乗換1分差が生む機会損失
コロナ禍で、丸ノ内線の運転間隔は4分から5分に減便された。その影響で、混雑が以前よりも激しくなっている。そろそろ元の本数に戻してもよい頃ではないだろうか。
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特に方南町支線では、運転間隔が5~11分と不規則だ。11分間分の乗客を乗せた列車が中野坂上に到着すると、ホームや乗り換え列車がひどく混雑する。しかも、列車接続を前提としたダイヤではないため、池袋方面への電車が中野坂上に着く1分前に出てしまうケースもある。その結果、11分待ってやっと乗車しても、中野坂上でさらに4分待たされるといった事態が発生している。
こうしたなか、東京メトロは2025~2027年度の中期経営計画を発表した。丸ノ内線と銀座線の日中時間帯の増発が盛り込まれている。
既存の利用者だけでなく、今後はJRの運賃値上げを受けて、より安価な東京メトロに利用者が流れると予想される。受け皿の整備は、早急に対応すべき課題である。今、どのような改善策が求められているのか。
JR転移需要の試算視点
まず着手すべきは、丸ノ内線本線の混雑緩和だ。コロナ前は日中に4分間隔で運転していた。少なくともその水準までは戻してほしいところだ。では、いつからどの程度増便されるのか。東京メトロ広報部によれば、
「2026年度中を想定し、ご利用状況を踏まえ日中時間帯の増発を検討しています。(詳細は現在検討中でございます)」
とのことだった。
今後、JR線の運賃値上げによって、相対的に運賃の安い東京メトロに旅客が流れることが予想される。この転移を見越した増発かどうかも尋ねたが、
「お客様のご利用状況を踏まえた計画でございます」
との回答で、JR運賃の影響には触れなかった。ただし、影響が皆無とは考えにくい。
コロナ前の4分間隔は毎時15本に相当する。まずは1本増やし、毎時16本(3分45秒間隔)から始めてみるのが現実的ではないか。毎時16本にすれば、方南町支線との直通本数の調整も行いやすくなる。15分サイクルのダイヤに組み込みやすく、列車間隔のばらつきも抑えられる。
11分空白が招く大混雑
2026年度を待たずして、方南町支線の運転間隔(5~11分)の改善はできないものか。地下鉄で10分間隔というのはどうか、という声もあるが、実際には1時間に1回、11分も空く時間帯がある。
ある土曜、11分間隔が空いた後に出発した方南町始発の列車が中野坂上に着く様子を見ていた。すると、方南町支線からの乗客でホームが埋め尽くされ、激しい混雑となっていた。
筆者(北村幸太郎、鉄道ジャーナリスト)は2024年まで、方南町支線の中野新橋駅を利用していた。元沿線住民としての実感だが、中野坂上での接続も考慮すれば、不規則に1時間7本よりも、均等な10分間隔で1時間6本の方がむしろ使いやすいのではないか。
中野坂上~池袋間は5分間隔で運転されているため、ダイヤの相性もよくなる。この点について東京メトロ広報部は、
「運転間隔と中野坂上駅での接続は、丸ノ内線全体のご利用状況を踏まえ今後の運行計画を検討していきます」
と回答した。
荻窪~方南町構想の射程
方南町支線の線内運転間隔の改善とともに、池袋方面への直通列車も、増発を含めてより使いやすくできないだろうか。課題となるのは、池袋から方南町支線への直通列車を増やすと、その分、荻窪方面への列車が削られてしまう点である。このため、日中の直通運転本数はどうしても限定される。
この課題を解決するには、中野坂上~荻窪間に区間列車を設定し、方南町支線の直通列車と接続を取る方法がある。これにより、荻窪~池袋間の実質的な本数(有効本数)を維持しつつ、方南町支線から池袋方面への直通も強化できる。
