日本最大の福祉機器展「H.C.R.(国際福祉機器展)」に今年も行ってきました! ここではヤマハが長年開発し続けている手動車いすの電動化ユニット、その30周年を祝う特別展示と最新モデルをレポートします。
追い求めてきた車いすの電動化 二輪車をはじめ、マリン製品や産業用ロボットなどを製造するヤマハ発動機は、1995年から30年にわたって「手動車いすを電動化するユニット」の開発を続けており、後付け可能な簡易型電動車いすのカテゴリーを確立してきた。ブースでは、初代モデルから現在に至るまでの技術進化の軌跡を体系的に紹介。鉛バッテリーからリチウムイオン電池へ、アナログ制御からインテリジェント制御へと進化してきた過程がよくわかる内容だった。
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1995登場 JWユニットシリーズ最初のモデル「JW-I」。 ヤマハは今後「ユニット専業メーカー」へのシフトを明らかにしており、ほかの車いすメーカーとの供給パートナーシップを強化する方針を掲げている。そんなわけで、松永製作所、日進医療器、ミキなど大手メーカーをはじめ、ヤマハの電動化ユニットを採用する多くのメーカーが紹介されていた。来場者は各社のフレーム設計や装着アレンジを間近で確認できた。
そして、長年にわたる開発の集大成として登場したのが、簡易型アシスト「JWX-2」と、フル電動「JWG-1」という2つの電動化ユニットである。どちらも、ほとんどの手動車いすのフレームに装着可能で、利用者の身体機能や生活スタイルに応じて選択できる新しい移動ソリューションといえる。ブースではこれらの試乗体験も行われ、多くの来場者がその進化を実感していた。以下、それぞれを紹介する。
自力走行を活かすアシストタイプ「JWX-2」 利用者がハンドリムを操作し自走する力に応じてモーターがアシストを加えることで、坂道や段差での負担を軽減しつつ自然な操作感を維持するというアシストタイプの電動化ユニットが「JWX-2」である。下り坂では自動的にスピードを制御して安全性を確保し、横に傾いた道では左右輪のアシストレベルを自動で調整して車いすがまっすぐ進むよう補正する。さらに、片方の手や足での操作であっても安定した走行を可能にし、坂道や不整地でも平坦な道を走行しているかのような感覚を生み出す先進の制御技術を備えている。これにより、日常生活での移動負担を大幅に減らしつつ、身体機能の維持にも寄与する。
JWX-2が対象とするユーザーは、日常的に自力走行を維持したい高齢者や筋力低下が少ない人、屋外での移動が多く坂道や段差のある場所にもよく出かける人である。なお、2025年4月1日からは制度改正により、手動車いすから電動車いすへの買い替え時には、原則として簡易型電動アシスト車いすへの移行が推奨されることになった。これは、完全電動では自力操作の機会が減少し、身体機能の低下が懸念されることから、アシストタイプを標準仕様として健康寿命を延ばすねらいがある。
自力の操作感覚をキープしつつ安全性を高めたJWX-2。手動車いす利用者にとっては、まるでだれかに背中を押してもらっているかのような優しく滑らかな感覚である。ボタン操作でアシストレベルを調整でき(停車中のみ)、ユニットの駆動輪を車いすのフレームから簡単に脱着できるなど、日常使用における利便性も高い。 JWX-2のユニット重量は15.6kg(バッテリー含まず)で、耐荷重は130kg。1充電でのアシスト走行距離は36km(リチウムイオンバッテリー)で、価格は補装具費支給制度価格で41万2600円(税抜)となる。
完全自走で自由な移動を実現する「JWG-1」 一方、主要部分を大幅にアップデートした「JWG-1」は、ジョイスティック操作による完全自走を実現したフル電動タイプ。自力操作が困難な人でも独立した移動が可能であり、ほとんどの手動車いすフレームに装着可能。生活スタイルに合わせたカスタマイズにも対応している。
ジョイスティックを中央に戻すと停止する電磁ブレーキを採用し、坂道などでも安心して操作できる。また、専用ソフトによりスピードや感度などを細かく調整することも可能である。操作部のディスプレイは1.7倍に拡大され、バッテリー重量も3.6kgから2.4kgへと軽量化。使い勝手や安全性が格段に向上している。
JWG-1では、軽い操作感のジョイスティックのみで自由に走行できる。自力での操作が難しいユーザーでも、独立した移動を可能にするフル電動の利便性が魅力である。 JWG-1のユニット重量は15.1~16.4kg(16~24インチ、バッテリー含まず)で、耐荷重は160kg。1充電での走行距離は25km(20~24インチ)で、価格は補装具費支給制度価格で39万3900円(税抜)となる。
さらに好評だったのが、ヤマハ製ユニットを使用するユーザーを対象とした無料点検サービス。バッテリー状態のチェックやモーターの点検のほか、技術スタッフによる個別相談も行われ、ユーザーサービスも積極的な一面を垣間見れた。
今回のブース展示は、単なる製品紹介にとどまらず、技術の進化と利用者の体験を融合させた空間であった。アシストタイプの「JWX-2」は自力操作を活かした快適な移動を実現し、フル電動タイプの「JWG-1」は完全自走による独立した移動を可能にする。それぞれが異なるユーザーのニーズに応える存在であり、ヤマハが30年にわたって積み重ねてきた電動化技術の結晶といえる。来場者は試乗を通して、その操作感や制御の精密さを直接体感し、両モデルがもたらす新たなモビリティの形を実感していた。
【H.C.R.2025 国際福祉機器展】車いすの電動化ユニット30周年のヤマハ、最新モデルにみる次世代モビリティの新基準はBelieve - ビリーヴ ジャパンで公開された投稿です。
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みんなのコメント
また、トヨタは歩行補助装置(定位置で歩行器を押して歩く練習・歩行器を自由に押して歩く練習装置)を作っている
できればモビリティショーにも展示してほしかった