トヨタのベストセラーコンパクト、ヤリスが一部改良。実に登場から6年が経ち、熟成が進んだヤリスに試乗する機会を得た。通常、6年経ったクルマに試乗することはあまりないのだが、改めて乗ったヤリスの魅力はどこにあるのか、徹底チェック!
文:渡辺陽一郎/写真:ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】一部改良の熟成ヤリスの写真を徹底チェック!(10枚)
発売から早6年、一部改良の内容は?
トヨタヤリスが2026年2月20日に一部改良を発表、3月2日に発売した。現行ヤリスの発売は、2020年2月だから6年を経過する。「発売から6年後ならフルモデルチェンジではないか?」と思うが一部改良だ。まずはこの理由を考えたい。
日本車がフルモデルチェンジする周期は、昭和の時代はほぼ4年に1回だったが、今は6~8年に1回まで延びた。その理由はさまざまだが、まずはクルマのデザインや動力性能が、成長期を過ぎて安定期に入った事情がある。外観の新鮮味を演出したり、加速性能を誇示するフルモデルチェンジが不要になって周期が延びた。
また今は、電動化などの環境対応、運転支援と自動運転技術、安全装備、通信機能などの進歩が著しい。メーカーはこれらの技術開発に高いコストを費やすため、フルモデルチェンジの回数を抑えていることもある。
このほかクルマが日常生活のツールになり、以前に比べて、新型車に対する関心が薄れた。「新型車が登場!」と宣伝しても、もはや話題性が高まることはなく、必要以上のフルモデルチェンジを実施する必要性も薄れた。
以上のような事情により、ヤリスは発売から6年後に改良を実施した。その内容は主に装備の見直しだ。大きなところでは待望の電動パーキングブレーキブレーキ+ホールド機能がハイブリッド車に標準装備されたほか、全グレードにスマートエントリー&スタートを標準装着して、ZとGには前席アームレストも同様に標準装着した。Zは10.5インチのディスプレイオーディオを備えている。
エクステリアでは、全グレードのドアミラーとシャークフィンアンテナをブラックにするなど、多岐にわたる変更を施した。外装色ではZにマスタードを加えている。
■ヤリス一部改良の内容
■新装備
・電動パーキングブレーキブレーキ+ホールド機能(ハイブリッド車に標準装備)
・フロント席アームレスト(ハイブリッド車:Z・Gに標準装備)
・10.5インチディスプレイオーディオ(コネクティッドナビ対応)Plus(Zに標準装備)
■標準装備化
・8インチディスプレイオーディオ(コネクティッドナビ対応)Plus(G)
・スマートエントリー&スタートシステム(全グレードに標準装備)
・寒冷地仕様(4WDに標準装備。2WDはメーカーオプション)
・ターンチルトシート設定グレード変更(メーカーオプション)
・運転席仕様、助手席仕様(G)
・運転席+助手席仕様(Gの2WDに設定)
■新色ボディカラー採用と一部外装色の変更
・モノトーン:「マスタード」(Zに設定)
・ブラック加飾のドアミラー、シャークフィンアンテナ(全グレード)
登場から6年経った熟成したヤリスの魅力をチェック!
このような場合、通常では試乗する機会はほぼないのだが、今回はベストセラーモデルということもあり、広報車を借り、試乗して改めてヤリスの魅力をチェックしてみたい。
試乗グレードはハイブリッドZ(2WD)で、価格は266万9700円だ。改良前は257万9500円だったから、改良に伴って9万200円値上げされた。
Zの改良内容は、先に述べた10.5インチディスプレイオーディオや前席アームレストの追加などだから、9万200円の値上げ幅は若干大きい。昨今の原材料費や輸送費の増加に対応して、2万円程度は値上げされた。
ヤリスの外観を改めて眺めると、発売から6年を経過するが古さは感じない。最近は全般的にカーデザインの進化が鈍く、なおかつヤリスは、2025年2月の改良でフロントグリルのデザインを変更したからだ。インパネなど、内装の質、メーターの視認性、スイッチ類の操作性にも不満はない。コンパクトカーの平均水準になる。
ヤリスは全長が4m以下の3950mmに収まる5ナンバー車だから、前席に不満はないものの、後席は少し狭い。身長170cmの大人4名が乗車した時、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシ1つ半だ。ライバル車のフィットが握りコブシ2つ半、同じトヨタのアクアが2つ分だから、ヤリスは見劣りする。それでも後席に座る乗員の足が前席の下に収まりやすく、意外に窮屈には感じない。
後席の頭上空間はどうか。ヤリスの全高は、立体駐車場を使いやすい1495mmで、天井を後方に向けて少し下降させた。リアゲートの角度も寝かせたから、頭上空間が狭まった。身長170cmの同乗者が後席に座ると、頭上には掌が収まる程度の空間がある。なお後席のサイズや座面の角度、座り心地に不満はなく、広々感はないが4名乗車は可能だ。
荷室は全長が4mを下まわるコンパクトカーの平均水準だ。リアゲートを寝かせたから、背の高い角張った荷物は積みにくいが、荷室の開口部は広い。そしてリアゲートを寝かせた結果、ヒンジが前寄りに装着されるため、開閉時にリアゲートが後方へ張り出しにくい。狭い場所で荷物を出し入れできるメリットもある。
ハイブリッドの走りはどうだ?
