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【強力版MHEV、「B6」を積む】ボルボXC60 B6 Rデザイン ジワジワ来るスポーティネスは、買い?

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【強力版MHEV、「B6」を積む】ボルボXC60 B6 Rデザイン ジワジワ来るスポーティネスは、買い?

新たに登場 もう1つのマイルドHV

text:Kazuhiro Nanyo(南陽一浩)

【画像】比較 ボルボX60 B6 Rデザイン、B5インスクリプション【全SUV電動化】 全66枚

photo:Keisuke Maeda(前田恵介)

数年前の公約通り、この夏に全SUVラインナップの電動化完了宣言をしたボルボ。

日本市場はおろかグローバル規模でも最量販モデル、つまりベストセラーたるDセグのプレミアムSUV、XC60ですら、あれだけ評判のよかったディーゼルを卒業してしまったのだから恐れ入る。

その後釜を担うべき48V MHEVの「B5」への代替も順調に進んでいる。何でも、直4・2Lターボという成り立ちからは想像つかないほどの、「唸り音がしないのに素早い出足」と「高速巡航中の静けさ」に、オーナー予備軍はやられてしまうとか。

でも、それって静粛性や居住性、つまり落ち着きやまったり感という北欧な静的質感を目当てにボルボの門を叩く、鉄板の顧客層じゃないか?

そう思っていたら、逆張りといえるモデルがやってきた。

同じくベストセラーのXC60 AWDでもRデザイン、しかもパワートレインは初出となる、48V MHEVのひとつ強力版となる「B6」だ。

B6は直4・2Lターボ+アイシン製8速ATに、ISGM(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター・モーター)を噛ませた成り立ちはB5と同様。

ところが最高出力300ps/5400rpmに最大トルクは42.8kg-m/2100-4800rpmと、数値的には旧来のT5やD4をも軽々と上回る。つまり48Vシステムを積んだがゆえ、電気で駆動される電動スーパーチャージャーを装備した点が、パワートレインとして最大の特色といえる。

洗練度の高いパワートレイン 

試乗日は生憎の土砂降りだったが、結論からいってしまえば、B6は癖のない扱いやすいトルク特性で、AWDのシュアな駆動も手伝って、雨の箱根のワインディングでも素晴らしく安心して走ることができた。

出足のスムーズさからして、B5とは多少、質が異なる。

ゼロ発進から転がり出しを電気モーターが担うのはB6も同じとはいえ、B5なら電気でグイグイ出るのに対し、B6は電気モーター駆動のスーパーチャージャーがすぐさま立ち上がるので、アクセルの踏み込み初期から非・電気的な、しかし力強いトルクが湧き出てくるのだ。

一時停止や信号ダッシュからのゼロ発進だけでなく、コーナー出口でパワーが要る時でも、満足のいくだけの鋭さが味わえる。

確かにこのスムーズさとパワフルさは、制御で作られたものでもある。

が、リチウムイオン・バッテリー容量はB5と変わらず、スペック表には「電圧/容量=44V/10Ah」とある。要はパワフル版だからといって初期でより多くの電気を吐く制御ではないのだ。

にも関わらず、電気で駆動されるスーパーチャージャーが、ごく低回転からリニアなレスポンスで効いてくるものだから、自然に感じられる。

ちなみに踏み込み続けると、その加速感が過給機エンジン特有の二次曲線的な盛り上がりであることに気づいて、いつの間にかけっこうな速度に達している。

さらに洗練度の高いシャシー

しかしXC60 B6 Rデザインの最大のチャームポイントは懐の深いシャシー、そしてその運動神経のよさを隠さないどころか裏打ちする、ワイド&ボールドな佇まいだろう。

つまりパワーもトルクもある48VのMHEVとはいえ、直4ベースなので元より鼻先はめっぽう軽くノーズの入りがいい。

そんな素性の良さに加え、Rデザイン専用にセッティングされた非エアサス仕様の足回りが、ドライブモードを切り替えても減衰力は不変ながら、恐ろしくドンピシャにキマっていて、可変である必要性をまったく感じさせない。

微低速域からよく動く足なので、21×8.5Jという大径ワイドホイールとは裏腹に、乗り心地も優しい。

それでいてワインディングに入っても、ロール量は感じさせながら、傾く速度は抑えめという絶妙のボディコントロールで、1.9m少々の全幅や1940kgの車重を忘れさせてしまう。

左右の切り替えしでも気持ち悪く揺り返すことがない。

それだけ全体的に剛性感が高く、ステアリングを握る手元にマスが収まってくるかのようなまとまりなので、スケール感が随分と違うが、何だかまるで良質のホットハッチでも走らせている気分になるのだ。

Rデザイン 内外装にも注目

そしてクルマから降りても、ジワるポイントが多々ある。

前述のとおりホイールは21×8.5Jと、上位機種であるはずのT8リチャージの20インチ×8Jをも上回る。

リム幅の拡大も横方向への食いつきにかなり効いていそうだ。

外観も、水平方向に開口部を広げてワイドさを強調した前後バンパーや、インスクリプションではクロームだった窓枠やルーフレールが総じてブラック仕上げとなるなど、全体としてシュっとしている。

静的質感についても、とくにインテリアのテーマや雰囲気はRデザインらしくスポーティ。

レザーとメッシュのテクスタイルによるコンビのスポーツシートや、インスクリプションではドリフトウッドが定番アクセントとなる部分には精密感のある打ち目のようなアルミパネルが張られている。

同じくアルミ仕上げのペダル&フットレストもRデザインならではのところだ。

トッピングではないスパイシーなMHEV

またMY2021からの変更点として、センターコンソールにはスマートフォンをワイヤレス充電できるCI規格のトレイが設けられた他、オプションで選べるバウアー&ウィルキンスのオーディオシステムはスピーカー素材を従来のケブラーからコンティニュアスコーンに変更している。

以前はクリアで澄み切った音という印象だったが、全域の表現力でふくよかさが増しており、加えて「ジャズクラブ・モード」が選べるようになった。

これまでもボルボ本社のあるイエテボリ市のコンサート・ホールが設定されていたが、今回は市内のジャズクラブの音響を再現しているというのだ。

それは、ただ可能だから加えてみました的な機能拡張ではなく、「愛車で過ごす時間がホーム感覚」の表れでもある。

「ジャズはお好き?」とボルボに聞かれて、「北欧メタルが好き」と答える人も決して少なくないとは思うが。

いずれスポーティだけどポン付け臭は漂わず、地に足ついたようでピリッとした生活感または生活観が漂うクルマとして、ボルボXC60 B6 Rデザインは、オルタナティブに対して敏感かつ肯定的になれる今日びの空気や気分を巧みに読み切っている。

何とか800万円アンダーに収まった車両価格といい、プレミアムなミドルSUVとして強烈な存在感を放つ1台だ。

XC60 B6 AWD Rデザイン スペック

税込み価格:799万円
全長×全幅×全高:4690×1915×1660mm
最低地上高:215mm
車両重量:1940kg
燃費(WLTC):11.1km/L
ドライブトレイン:1968cc直4ターボ+モーター
トランスミッション:8速オートマティック
最高出力(エンジン):300ps/5400rpm
最大トルク(エンジン):42.8kg-m/2100-4800rpm
最高出力(モーター):13.6ps/3000rpm
最大トルク(モーター):4.1kg-m/2250rpm

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