EVの欠点を水素で補填
text:Piers Ward(ピアーズ・ワード)
【画像】実用も趣味も兼ね備えるクルマ【商用車ベースの欧州車4選】 全100枚
translator:Takuya Hayashi(林 汰久也)
ステランティスは、ゼロ・エミッションの小型商用車(LCV)のラインナップを増やし、プラグインの水素燃料電池バンを傘下のシトロエン、プジョー、ヴォグゾールから発売する。2022年初頭の市場投入を目指す。
シトロエン・ディスパッチ、プジョー・エキスパート、ヴォグゾール・ビバロのバッテリー式EV仕様と同じプラットフォームを採用し、荷室の床下に700barの圧力で4.4kgの液体水素を貯蔵する。さらに、10.5kWhのバッテリーをシートの下に収納し、その他の燃料電池システムと電気モーターはエンジンベイに搭載している。
こうしたパッケージングにより、同クラスのICE車と同等の積載量(最大1100kg)と荷室容積(6100L)を実現している。航続距離は400kmで、水素の充填はディーゼル車と同様に3分で完了する。
バッテリーは、出力11kWで約1時間で充電でき、最大48kmのEV走行が可能だ。
最高出力は136ps、最大トルクは26.5kg-mで、0-100km/h加速は15秒、最高速度は130km/hとなっている。また、最大1トンの牽引が可能。
ステランティスは、水素への移行は市場の要望によるものだとしている。同社が行った調査によると、現在展開しているバッテリー式EVのバンでは、顧客に十分な航続距離を提供できないことがわかったという。
同社の顧客の83%は1日の走行距離が200km以下で、44%は300km以上を走ることはないというが、それでも、現在よりも長い航続距離と短い補給時間を必要とする顧客がかなりの割合で存在する。
燃料電池バンは、2021年末に左ハンドル仕様で発売され、その後、英国でも発売される予定だ。しかし、ステランティスによると、水素に関してはまだ4つの課題が残っているという。
それは、グリーン水素の本格的な生産、水素ステーションのネットワーク、燃料電池システムの車両構造への統合、そしてコストだ。そのため、ステランティスは今後も複数のパワートレインを展開していくとしている。
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みんなのコメント
「EVバンだと顧客に十分な航続距離を提供できないことがわかったという」
今さら解りきった事…
HVの複雑なミッション開発するより以外と構造が簡単なFVCの方が開発コストが低って事が要約解ったみたいだね
商用車は充填ステーション間移動に限定出来るから、FCVがなじみやすい。
FCVでいつも疑問に思うのは、減速時の回生電力の回収法。
ある程度のバッテリーを搭載しておけば有利だし、プラグインならチャデモ装備(欧州はコンボだろう)なら、V2Hと連携すれば家庭用自家発としても使えるし、太陽光発電システムからの充電も可能となる。
問題はEVもFCVもコストが高いからその組み合わせは高価な物になるって事だが、方向性としては良いかも。