さらにいえば、中野坂上駅2番線は、方南町支線内の区間列車が折り返しに使っている。この番線を活用して、荻窪~中野坂上スイッチバック~方南町という直通運転が実現すれば、中野区内の移動が格段に便利になる。
実は、荻窪から方南町支線への直通列車は、すでに深夜帯に限り2本だけ運行されている。荻窪23時47分発と24時11分発の中野富士見町行きがそれだ。この荻窪~方南町の直通列車を新たに設定し、池袋発着の方南町直通列車と接続を取ることで、荻窪~池袋系統の本数を維持しつつ、方南町~池袋系統の増発が可能になるのではないか。
この方法により、方南町支線の運行本数を池袋発着と荻窪発着で半分ずつに分けた場合、運行イメージは以下の通りとなる。
●運行イメージ(中野坂上~池袋間3分45秒間隔を想定)
1.荻窪~池袋系統:1時間に12本
2.方南町~池袋系統:1時間に4本
3.荻窪~方南町系統:1時間に4本
この構成により、
・中野坂上~池袋間:1時間に16本
・方南町~中野坂上間:1時間に8本
・荻窪~池袋間は、中野坂上での乗り換えを含めて実質1時間に16本の乗車機会が確保される。
●中野坂上駅での番線運用(池袋方面)
1.まず方南町発池袋行きを3番線に入線、1~2分待機
2.続いて荻窪発方南町行きを2番線に入線し、「1」と接続
3.池袋発荻窪行きの列車は、「2」と同時に発車
●中野坂上駅での番線運用(荻窪方面)
1.方南町発荻窪行きを2番線に入れ、荻窪発池袋行きと「2」の接続を行った後、「2」より先に発車
2.池袋発方南町行きを1番線に入れ、「1」と接続、1~2分待機後に発車
この案について東京メトロ広報部は、
「方南町駅6両編成運転開始以降、池袋方面への直通運転を実施しているが、日中の新宿駅以西のご利用状況を踏まえ、現在の運転本数を確保しております。貴重なご意見として賜り、引き続きご利用状況に応じた運行計画を策定していきます」
と回答している。ぜひこの構想が実現することを期待したい。
快速運転構想の現実味
ほか東京メトロ広報部には、列車ダイヤに関心の高い利用者が気になると考えられる施策について、2点ほど質問を行った。
●銀座線の増発後の運転間隔に関する質問
銀座線は、増発計画の対象となっている。赤坂見附で丸ノ内線と同一ホームで乗り換えが可能であるため、運転間隔を丸ノ内線に揃える可能性はあるのか。または、表参道で同一ホーム乗換が可能な半蔵門線(5分間隔 = 10分に2本)に対し、銀座線を3分20秒間隔(10分に3本)にするなど、乗換利便を考慮した間隔調整の検討はあるのか。
◎回答
「各路線とも、路線全体のご利用状況に応じた運行計画を策定しており、同一ホームでの乗換利便向上のみを考慮した運転間隔の設定は行っておりません。同一ホームでの乗換利便向上については貴重なご意見として賜りました」
●丸ノ内線の快速運転に関する質問
都営新宿線では、岩本町駅のような2面3線の構造を活用し、急行運転を実施している。丸ノ内線にも中野坂上駅に追い越し可能な設備がある。とくに中央線と並行する荻窪~四ツ谷間で、快速運転の導入は検討可能ではないか。また、快速運転以外にも、中央線からの利用者シェアを奪うような施策の構想はあるのか。
◎回答
「現在のところ、快速運転の検討は行っておりません」
今回は、筆者自身も沿線住民として関心を寄せていた丸ノ内線を取り上げた。ほかにも、利用者として「こうあってほしい」と思う点を持っている方は多いはずだ。そうした意見があれば、今後の検討や取材の参考にしたいため、ぜひ筆者のX(旧ツイッター)まで寄せてほしい。(北村幸太郎(鉄道ジャーナリスト))
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みんなのコメント
よほどよい記事になると思うけどね。