2020年に日本市場にもデビューを果たしたEV(電気自動車)のアウディeトロンシリーズ。まずはプレミアムな大型SUVスタイルからの導入となったが、海外では早くもコンパクトSUVセグメントの「アウディ Q4 eトロン クワトロ(Audi Q4 e-tron quattro)」プロトタイプに試乗するチャンスがやってきた。(Motor Magazine2021年5月号より)
先進のAR(拡張現実)ナビゲーションを装備
日本では、ようやく日産、三菱以外(ホンダとマツダ)から本格的なEVが市場投入されたが、ドイツではすでに3年前から、10車種以上のEVが発表され、発売が始まっている。今回、試乗会が開催されたアウディQ4 eトロン(以下、Q4)は、まだプロトタイプではあるが2021年の夏には発売が開始される同社3番目のEVである。
●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
低く垂れ込めた晩冬の曇り空の下に現れたQ4は、そこだけ切り抜かれたような派手な赤白黒のカモフラージュをまとって現れた。全長4.49×全幅1.87×全高1.61m、ホイールベース2.76mのQ4は、フォルクスワーゲングループが開発したEV専用のモジュールMEBをベースにしている。
またサイズとクロスオーバーSUV風のデザインから見れば、フォルクスワーゲンID.4のアウディ版と言える。エクステリアデザインの詳細は見極め難いものの、2019年のジュネーブモーターショーに登場したコンセプトモデルに近く、eトロンシリーズの延長であることは間違いない。
ちなみに初代eトロンは「Q6 eトロン」とは名乗らず、例外的に「eトロン」だけのままでしばらくはカタログに載る。「45」とか「35」とかの数字を含め、複雑で一貫性がない最近のアウディのネーミングは、混乱を招き残念だ。
さて話題を変えて、今回公開されたインテリアに移ろう。インターフェイスにはドライバー正面の10.25インチのバーチャルコックピット、そしてダッシュボード中央の11.6インチMMIタッチスクリーン(オプション。スタンダードは10.1インチ)を採用。OSは最新のMIB-IIIで、もちろん「ヘイ、アウディ!」で反応し、情報を得ることができる。
センターコンソール部のドライブセレクターパネルがフローティングデザインに変更され、MMIダイヤルとその周辺のボタンは消滅、カップホルダーが用意された。またセンタートンネルがなくなったおかげで中央の物入れは25Lもの容量を持っている。
室内はQ5並みの広さを確保、リアシートには大人3名乗車が可能で70mmほど着座位置が高いので、視界も良好だ。トランクルームは通常で520L、リアシートのバックレストを倒すと天井までのラケッジルームは1490Lとなる。新しいデザインの4スポークハンドルは上下部分が平らに切り取られ、幅広スポークの左右は小さなタッチパネルになっている。
アップデートされたインフォテインメントの中でもARナビゲーションこそがハイライトと言えるだろう。ダッシュボード下に埋め込まれた高輝度PGU(ピクチャージェネレーションユニット)によって生成されるビームと、前述のアップデートされたソフトウエアによって、毎秒60フレームのナビゲーション情報が液晶ディスプレイに鮮明に表示される。
ドライバーの視線の先3メートルに70インチ相当に拡大された画面が出現するイメージだが、新しい技術だけに機能や使いかたを学ぶ必要もある。26個のペットボトル素材からできあがったシート表皮などリサイクル材料を使ったインテリア/キャビンの仕上げや質感は、ID.4を大きく超えたアウディクオリティを実現している。
ロングディスタンスを実現する後輪駆動版も計画
パワートレーンは電気モーターを前後のアクスルに搭載したクワトロシステムで、総出力は306ps、0→100km/hはおよそ6秒プラスアルファ、最高速度は180km/hでリミッターが介入する。また床下の電池は82kWhの容量で航続距離は450kmと発表されているが、将来的には500kmまで伸びる後輪駆動バージョン、さらにはスポーツバックも追加される。
アクセルペダルを踏み込むと、Q4は静々とクリープ走行を始める。もちろん加速は鋭く、一瞬にして交通の流れに乗ることが可能だ。セレクトスイッチはDと回生力の強いBの2段階、ドライブモードはエフィシェンシー、コンフォート、オート、ダイナミック、インディビデュアルの5種類が用意されている。さらにパドルで3段階の回生力調整も可能で、最大で0.3Gの減速度を得ることができる。
アウディのマルクス・ディースマン社長はこの試乗会の終了後に、まず同社は内燃機関の新規開発を取りやめる、そして2025年までにA1からA8の価格帯に合わせたニューEVを20種類発売すると公表した。このような問題の核心をついたメッセージは日本の自動車メーカーからは届いてこない。
これでは日独、日本と世界の自動車におけるカーボンニュートラル解決に向けての取り組みの差は大きく開くばかりである。Q4 eトロンが良いクルマであっただけにちょっと憂鬱になってしまった。(文:アレキサンダー・オーステルン<キムラ・オフィス>/写真:キムラ・オフィス)
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