ヤリスハイブリッドZ(2WD)は、ハイブリッドシステムを搭載しながら、車両重量が1090kgと軽い。エンジンとモーターの相乗効果によるシステム最高出力は116馬力だ。モーターの効果により、アクセル操作に対する反応が機敏で、高回転域ではエンジンが活発に吹き上がる。モーターとエンジンの特徴を掛け合わせたハイブリッドシステムだ。
ちなみに日産のe-POWERでは、エンジンは主に発電を行ってモーターが駆動を担当する。そのために運転感覚はモーター駆動の電気自動車に近いが、ヤリスハイブリッドのTHSIIは、エンジン駆動の特徴も感じさせる。実用回転域の余裕があり、1.8Lエンジンを搭載している感覚で加速できる。
販売店で試乗した時は、ノイズを確認したい。例えば登り坂に差し掛かった時など、3気筒特有のエンジンノイズが耳障りに感じる場合があるからだ。
乗り心地にも注意したい。ヤリスのベーシックグレードが装着する14インチタイヤ(175/70R14)は、燃費性能を向上させるために、転がり抵抗を抑えた。指定空気圧も、転がり抵抗を抑えるために前輪が250kPa、後輪は240kPaと高い。そのために路上の細かなデコボコを伝えやすく、段差を通過した時の突き上げ感も強い。
その点で、今回試乗したハイブリッドZ(2WD)には、オプションの16インチタイヤ(185/55R16)が装着されていた。このタイヤは14インチに比べてコストが少し高く、快適性にも配慮した。指定空気圧も、前輪が220kPa、後輪が210kPaと低いから、14インチタイヤほど乗り心地の粗さは気にならない。
その代わりWLTCモード燃費は、14インチタイヤのハイブリッドG(2WD)は35.8km/Lだが、16インチをオプション装着したハイブリッドZ(2WD)は29km/Lに下がる。それでもハイブリッドZを買うなら、16インチタイヤを装着したい。オプション価格は、アルミホイールと併せて8万2500円と少し高いが、それだけの価値がある。
ボディが軽く、重心の低いコンパクトカーだから、走行安定性も満足できる。ステアリングの反応に鈍さはなく、峠道では車両の進行方向を変えやすい。下り坂のカーブを曲がる時も、後輪の接地性に不満はなく、走りのバランスは良い。
この軽快な運転感覚は、街中でも実感され、ヤリスの特徴になっている。最小回転半径が4.8~5.1mに収まる小回りの利きもメリットだ。
つまりヤリスは、2名以内の乗車で、街中や峠道を軽快に走りたいユーザーに適する。改良を受けて前席アームレストも装着され、渋滞時の快適性も向上した。ハイブリッドは燃料消費量が抑えられ、気軽に使えるコンパクトカーのメリットを満喫できる。
ハイブリッドZ(2WD)の価格は、前述の266万9700円だが、1.5Lノーマルガソリンエンジンを搭載したZ(2WD)なら、AT(CVT)装着車が230万1200円と割安だ。Z(2WD)には、6速MTも219万7800円で用意され、クルマ好きのニーズに応えている。
ベーシックカーとはいえ、試乗したヤリスハイブリッドは266万9700円と、ひと昔前のコンパクトカーに比べると隔世の感があるが、もはやベーシックカーとはいえない魅力に溢れたクルマだった。
ヤリスのライバル、フィットの売れ行き
最後にヤリス、フィット、ノート、ノートオーラ、スイフトの販売台数に触れておきたい。というのは自販連の通称名別月販台数のヤリスにはヤリスクロスも含まれており、ヤリスハッチバック単体がどれくらい売れているのかわかりにくい。ということで、メーカーに問いあわせしたのが以下の数値。
2026年3月はヤリス(ヤリスクロス含む)が1位、ノート(オーラ含む)が7位、フィットが14位となっているので、勘違いしやすいが……。なんと、フィットとヤリス(ハッチバック)、さらにはノートとも2026年3月、2026年1~3月それぞれ、さほど変わらない台数なのがわかる。
■2026年3月の販売台数/2026年1~3月の販売台数
・ヤリス=5190台/1万4318台
・ヤリスクロス=8120台/2万290台
・フィット=6367台/1万3687台
・ノート=5887台/1万3822台
・ノートオーラ=3281台/7901台
・スイフト=2061台/5273台
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みんなのコメント
何の参考にもならんな。
カーマニアの個人ブログの方が参考になる。
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