この記事をまとめると
■ミニバンは多人数乗車可能なコスパに優れたファミリーカーであった
じつは20年以上前から王者の貫禄たっぷり! 初代アルファードを振り返ったらみんな乗りたくなるのも当然の中身だった
■トヨタから初代アルファードが登場し高級路線に舵を切るミニバンが増えた
■VIPや芸能人までが愛用するほど高級な車種が増え廉価モデルにもその影響が及んでる
ミニバンはなぜ高級化した?
国産ハイエンドミニバンの歴史は、今、「エルグランド・イズ・バック」のTVCMでも話題になっている1997年に発売された初代日産エルグランドから始まった。そして遅れること5年。2002年に登場したトヨタ・アルファードが国産ハイエンドミニバンの王道を歩んできたといえる。
しかし、ミニバンといえばホンダ・ステップワゴン、オデッセイ、フリード、トヨタ・ノア&ヴォクシー、シエンタなどがそうであるように、初代ホンダ・オデッセイ(1994~)、ステップワゴン(1996~)がその先鞭をつけた、多人数乗車可能なファミリーカーの代表格だったのではないか。かつてアメリカでは、近所のサッカー少年を乗せてグランドに向かうサッカーマム(サッカー少年の母親)御用達のクルマでもあったのだ。
しかし現在、国産ミニバンはどんどん高級化している。アルファードは559万円から、PHEVの1069万9700円。兄弟車のヴェルファイアも674万9000円から1089万9900円に。発売されたばかりの”帰ってきた”日産エルグランドにしても標準車の場合、689万7000円から869万8800円の価格帯であり、さらにその上をいく「VIP」グレードまで用意されている。トヨタでは比較的納期の早いKINTOといったサブスクの買い方はあるものの、子どもの笑顔がほころぶファミリーカー、ファミリーミニバンというジャンルから遠ざかっていった気もしなくはない。
では、国産ミニバンがいつから、なぜ、高級路線にまっしぐらになったのか。
振り返れば、そのきっかけを作ったと思われるのがトヨタ・アルファードであり、トヨタの豊田章男会長が専務時代の2004年、豊田専務の送迎用のクルマをトヨタの最高級モデル、センチュリーから初代アルファードに変更したことである。その理由として語られていたのが、「ワークスタイルにあう。広い車内でゆったりと仕事ができる。会議の間にくつろげる。着替えもしやすい」であり、手前味噌的ではあるものの、「アルファードは完璧な選択」ともおっしゃっていたのだ。
それがきっかけかどうかは定かではないが、2005年4月にアルファードはマイナーチェンジを行い、フロントバンパー、ヘッドライト、グリル、テールランプ、アルミホイールを変更、インテリアも主にインパネデザイン、木目調パネルの色の変更が行われ、新タイプのオプティトロンメーターが採用されている。メーカーオプションだったナビもHDDタイプに進化。このあと、立て続けに特別仕様車も登場している。
社長や芸能人までもが愛用するクルマにまで昇格
以来、政治家から会社経営者、芸能人、映画スター、相撲力士まであらゆるVIPの送迎車として、セダンタイプに代わって選ばれてきたショーファーカーこそが、アルファードに代表される国産ハイエンドミニバンになったというわけだ。永田町周辺、重要な会議が行われる高級シティホテルに黒塗りのアルファードが溢れかえっているのが何よりの証拠である。
もちろん、トヨタにはさらなる高級ミニバン、1500~2000万円級のレクサスLMもあり、国産ミニバンの頂点に立つ。1990年代の空前の”ファミリー”ミニバンブームの際、30年後にミニバン=高級車という概念が成立し、1000~2000万円級の国産ミニバンが出現することを誰が想像しただろうか!
ただし、ボディカラーによっては風格があり、スライドドアで後席に乗降しやすく、室内が広い……から、というだけではなかったかもしれない。2021年の兵庫県知事選では公用車のセンチュリーの年間300万円もの高額なリース代がかかっており、公用車見直しがひとつの争点となり、公用車がセンチュリー(当時の新車価格約2000万円)からアルファード(当時の新車価格約360~762万円)に切り替わったことも記憶に新しい。豊田章男氏に倣い、兵庫県知事もアルファードの車内の寛ぎ空間、広さやワークスタイルに合う実用性に大いに満足したに違いない。
そんなアルファードは、心を豊かにする空間設計、可能な限りのホスピタリティの盛り込みという発想を、代を重ねるごとに昇華。「おもてなし」の心が詰まったハイエンドミニバン、VIPの移動車として確固たる地位を築いてきたことになる。ミニバンとしていち早いストロングハイブリッドの採用、PHEVの追加、2023年6月に発売され、当初、入手困難ともなったほどの人気を誇る現行4代目で極まった2列目キャプテンシートまわりの贅沢なしつらえは、まさに国産ミニバンの高級化の象徴でもあり、アルファードに乗るVIPの満足度はさらに高まったといえるだろう。
乗降性、居住性、ワークスタイルへの対応を含め、ミニバンほどの後席のゆとり、全高、室内高をもたないセダンタイプの高級車はもはや出る幕がなくなってきているのである。つまり、ミニバンの高級化は豊田章男氏の先見の明もあり(!?)必然だったことになる。
そうした国産ミニバンの高級化、高級化願望は、価格やサイズ的にアルファードやヴェルファイアまでは必要ない一般的なファミリーミニバンユーザーにも飛び火。高い着座位置による爽快なドライブが楽しめる、適度なサイズのミドルクラスミニバンにも広さや便利さ、車中泊対応+高級化が望まれ、トヨタでいえば、かつては5ナンバーサイズのボックス型ミニバンだったヴォクシーの高級化路線も、ファミリーユーザーのミニバンへのさらなる期待に応えたものといえるだろう。
たしかに今はSUVブームだが、移動の快適性、多用途性ではミニバンが圧倒。SUV&高級ミニバンの需要が最高潮に高まり、多くのセダンタイプの車種が苦戦、または終売されるのも無理もない時代なのである。余談ではあるが、ミニバンの高級化とは直接関係ないものの、災害時に車内避難しやすいのもミニバンだ。
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みんなのコメント
セドリッククラスの高級感をミニバンに持たせた感じ。
エルグランドに対抗してグランビアからアルファードに変わったと思うよ。
高級感だけで言えばキャブオーバーだったハイエース、キャラバンもいい内装をあしらっていた。あの時代も結構良かったよ