でフィニッシュした。
また、マイキー・ポーターの5号車マクラーレン(オプティマム・モータースポーツ)が、プロクラスのクリストファー・ハーゼ駆る84号車アウディ(イースタレント・レーシング)にスピンを誘発されたことを受け、ジェイミー・デイ/マテオ・ヴィラゴメス組34号車アストンマーティン・バンテージAMR GT3エボ(ワーケンホルスト・モータースポーツ)がシルバーカップ2位を獲得した。一方、リズモント/モンテネグロ組がドライブした30号車BMW(チームWRT)は、ピットでのアンセーフリリースにより5秒のペナルティを科され、シルバーカップ3位に順位を下げる結果となっている。
ブロンズカップについては、サリホフ/ディーンスト組のウィンワード・メルセデスAMGがクラス優勝を果たした。一方でポールポジションを獲得していた222号車メルセデス(2シーズ・モータースポーツ)は、AFコルセの52号車フェラーリとの接触によりドライブスルーペナルティを科せられ、クラス3位でのフィニッシュとなっている。
この2車の間でブロンズクラス2位となったのがエディ・チーバー/ピーター・デンプシー組の93号車ポルシェ(ジッゴ・スポーツ・テンペスタ・レーシング)だ。これらの結果には、実走順位で2番手となっていた12号車メルセデス(ゲットスピード・チーム・ドバイ)が10秒のペナルティを2回科されたことも影響している。
GTWCヨーロッパの次戦となる第6戦は、フランスのマニ・クール・サーキットで7月31日から8月2日にかけて開催される。同ラウンドは今大会と同じくスプリント・カップの一戦だ。
[オートスポーツweb 2026年07月22日]
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