なぜ消えた? 車の「サイドモール」 かつては高級車の証も見かけなくなった理由とは
2020/10/29 09:10 くるまのニュース 20
2020/10/29 09:10 くるまのニュース 20
■一時は高級車のイメージもあったサイドモール、今は?
かつては高級車を中心に純正で採用されていたドア側面にフロントフェンダーからリアフェンダーに掛けて水平の「サイドモール」。
アコードよりも売れそうだ! ホンダ中型セダン「クライダー」がチョイ悪でシブい!
昨今ではあまり姿を見ることも少なくなってきています。なぜ見かける機会が減少しているのでしょうか。
サイドモールの役割は大きくふたつあります。ひとつは傷や破損の防止です。
例えば、駐車場などで隣のクルマが、ドアの開閉時に自車に当たってしまうと、自社のボディがへコんでしまいます。
車種にもよりますが、ボディがヘコんで塗装が剥げてしまうと少なくとも数万円、高級車では10万円以上の修理費用が掛かる可能性があるのです。
しかし、樹脂製パーツのサイドモールを装着していれば、その取り換え費用だけで済むため、板金塗装の半分程度のコストで修復することが可能です。
もうひとつの役割は、デザイン上のアクセントになることです。国内外問わず、高級車は大型のボディになりがちですが、その反面ボディサイドのデザインが単調になりやすいという課題があります。
そこで、サイドモールをデザインに組み込むことでボディサイドに抑揚を出すという手法が用いられてきました。
そういった背景もあって、「高級車=サイドモール」というイメージが定着していきます。
しかし、近年サイドモールを装着するクルマが減ってきたといわれています。
実際に、自動車整備工場の担当者は、次のように話します。
「2000年から2010年ごろまでは、サイドモールの修理依頼が月に数件ありました。
しかし、2010年以降はほとんど見られなくなってしまいました。そもそも、サイドモールがついたクルマは、全体の1%あるかないかというくらいだと思います」
※ ※ ※
では、付いていると便利なサイドモールを見かける機会が減少した要因として、どのようなものがあるのでしょうか。
カーディーラーやカー用品店などで話を聞くと、次のような回答がありました。
「新車時にオプションでモールを付けられるほとんどは、上級セダンクラスに乗っている人が多かったイメージがあります」(カーディーラー)
「ひと昔前には、後付けするサイドモールを販売しており、年配層でセダンに乗られている人が購入されている印象が多かったです」(カー用品店)
このようにセダンに乗っている人がサイドモールを付ける傾向にあるようです。
そして、近年ではセダン需要の減少が顕著に現われていることも、サイドモールを見かけなくなった要因のひとつといえます。
す。
しかし、サイドモールが消えた原因は、セダンの減少だけが原因なのでしょうか。
■サイドモールはどこへ消えた?
サイドモールが消えたもうひとつの要因として、プレス技術の進化が挙げられます。
前述の通り、サイドモールにはボディサイドの抑揚を出すといったデザイン上のメリットがあります。
しかし、それは同時に、従来のプレス技術では、抑揚のあるボディ形状を形成できなかったということでもあります。
一方、近年技術が進歩したことにより、プレスによって複雑なボディラインを演出することができるようになりました。
デザイン上のメリットはもちろん、車体軽量化や空気抵抗の減少化などを考慮しても、サイドモールを装着するよりもプレスによって形成するほうが良いといえます。
高級セダンに多く採用されてきたサイドモールですが、シンプルなデザインを好むユーザーにとっては、「とってつけた感」の強いサイドモールよりも、プレスによる自然なボディラインのほうが適しているとも考えられます。
とはいえ、需要がゼロになったかというと実はそうでもありません。アフターマーケットでは、カスタムパーツとしてのサイドモールは一定のニーズがあるといいます。
自動車用品販売の関係者は次のように話します。
「例えば、『VIPカー』というカスタムジャンルにおいては『マークII』『クラウン』『セルシオ』などの高級セダンに社外品のサイドモールを装着するユーザーが見られます。
また、大型のバンパーやライトポッドがついているようなSUVやキャンピングカーでは、車両保護パーツがついているほうがよりスタイリッシュに見えることから、実際にはそれほど必要ではなくとも装着するユーザーが多いと感じます。
もちろん、本来の用途である『車両保護』の観点から装着する人もまだまだいらっしゃいます。
デザイン的には不必要になっても、樹脂パーツより板金塗装のほうが高額なのは変わっていないことが原因と考えられます」
※ ※ ※
一時は高級車の証としてもてはやされたサイドモールですが、今はすっかり見る影もなくなってしまいました。
一方で、トヨタ「カローラ」やスバル「インプレッサ」にはいまだに純正オプションとしてサイドモールが用意されているなど、一定の需要はあるようです。
また、「車両保護」の観点から今後も需要があると読んだルノーやシトロエンは、サイドモールを現代的に解釈し、カジュアルなデザインに落とし込むなどの工夫をしています。
トレンドではなくなったサイドモールですが、工夫次第で復権はあり得るのかもしれません。
【「丑年」祝う】アバルト695アンノデルトーロ スペック/内外装/価格/予約方法 20台限定
大きく差が出る本当の理由!! 高速120キロ化で燃費が落ちやすい&落ちにくい車
【ルノー変革3段階】量より質の経営体質に 日産・三菱とアライアンス強化 ディーゼルは商業向け少数派に
当時「女子大生」いま「旧車フリーク」に大人気! バブルの申し子「20ソアラ」が価格高騰中
【RAV4サイズ!】キャデラックの新型SUV「XT4」日本発売 価格/サイズ/内装/スペックを解説
【ダカールラリー2021】ペテランセルが4年ぶり8回目の四輪総合優勝…MINIが連覇、トヨタ奪冠ならず2位
横浜都心臨海部にロープウェイ 「YOKOHAMA AIR CABIN」…日本初の常設都市型 4月22日運行開始
シートベルト着用率が過去最高…99.0% 警察庁とJAFが全国調査
「新型BRZ」ベースの「2021年モデル」がヴェールを脱いだ! 「SUBARU BRZ GT300」のシェイクダウン動画公開
レースが「リアル実験場」だった時代! 激熱バトルが生んだ昭和の名車6台
ENEOS、原油処理装置の一部を廃止…電動シフトに備え
空港で車いす電動アシストユニットの実証実験 JALなどが開始
スズキ ワゴンR 標準車のシンプルなデザインは貴重だがACCは非装備。マイルドHVを選びたい
ゴルフGTIクラブスポーツ速報。価格差わずかでノーマルGTIより人気が出るかも!?
マツダ CX-5が小変更。ディーゼルの出力向上やペダルの踏力調整、センター画面の大型化など
トヨタ ヴォクシー 推しはガソリン車だが、設計が新しいライバルたちも比較検討したい
日産 ルークス コスパで選ぶならSグレード。デザインが気に入れば買い
ホンダ N-WGN ホンダセンシングが全車に標準なのでベースグレードのGを選ぶのもあり
マツダ CX-30 ベーシックなガソリンで十分。プロアクティブでも装備は充実
ミツオカ「バディ」の一番人気は600万弱の最上級グレード
2020イヤーカー「レヴォーグ」の実力を超強豪「3シリーズ ツーリング」の胸を借りて試した