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いよいよジュネーブ・モータショー開幕 会場を彩ったスターたち 後編

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いよいよジュネーブ・モータショー開幕 会場を彩ったスターたち 後編

メルセデス・ベンツ・ヴァリオ・リサーチ・カー(1995年)

メルセデス・ベンツが生み出した1台4役のコンセプトカーは、量産こそされなかったが、その後の生産車に影響を見いだせる。ヴァリオ・リサーチ・カー(VRC)と名付けられたそれは、ユーザーが好みで上屋のルーフ以降を交換でき、クーペ、オープン、ワゴン風のハッチバック、ピックアップへと姿を変えることができる。メルセデスによれば、トランスフォームの所要時間は15分以内だという。

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安全性やコスト、パッケージングなど、これが実用化できない理由はいくつも思いつく。また、メルセデスにはクーペとオープンがすでにラインナップされており、その両方を兼ねるSLKを、このVRCからほどなくして発表したから、それらの類は不要だった。さらに、最近になってXクラスと銘打ったピックアップを用意したが、当時はこのブランドがトラックを設定するなど、誰も想像できなかった。

ただし、実用ハッチバックの商品化は、シュトゥットガルトで検討されていたようで、VRC発表の2年後には初代Aクラスが誕生。それはブランド初の前輪駆動車だったが、このVRCもまたFFレイアウトを採用していたのである。

フォルクスワーゲンW12ロードスター(1998年)

かつてフォルクスワーゲンは、世界の自動車市場をVWブランドで征服しようとしていた。このW12ロードスターは、その頃に生まれたコンセプトカーだ。華のない大衆車メーカーであるウォルフスブルグの会社が、世間の予想を裏切るセグメントへの進出を模索していた頃、と言い換えてもいい。前年の東京で発表したW12シンクロは、彼らがフェラーリなどのスーパースポーツへいかに挑むかを示すものだった。そのオープン版をこうしてジュネーブで披露したことには、この無謀とも思えるチャレンジの本気度がうかがえた。

このほかにも、新たなジャンルへの挑戦は続いた。99年発表のコンセプトDは、10気筒と12気筒も揃える高級サルーンのフェートンになり、パサートにはW8ユニット版を設定。2000年のAACコンセプトは、初代トゥアレグの雛型になった。しかし、W12スーパーカーは、ついに幻想の殻を破ることができなかったのである。

フォード・フォーカス・コスワース・コンセプト(1999年)

フォードが英国の名門エンジニアリング会社、コスワースを買収したのは98年のこと。その成立と、それまでの数10年にわたるパートナーシップを記念したのが、99年に発表されたこのフォーカスがベースのコンセプトカーだ。長い歴史を刻んできたコスワース・チューンのフォード実用車は、アスファルトでもグラベルでもものともせず踏めるものが揃っていたが、これはそうした伝統に則ったクルマの、当時の最新バージョンということになる。

2ドアのフォーカスを素材に、コスワースはブラックアウトした前後ライトやオーバーフェンダー、ローダウンしたスポーツ・サスペンションなどで味付け。2.0ℓターボユニットはおよそ200psで、5段MTを介して四輪を駆動する。

残念ながら、コスワースの名を冠したこのフォーカスが、直接的に市販化されることはなかったが、フォーカスRSを生み出す土壌となり、魂は歴代モデルに受け継がれた。

スマート・クロスブレード(2001年)

コンパクトで実用的なシティコミューターであるフォーツーを、もっと遊び心のあるクルマに仕立て直したのがこのクロスブレードだ。そこには屋根はもちろん、フロントウインドーやドアさえない。

発表当時、スマートはこれがショーモデルであり、市販車の顔見世ではないことを強調した。ところが2002年の初夏、クロスブレードはショールームを飾ることとなる。そして、2000台限定で販売されたのである。

アルファロメオ・カマル(2003年)

ステルヴィオが好評なアルファロメオだが、もっと早く高級SUV市場に参入する可能性があった。2003年に発表されたカマル・コンセプトは、スポーティで走りがよいというこのブランドのDNAを、クロスオーバーのジャンルに持ち込んだクルマだ。ブレラや159と同じプラットフォームを用いており、コスト効率も比較的良いものになるはずだった。ところが、まもなくアルファは暗黒時代に突入し、カマルが商品化されることはなかった。

あれから13年。2016年のLAショーで登場したのが、近代アルファ初のSUVであるステルヴィオだ。その間、ライバルのひとつに数えられるBMW X3は、実に3世代を重ねている。

ポルシェ・カレラGT(2003年)

ショーのにぎやかしのためのコンセプトカーを造らなくなってきているポルシェだが、ジュネーブ・ショーでの存在感はなくしていない。2000年にはカレラGTコンセプトを出展し、その生産型を3年後の同じ会場で発表した。エンジンは5.7ℓ自然吸気V10で、モーターアシストなどの類は備わらない。駆動系も、6段MTを用いた後輪駆動だ。

これはポルシェにとって最後となる、昔ながらのスタイルのスーパーカーだといえる。このあとに登場した918スパイダーでは一転して、プラグイン・ハイブリッドとDCTを組み合わせた先進的なクルマとなったのだから。

フィアット・トレピウーノ(2004年)

