春が近づき首都圏などでは、そろそろ冬に履き替えたスタッドレスタイヤをノーマルタイヤに戻したいと考える人が出てくる頃だろう。そしてなかには、「今履いているスタッドレスは来年には3~5年目、来シーズンもまだ使えるのかな? 」という疑問がある人も多いのでは?
そこで、本企画ではスタッドレスタイヤは何年使えて、交換時期の目安は何なのか? を自動車評論家の斎藤聡氏に解説してもらった。
長く乗る人はやはり気になる! クルマはどれだけ走ると壊れる?
文/斎藤 聡 写真/Adobe Stock(naka@Adobe Stock)
【画像ギャラリー】タイヤ表面に現れる「突起」に注目!スタッドレスタイヤの交換時期について学ぶ
■使用限界のポイントは「摩耗」と「劣化」
タイヤ交換イメージ(tkyszk@Adobe Stock)
スタッドレスタイヤの使用限界の見極めは難しいですね。それは走行距離、走り方、保管方法でタイヤの摩耗や劣化が大きく変わってくるからです。
見極めのポイントは「摩耗」と「劣化」の2点になります。
摩耗には、ブロックの高さが低くなる走行距離に応じた摩耗と、走り方でブロックのエッジが丸まってしまったり、サイプが開いてしまったりする摩耗の2種類が考えられます。
たいていは、両方の摩耗が進んでタイヤの性能が落ちてしまったり、使えなくなります。
走行距離による摩耗で見る場合は、スタッドレスタイヤの使用限界は50%(の摩耗)という認識でいいと思います。
■新品から50%摩耗したら使用限界
縦溝にある突起がプラットフォーム。タイヤの摩耗が50%になるとブロックと同じ高さになり、それが使用限界のサインのひとつ(tkyszk@Adobe Stock)
国産スタッドレスタイヤには、タイヤの使用限界を示すスリップサインのほかに、スタッドレスタイヤの使用限界の目安となるプラットフォームという突起が、縦溝に数か所つけられています。プラットフォームはタイヤの摩耗が50%になると現れます。
厳密にいうと、スタッドレスタイヤの摩耗が50%になるとスタッドレスタイヤとして扱われなくなるというのは、「都道府県道路交通法施行細則」という都道府県ごとに決められた細則。細かな規則なんです。
50%摩耗を超えると冬用タイヤとして認めないという県もあれば、明記されていない県もありますが、県を跨いで移動することになると、冬用タイヤと認められなくなるという不都合が出てきますから、50%摩耗をスタッドレスタイヤの使用限界と考えていくのがいいと思います。
タイヤの構造の面から見ても50%を使用限界とみるのが妥当です。国産のスタッドレスタイヤはは、ほぼ2層トレッド(コンパウンド)にしています。ベースコンパウンドに剛性の高いゴムを使うことで、上にのせるソフトなトレッドゴムを支えたり、転がり抵抗を少なくする効果もあります。
50%摩耗まで使ってもベースゴムが露出するようなことはありませんが、ベースゴムに剛性の高いゴムが使われていると、モノコンパウンド(1層タイプ)よりも、摩耗の進行とともにブロックの剛性が高くなっていきます。
タイヤメーカーでも50%摩耗まではスタッドレスタイヤとしての性能が充分発揮できるように作っていますから性能的には問題ありませんが、それ以上摩耗が進むと、同様の氷雪性能は期待できなくなります。ですから、まずは50%摩耗がひとつの目安になります。
■摩耗しないように走っても4~5年が限界の目安
スタッドレスタイヤは、摩耗しないように走っても4~5年が限界
ひと口に50%摩耗といいますが、平に摩耗することは少ないかもしれません。強い加減速やコーナリングを繰り返すと、サマータイヤよりもはるかに柔らかなゴムを使っているので、ショルダーブロックだけ摩耗が進んだり、ブロックのエッジやサイプのところが段減りしてしまうということがしばしば起こります。
こうなると実接地面積が少なくなるし、ブロックやサイプの持つエッジ効果が期待できなくなるので、スタッドレスタイヤとしての氷雪上性能はかなり大きく落ちてしまいます。
