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車にはあるけど…バイクの運転代行って存在するのか?

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車にはあるけど…バイクの運転代行って存在するのか?

■そもそもバイクの運転代行は存在するのか

 運転代行は、1970年代後半あたりから、自家用車で移動することが多い地方都市を中心に発達したサービスとされています。警察白書によれば、2017年の時点で全国には8850の自動車運転代行業者があり、これは、2002年の4148と比べて、2倍以上成長したことになります。この自動車運転代行業の成長には、飲酒運転の罰則強化とも関係していると言われています。

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 車では広く普及したサービスですので、バイクの運転代行もあればよさそうですが、残念ながらバイクの運転代行は存在しません。ではなぜ、バイクの運転代行は存在しないと言えるのでしょうか。

 バイクの運転代行が存在しないことを説明するために、まずは、車の運転代行とは、どのようなサービスかを見てみましょう。全国運転代行協会によれば、運転代行の仕組みは次のようになっています。

 まず、運転代行は、主に飲酒のために自分の車を運転することができなくなった依頼者に代わり、依頼者の車(客車)を運転するサービスです。通常、2人1組でサービスを提供します。1人が客車に依頼者を乗せて運転し、もう1人は代行業者の車(随伴車)を運転して追走します。依頼者を目的地に送り届けた後に、随伴車が、客車を運転していた運転手を回収して、営業所に戻ります。

 このような仕組みで、運転代行はサービスが提供されていますが、法律によっても運転代行が定義されています。

 法律では次の3点が規定されています。1つ目は、飲酒で運転できなくなった者に代わって車を運転する、2つ目は客車に依頼者を同乗させる、3つ目は、客車に代行業者の車が随伴することです。また、随伴車に依頼者を乗せることは、白タク類似行為となり法律で禁止されていますし、客車を運転する運転手は、旅客運送のための2種免許が必要であることも決められています。

 運転代行は、このように法律で規定された下で提供されているサービスなのです。依頼者を目的地に送り届けるサービスであり、運転には2種免許が必要な点は、タクシーとも似たサービスと言えますが、依頼者が同乗できるのは客車だけであって、随伴車には依頼者を乗せることができない点に注意が必要です。

 車の運転代行について、ここまで分かると、バイクの運転代行が存在しない理由が見えてくるのではないでしょうか。次に、バイクの運転代行が存在しない理由を考えてみましょう。

■なぜバイクの代行は存在しないのか

 バイクの運転代行が存在しないのは、やはり、運転代行について法律で細かく規定されていることが大きな理由でしょう。

 客車を運転する運転手は2種免許が必要ですが、バイクには2種免許がありません。そのため、この時点で、バイクの運転代行はサービスが提供できないことになります。仮に、バイクにも2種免許があったとしても、飲酒をした酔客をバイクの後部に乗せて2人乗りで移動するというのは、危険が伴いそうですので、サービスとして提供するのは、難しいのではないでしょうか。

 それでは、依頼者のバイクに運転代行の運転手と依頼者が2人乗りをするのではなく、依頼者を随伴車に乗れるようにしたらよいのではとなりますが、これも白タク類似行為となり、禁止されています。

 運転代行ではなくなりますが、仮に、バイクを積載できるような大型のタクシーがあれば、バイクと一緒にタクシーに乗り、目的地まで送り届けてもらうことができます。ただし、これにも問題があります。バイクを積載して有償で運ぶとなると、一般貨物自動車運送業となりますので、通常のタクシーではサービスを提供できません。そのため、バイクを搭載できるタクシーと言うのも、現実的ではないと言えます。

そうしたなかで、バイク輸送だけを依頼するのであれば、バイク輸送を手掛ける運送業者は存在します。引っ越しなどでバイクの輸送が必要になった際に、依頼することができるバイク輸送サービスがあります。こういった業者の一部には、夜間の輸送に対応している業者もあるようですので、今後需要が増えれば、飲酒後は、バイク輸送のみを運送業者に依頼して、依頼者は電車やバス、タクシーなどの公共交通機関で帰宅するということが、各地で可能になるかもしれません。しかしながら、夜間にこのようなサービスを提供している運送業者は、極めて数が少ないのが現状です。

 バイクの運転代行は存在しませんし、飲酒後にバイクを自宅まで届けてもらえるような運転代行に類似するサービスの利用も、現時点では難しいと言えるでしょう。飲酒をすることが分かっているのであれば、始めからバイクに乗らずに、公共交通機関などを利用して移動するのがよいようです。また、バイクに乗って出かけたのに、アルコールを口にしてしまったのであれば、バイクを安全な場所に置いて帰宅をし、後日バイクを取りに行くか、帰宅することをあきらめて近くのホテルに宿泊するなど、飲酒運転をすることがないように気をつけなければなりません。

※ ※ ※

 日常の足としてバイクに乗っていると、バイクにも運転代行があれば利用したいと思う機会があるのではないでしょうか。しかしながら、バイクの運転代行に需要があったとしても、運転代行は法律によってサービスが規定されているため、バイクの運転代行が事業として認可されることは、法律が改正されない限りありません。バイクが使えないのは不便ではありますが、アルコールを口にする際には、公共交通機関を利用するなどして、飲酒運転をしないように注意をすることが大切です。

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みんなのコメント

3件
  • 例えば、2種免許持った人が「営業ナンバー取った乗用ハイエース」でバイク手荷物扱いならできるかも?ってこと。
  • なんやこれ…

    車に比べてコメントの少ないこと…
    俺 悔しいよ。

    まぁ、こんなところにも客層の貧弱さが現れてるよな。
    市場が小さいんだから仕方ないか。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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