今季のスーパーGT GT500クラスでは、19号車WedsSport ADVAN GR Supraと24号車リアライズコーポレーション ADVAN GT-Rの2台にタイヤを供給している横浜ゴム(ヨコハマ)。第2戦富士では19号車がポールポジションを獲得してみせたが、決勝では7位と振るわず。ヨコハマ勢、そしてTEAM WedsSport BANDOHとしての5年ぶりの優勝はならなかった。
予選後、19号車のドライバーである国本雄資は、ポールポジションという結果に「嬉しいけど、それ以上にびっくりしている」と語っていたが、これはヨコハマタイヤのスーパーGT用タイヤ開発の責任者である白石貴之にとっても同じだったようだ。白石はmotorsport.comに対し、ここまでチームと協力してパフォーマンス向上に努めてきたが、ポールポジションは望外な結果であったと話した。
■19号車WedsSport、本人たちも驚きのPP「どうやったらトップに追いつけるか追求した結果」
「(富士での)テストではあまり良い結果が得られなかったので、TRD(トヨタ・レーシング・デベロップメント)やチームと協力して、セットアップ面でパフォーマンスを向上させられるようにしてきました」
「こうした取り組みがこの結果に繋がったのだと思います。それにしても今回の結果は予想外でしたね」
そう語った白石。2018年のタイを最後に、GT500では1度もポールを獲得できていなかったヨコハマにとって、19号車のポール獲得は明るいニュースであると言える。白石はヨコハマ勢が軒並み苦しい結果に終わった昨シーズンを振り返りつつ、今季も一歩一歩前進していく必要があると述べた。
「正直昨年はあまり成功した1年とは言えませんでした。コロナの影響でテストができず、レースとレースの間隔も短く、悲惨な状況になってしまいました」
「そんな中でも、16号車(Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT)の結果からいくつかのヒントを得ることができました。オフシーズンも時間が限られていたので、我々は耐久性とウエイトパフォーマンスという点に主に取り組みました。(すぐに)良い結果を残すのは簡単ではないと思いますが、一歩一歩前進していかなければいけません」
白石の言葉にもあったように、昨季のヨコハマは16号車、19号車、24号車の3台体制であった。その中でヨコハマ勢唯一の表彰台を獲得するなど気を吐き、“ヒント”を与えてくれたという16号車は今季からヨコハマ陣営を離れ、ダンロップユーザーとなった。この動きに白石は驚いたというが、3台体制から2台体制に変わったことへの懸念はないようだ。
「(16号車の離脱は)驚きました。HRD(ホンダ・レーシング・デベロップメント)とも話をしていましたが、こういう状況は想定していませんでした」
「実際、3台の異なるマシンのタイヤを開発しながら良い結果を出すのは難しいことなので、開発のキャパシティという面で言えば、2台体制に絞った方がより集中できると思っています。ですのでそれほど悪い状況とは思っていません。我々はこれまでにも2台体制で結果を残してきましたからね」
「将来的にはもっと多くのマシンにタイヤを供給できるのかもしれませんが、それにはかなり時間がかかると思っています」
開幕2戦を終えて最高位7位に終わっているヨコハマ勢だが、シーズンはまだまだこれから。特に彼らは今季の第4戦と最終戦の舞台であるもてぎを得意としており、夏場の暑いコンディションにも強い傾向があるため、今後のレースには期待をしているようだ。
なお、ヨコハマタイヤがGT500で最後に優勝を記録したシーズンである2016年シーズンでは、常夏のタイでのレースでTEAM WedsSport BANDOH(19号車WedsSport ADVAN RC F:関口雄飛/国本雄資)が、もてぎ戦でKONDO RACING(24号車フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R:佐々木大樹/柳田真孝)が勝利を収めている。
「第4戦のもてぎでは、良い結果を期待しています。あそこは我々にとってベストなサーキットだと思います」と白石。
「暑いとなお良いですね。気温が高いことも我々にとっては好都合です。これまでにはタイやセパンなど、気温が高いところでは結果を残していますし、あまり問題も出ないので、アドバンテージを得られると思います」
「寒くなってタイヤの表面温度がストレートよりもコーナーで高くなる状況になると、グレイニング(ささくれ摩耗)が出やすい傾向にあるので、そうなると厳しいですね」
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