奇策＆アプデ武器にイモラで息を吹き返す！ アストンF1、予選5・8番手に湧く。だたしアロンソ「来季勝つことの方が重要」

　イモラ・サーキットで開催されているF1エミリア・ロマーニャGPの予選で、アストンマーティンはフェルナンド・アロンソが5番手、ランス・ストロールが8番手とトップ勢を食い破った。チームはこの好結果を喜ぶ一方で、浮かれることなく地に足をつけるべきだと冷静だ。

　エミリア・ロマーニャGPはモナコGP、スペインGPと続くヨーロッパ3連戦の初戦。各チームのファクトリーからも近く、多くのチームがアップデートを投入し、アストンマーティンもその例に漏れず、マシン下面やエンジンカバー、ヘイロー、ビームウイングなど7つの新パーツを持ち込んだ。

　アストンマーティンは現行レギュレーション導入2年目の2023年シーズンに大きな躍進を見せて表彰台の常連となったが、その後は中団グループ争いに再び引きずり込まれ、今年は開幕6戦を終えた段階でコンストラクターズランキング7番手と苦戦を極めてきた。

　しかしイモラでアストンマーティンは息を吹き返した。タイヤサプライヤーのピレリが今回のグランプリに最も柔らかいコンパウンドセットを持ち込み、ソフトタイヤが「1周持たない」という声もある中で、ソフトタイヤとミディアムタイヤの両コンパウンドを使用する戦略を採った。

　アストンマーティンは2台でQ1、Q2を勝ち上がると、Q3最終アタックではユーズドのミディアムタイヤでアロンソがトップ4台に次ぐ“ベスト・オブ・ザ・レスト”を獲得。ストロールもウイリアムズ勢をはさみ8番手に並んだ。

「チームのみんなには本当に感謝している」

　アストンマーティンのアンディ・コーウェル代表はDAZN Spainにそう語った。

「このアップデートを実現するため、みんなが信じられないほど懸命に働いてくれている。空力担当、フルスケールのデザイナー、そのアップデートを持ち込むための全ての作業……ランスとフェルナンドの仕事ぶりも素晴らしく、この週末はノーミスだ。このサーキットは手厳しく、ミスをすればフロアを傷つけてしまう。スペアパーツが限られている時は、それが非常に重要なんだ」

　アロンソは予選5番手について、チームがアップデート持ち込み、リバース戦略を常に考え続けた努力の結晶だと語った。

「チームにとって嬉しいことだし誇りに思うよ」とアロンソはSky Sportsに対して語った。

「まずアップデートしたマシンをここに持ち込んで、それが上手く機能した。初日の分析ではポジティブな結果が出ていたし、今回の結果は明らかに、僕らが少し速くなり競争力がついたということを証明してくれたと思う」

「そして、僕らはリバース戦略や、アドバンテージをもたらす可能性を考えることを止めない。今回のQ3ダブル進出という結果は、チームにとって良い1日だ。決勝では（スピードが本物か）確かめてみよう」

　ただ、アロンソはイモラでの好調を喜ぶ一方で、その目線は2026年を向いている。

　アストンマーティンは、次世代レギュレーション導入される2026年シーズンに向けて、伝説的なレーシングカーデザイナーであるエイドリアン・ニューウェイを引き入れた他、ホンダのワークスパワーユニット供給契約を締結。イギリス・シルバーストンにはファクトリーが新設された。

　アロンソもアストンマーティンと2026年までドライバー契約を延長し、新時代の幕開けを戦う。言うまでもなく、目指すは世界タイトル。そのため、予選Q3進出や5番グリッドという結果に満足してはいないと語った。

「毎週末が競争だ。ドライバーもメカニックもエンジニアも、チームの全員が負けず嫌いで、競争力がないのが大嫌いだ。だから今年の序盤戦は厳しかった。これからはもっと競争力を高めて、もっと楽しめるようになると良いね」とアロンソは続けた。

「でも僕らがここにいる理由は、5番手やQ3進出のためじゃない。世界タイトルを勝ち取るためにいるんだ」

「今年は重要だけど、僕は来年のオーストラリア（開幕戦）で勝ちたい。後はどうでもいいんだ」

　アロンソにとって吉兆なのは、今回エミリア・ロマーニャGPで投入されたアップデートパーツが新しい風洞でテストされたモノだということだろう。

　コーウェル代表も新たな風洞がポテンシャルを示していることを喜びつつも、地に足をつけて1歩ずつ歩みを進めていくと語った。

「楽しまなければいけない瞬間だが、今は感情を抑える必要もある」とコーウェル代表は言う。

「我々にとって、ここまでは完璧な週末になっているが、まだ多くの仕事が残っている。チームは成長し、発展し、ツールの使い方を学ぶ必要がある。これは小さな一歩に過ぎない。地に足をつけ、今を楽しみ、プッシュし続けなければならない」