今にして思えば驚きだが、このショーの後でフィアットはオートカーに「トレピウーノは量産化しないかもしれない」と語っている。しかし結果的に、このイタリア語で3+1を意味する車名のコンセプトカーは、2007年に新型500として商品化された。コンセプトカーよりは大きくなり、実質3座だったキャビンはフル4座となったが、スタイリングはほぼそのまま。それこそが、このクルマのキモである。

マイバッハ57S(2005年)

数十年にわたり、メルセデス・ベンツを擁するダイムラーは、ロールス・ロイスやベントレーを眼中に入れてこなかった。その状況が変わったのは、BMWがロールスを、フォルクスワーゲンがベントレーを手に入れたことが理由だ。

そこでダイムラーは、長年にわたり休眠状態にあった手持ちの高級車ブランドであるマイバッハの名を呼び起こし、2002年に57と62の2モデルを発売する。その後、2005年に発表された57Sは、6.0ℓV12ツインターボを搭載したスポーティ仕様だ。このほか、目玉が飛び出るほど高価な62ランドレーなどのバリエーションも登場したが、売れ行きははかばかしくなく、ダイムラーは2012年に独立ブランドとしてのマイバッハの継続を断念。その名はSクラスの最上級仕様として、新たなスタートを切ることになった。

ポルシェ911GT3(997型、2006年)

997世代の911GT3は、2006年のジュネーブ・ショーで発表された。先代の996型と同じく、サーキット走行を重視した仕様であるGT3は、420psの3.6ℓフラット6を積み、内装は簡素化されている。今年は、2019年モデルの911GT3RSが登場する予定だが、これは現行の991世代の幕引きとなるモデルだ。

ミニ・ロケットマン・コンセプト(2011年)

大きくなりすぎたミニに、オリジナルモデルのコンパクトさを取り戻そうという試みが、ミニ・ミニなどとも呼ばれるこのロケットマンだ。EVにでもすればおもしろいクルマになるであろうことは、ミニとしても認めているところではあったが、どうやら商品化の計画は棚上げになったようだ。

ロールス・ロイス102EX(2011年)

この102EXは、ロールス・ロイスの顧客がEVにどのような反応を示すか探る試金石だ。しかしロールスが得た回答は、歓迎する向きがなかったわけではないが、概ね「ありがた迷惑」といったところ。少なくともこの時点では、ロールスのオーナーたちは、航続距離に不安のある充電式自動車にはまったく興味がなかった、というわけだ。結局、EV計画は見送られ、顧客が真に望むもの、すなわち強力なV12エンジンにフォーカスすることとなった。

時は移り、市場の状況も推移した。電動パワートレインを積むロールスを望む声も日増しに高まっており、ロールスの上層部はプラグイン・ハイブリッドの採用も検討中であることを認めている。さらには、スピリット・オブ・エクスタシーとパルテノン・グリルを備えたSUVまで待機中というのだから、時代は変わったものである。

フォルクスワーゲンXL1(2013年)

ブガッティ・ヴェイロンが速さの王者なら、このXL1は効率で王座を手に入れるべくフォルクスワーゲンが開発したクルマだ。ことの起こりは2002年に発表された、1リットルカー・プロトタイプにまでさかのぼる。それ以来、数多くの試作車やコンセプトカーで研究を重ね、そこで得たノウハウを活かしてついに市販にたどり着いた。200台限定で生産されたそれは、9万8515ポンド(約1480万円)で販売された。

ちょっとばかり冗談じみた値付けだが、空力と技術の先進性では世界屈指のクルマになら払っても惜しくないというユーザーはいるものだ。なにしろこのXL1、ディーゼルエンジンを用いたプラグイン・ハイブリッドと軽量設計が奏功し、111km/ℓという桁違いの燃費を叩き出すのである。2014年のパリ・サロンでは、これにドゥカティのエンジンを積んだXLスポーツが発表され注目を集めたが、残念ながら量産されることはなかった。

シボレー・コルベット・グランスポーツ(2016年)

ジュネーブ・ショーで、新型コルベットが発表されると期待することはまずない。たいていそれは、デトロイトかLAで行われる。例外的にそれが行われたのは2016年、C7コルベットのグランスポーツのときだった。これはコルベットの中間グレードに当たり、思慮深いひとびとのためのモデルとでもいうべき仕様。Z06譲りのサーキット志向なシャシーに自然吸気エンジンを組み合わせ、価格もスーパーチャージャーを差し引いた分は抑えられている。

そして今年のジュネーブ・ショーは……

さて、3月6日の開幕がまもなくとなった今年のジュネーブ・ショーだが、その内容にはかなり期待できそうだ。アウディは次期A6を、ベントレーは初のプラグイン・ハイブリッドを、フェラーリはレースマシンのノウハウを投入した488ピスタを披露する。レンジローバーが数十年ぶりに設定する2ドアや、AMG初の専用4ドア・セダン、ポルシェ911の自然吸気最強バージョン、ボルボの最新ワゴンも、ここでデビューするとみられる。これらに加え、ランチア・ストラトスを21世紀に蘇らせようというプロジェクトの成果にもお目にかかれそうな気配だ。

一般公開は3月8日から。AUTOCARでは、プレスデーに総力取材を敢行し、いち早く会場の模様をお届けする予定だ。

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