自分はそんなに激しく走らないから大丈夫と思っている方が多いかもしれませんが、じつは些細なことでタイヤの摩耗が進むことがあるんです。タイヤの性能を長持ちさせようと思ったら、意識してタイヤに負担をかけない運転を心がけることをお薦めします。
丁寧に走って4年、ちょっとタイヤの摩耗具合に配慮しながら走って5年くらいが目安ではないかと思います。
■ひび割れはゴムが劣化しているサイン
目立つひび割れができたら寿命。トレッド面の中央あたりが摩耗してなくても、肩べりしている場合もあるので注意(fotoduets@Adobe Stock)
もちろん走行距離によって摩耗の具合は大きく異なります。走行距離が少なければ、摩耗だけでいったら、もっと長く使うこともできます。それで問題になってくるのが、ゴムの劣化です。
ゴムは生ものといわれるように、長く使っていると性能が劣化していきます。使わなければ長持ちするかというと、これは保管方法次第です。ショールームに2年展示しておいたクルマのほぼ摩耗なしのタイヤが、路面のキャッツアイを踏んだ瞬間裂けてバーストという経験があります。
タイヤには、ゴムを柔軟に保つためにオイルが練り込まれていますが、これが徐々に揮発してゴムの柔軟性をなくしていきます。最近ではオイル抜けによるゴムの劣化を防ぐため、オイルに代わる材料がつかわれるタイヤもあります。
オイルが抜けると、カサカサ、ザラザラの手触りになります。これと前後してサイドウオール部やブロックの付け根などにひび割れができてきます。夏に熱くなる倉庫の保管で3~4年目に細かなヒビがみられるようになります。
浅いひび割れはゴムの柔軟性を失いはじめた証拠。来シーズンかその次のシーズンあたりにタイヤ交換を検討する準備をしておくのがいいと思います。
ヒビ割れが進むとヒビが深くなります。深くなったひび割れはゴムの柔軟性がなくなった証拠な。氷雪上だけでなくウエットグリップも悪くなります。
■初めから4~5年で使い切るつもりで乗る
スタッドレスタイヤを保管する時は、事前にタイヤとホイールを洗って凍結防止剤を落とすことが大切(Masteronline2017@Adobe Stock)
ゴムの劣化はオイル抜けだけではありません。湿気や熱、紫外線などでもゴムは傷んでいきます。最悪なのはベランダや屋外で雨ざらしです。タイヤはあっという間に劣化します。
理想は暗く温度の安定した倉庫の中ですが、できれば納屋や物置、せめてタイヤにカバーをかけ、できるだけ雨や直射日光が当たらないところに保管するのがいいと思います。
また保管する時にタイヤはビニール袋に入れるのは問題ありませんが、密閉しないほうがいいそうです。密閉してしまうとタイヤが汗をかいてゴムやタイヤ内部のスチールコードが傷むからです。
タイヤはよほど大切に扱っても、摩耗やゴムの劣化が起こるので、せいぜい5年くらいが寿命ではないかと思います。
個人的には1年にタイヤ1本分と考え、4年持たせるように気を遣っています。経験的に言って、それ以上経つと一番怖い氷の路面やツルツルに磨かれた圧雪路でのグリップ性能が期待できなくなります。
もちろん保管方法、使い方、走行距離などによってもっと長く使えたり、短かくなることもあります。ですから、できるだけ長く使うと考えるのではなく、初めから4年とか5年で使い切るつもりで、上手く扱うのがいいのではないかと思います。
また、メンテナンスとしては保管する前に洗って、タイヤとホイールに付いた道路の凍結防止剤(塩化カルシウム)をしっかり落としておくことが大切。必要な手入れはその程度です。
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みんなのコメント
自分の目安では、5年経過か、スノープラットフォームが見えたら交換
どんなに新品でも凍った道などは絶対に滑るので、常に注意は必要
雪が降ったら乗らない
置き場なし