角度とパワー感が一致しないアクセルペダル
マツダが欧州市場へ導入した、電動サルーンの6e。出発するのに、スタートボタンを押す必要はない。キーを持ってシートへ座り、シフトセレクターを傾ければ動き出せる。
【画像】見た目は後継EVと素直に思える マツダ6e 競合しそうな電動サルーン 2024年終売の6も 全149枚
258psの後輪駆動で、発進加速はなかなか鋭い。しかし、速度上昇とともに勢いは鈍っていく。気になるのが、アクセルペダルの反応。マツダとしては不自然なほど、角度とパワー感が一致しないように思えた。
僅かに傾けるだけで、25%ほどの馬力を呼び出せる一方、深く踏み込んでも100%を直感的に得られるわけではない。調子を乱す、タメがある。
アクセルオフ時の回生ブレーキも、効き始めるまでに遅れがある。強さは数段階から調整できるが、基本的にはドライブモードへ依存。任意に変えるには、インディビジュアル・モードにする必要がある。ブレーキペダルの反応は自然で、滑らかに止まれるが。
気張らず走らせる限り不満ない落ち着き
ステアリングの反応は正確で、2段階に変更できる。ただし一方は驚くほど軽く、タイヤの接地感が殆どない。他方は粘るように重く、こちらもフィードバックは薄い。駐車場などの低速域では、どちらも重め。切り始めの反応は、やや過敏といえる。
サスペンションは、波長の長い揺れは巧みに均してくれるものの、細かな凹凸の処理は苦手な様子。カーブではボディロールを隠さず、アクセルペダルを傾けると前後にもボディは傾く。とはいえ、気張らず走らせている限り不満ない落ち着きにはある。
滑らかな高速道路では、タイヤノイズや風切り音は小さく充分に平穏快適。長距離ドライブを、少ないストレスでこなせるだろう。
車重は2090kgあり、MX-5(ロードスター)のような振る舞いは不可能といえる。それでも、動的特性で定評のあるマツダ車らしい運転体験とはいえない。エンジンを積んだ、かつての6のような走る歓びを、もう少し感じたい。
現実的に1充電で480km走れる優れた電費
運転支援システムは充実し、名称は特殊ながら、必要ない項目はタッチモニターでオフにできる。車線維持支援や制限速度警告、ドライバー監視などは少し煩わしく思えたものの、よりお節介な例は存在する。アダプティブ・クルーズコントロールは円滑だった。
トリップコンピューターを信じる限り、今回の電費は複合的な条件で平均6.9km/kWhと優秀。充電が100%の状態で出発し、295km走行後の残量は39%だったから、現実的に480kmは1充電で走れると考えて良いだろう。
英国での価格は、ベースグレードのタクミで3万8995ポンド(約819万円)から。試乗車のタクミプラスは、3万9995ポンド(約840万円)へ上昇する。航続距離が約530kmのテスラ・モデル3より高めで、メルセデス・ベンツCLA 200 EQテクノロジーに並ぶ。
競争を楽に運べる明らかな強みが欲しい
パートナー企業のサルーン、ディーパルSL03をベースに、デザイン的には巧妙にマツダらしい雰囲気の創出へ成功したといえる6e。しかし、生来の癖を完全に修正することは、簡単ではなかったようだ。
高速域での快適性は悪くなく、電費も良好。スタイリッシュなボディや、上質なレザーを用いたキャビンなど、好ましい部分は少なくない。しかし、有能なライバルがひしめく中で、競争を楽に運べる明らかな強みまでは備わらないように感じた。
◯:スタイリッシュなボディ 上質な素材の内装 優れた電費 低くない快適性
△:特徴の弱い車内デザインとタッチモニターシステム マツダらしくない走行感 もう少し高めたい価格価値
マツダ6e タクミプラス(英国仕様)のスペック
英国価格:3万9995ポンド(約840万円)
全長:4921mm
全幅:1890mm
全高:1491mm
最高速度:175km/h
0-100km/h加速:7.3秒
航続距離:560km
電費:5.9km/kWh
CO2排出量:−g/km
車両重量:2090kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:78.0kWh
急速充電能力:200kW(DC)
最高出力:258ps
最大トルク:29.3kg-m
ギアボックス:1速リダクション/後輪駆動
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