日本を代表するカルトスポーツカーとして絶大なる人気を誇るスカイラインGT-R
カーアクション映画「ワイルドスピード」やSONYの家庭用ゲームソフト「グランツーリスモ」シリーズによって、その存在が広く世界に知られるようになった日本を代表するカルトスポーツカー、日産「スカイラインGT-R」。アメリカではクラシックカー登録制度(通称25年ルール)の解禁を契機に、一大ブームを巻き起こしました。2025年5月3日、名門ボナムズ・オークション社が「F1マイアミGP」と併設する形で開催したオフィシャルオークションには前回紹介したBNR34のほかに、伝説のコンプリートカーをトリビュートしたスペシャルなBCNR33もラインアップされました。その特別に仕立てられたスカイラインGT-Rの中身とオークションの結果を報告します。
NISMOのコンプリートエンジンを搭載! 日産「スカイラインGT-R(BNR34)」が3300万円とイマイチな落札価格だった理由
十分な居住スペースを確保しながら、パフォーマンスも高めたBCNR33
1960年代から1970年代初頭、日本のモータースポーツ史に偉大なる足跡を残したスカイラインGT-R。その伝統を継承し、1980年代後半以降の箱型レースの花形であったグループAレース制覇のために専用設計されて誕生したのが、16年振りに復活を果たした8代目のBNR32型スカイラインGT-Rです。このモデルは1990年の初戦からカテゴリーそのものが無くなる1993年まで負けなしの29連勝を成し遂げ、第1世代のハコスカと同様にレースの世界で高い評価を得ました。
そのあとを受け継いだのが、第2世代GT-Rの次男坊であるBCNR33型でした。1995年にアンベールされたこのモデルは先代のBNR32で指摘されていた居住性を改善すべく、ボディを大型化。十分なキャビンスペースを確保しながら、先代を凌駕するパフォーマンスを両立していました。
NISMO 400Rの登場でR33が抱えていた「失敗作」というイメージを払拭
ただ、グループAレースに変わりターゲットに据えていた日本のスーパー耐久レースの初戦でBNR32に破れ、オーバーオールを目指して参戦したル・マン24時間レースでも総合10位にとどまりました。モータースポーツの世界でBNR32のような圧巻の速さ、強さを示すことができませんでした。期待が高かった分、この結果に落胆するファンも多く、BCNR33は一級品の実力を備えていたにもかかわらず、「失敗作」の烙印を押されることとなってしまいました。
そのイメージを払拭したのが、日産のモータースポーツ活動を請け負うNISMO(ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル)が製作した「NISMO 400R」でした。ストリート向けコンプリートカーとして2作目となるこのモデルは、当時の国内最高峰の箱車レースであるGT選手権に使用されていたムービングパーツを使用。純正にはなかった2.8Lまで排気量をアップしたRB-X GT2エンジンを搭載したのがトピックです。
99台限定の特別なR33型GT-Rの現在の中古車相場は3億円以上
RB26DETTエンジンの2.8L化は、当時の国内自主規制であった280psを大きく上まわる400psのパワーとストリートの扱いやすさを両立するための策でした。足まわりは専用設計のビルシュタイン製Cリング式車高調が奢られ、ステアリング操作に対してダイレクトに反応するハンドリングによって、ダンスを踊るようにワインディングを軽快に駆け抜けました。
その他、エクステリアには専用のエアロパーツを纏り、パワートレインにはレース譲りのカーボンプロペラシャフトを奢るなど全方位妥協なく仕立てられました。その価格はオリジナルのBCNR33の2倍以上となる1200万円とこれまたスーパー。性能、価格含めて世のGT-Rフリークの憧れの存在となったNISMO 400Rは99台限定(実際の販売は55台)という希少性と相まって、近年の価格は3億円以上と、歴代GT-Rのなかでもっとも高額な1台となっています。
オリジナルのNISMO 400Rを大きく上まわる800psのチューンドエンジンを搭載
今回オークションに登場した1995年式のBCNR33は、グループNレースを想定した参戦ベース車両であるV-spec N1。この希少な個体をベースにオーストラリアのチューニングショップである「レジェンダリー・ガレージ」がNISMO 400Rをオマージュしつつ、そして超えるべく、3年の月日を掛けて製作したカスタマイズカーです。エクステリア、インテリアは限りなく本物の400R用パーツを使用。遠目からはレプリカとは区別がつかないほど高い完成度を誇ります。
エンジンについてはムービングパーツを強度に優れた鍛造品に交換し、大幅な加工が施されたシリンダーヘッドをセット。これに大型のギャレットタービンを組み合わせることで、最高出力は800psまでアップグレード。これはオリジナルの400Rの倍という驚異的な数値となっています。
足まわりにはオーリンズの車高調サスキットに交換し、ブレーキもR35型GT-R用の大型ブレーキキットを移植するなど、その性能に見合ったパーツを奢り、トータルバランスに優れたクルマに仕上げられました。
推定落札価格を大きく上まわる価格で落札された理由とは……
この個体は2024年のSEMAショーに提示され、アメリカで人気の自動車雑誌「Top Gear」誌でも取り上げられるなど、カーマニアの間で知られた存在のGT-Rでもあります。そして迎えた2025年5月のボナムズ・オークション。推定落札価格は3万ドルから5万ドル(邦貨換算約431万円~約718万円)とされていましたが、競売スタートからすぐにその水準を突破し、最終的には16万2400ドル(邦貨換算約2333万円)で落札されました。
想定外の高値で落札となった背景には、本物のNISMO 400Rのパーツがふんだんに使用されていること以上に、総生産台数87台というBCNR33 Vspec N1の希少性が大きく影響しています。25年ルールの解禁にともない、すでに多くのR33がアメリカを渡っていることから、今後よりレアなモデル、特別なモデルを求める傾向が強くなると予想されます。NISMO 400Rをリスペクトしつつ、本物を大幅に上まわるポテンシャルを備えたこのスペシャルなBCNR33はコレクターだけでなく、JDMフリークにとってじつに魅力的な1台と言えます。
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みんなのコメント
昔はR32よりもデカい車体に嫌悪感がありましたが、今見るとカッコいいですね。