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3988ccで928馬力 マクラーレンが誇るV8エンジン 「技術的ジレンマ」に挑むMHP-8の秘密

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3988ccで928馬力 マクラーレンが誇るV8エンジン 「技術的ジレンマ」に挑むMHP-8の秘密

細部にまでこだわった驚異的な内燃機関

マクラーレンの新型スーパーカーW1に搭載される3988ccのツインターボV8エンジン「MHP-8」は、同社がこれまでに生産した中で最も出力密度の高い内燃機関であり、排気量1.0Lあたり約233psの出力と9200rpmの最高回転数を誇る。

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このV8エンジンはリカルド社によって生産される。2011年のMP4-12C用のM838Tエンジンを皮切りに、マクラーレン・オートモーティブ向けに3万8000台のエンジンを生産してきたメーカーだ。

設計には、いくつか特徴的なディテールが見られる。例えば、バルブトレイン。エンジンの中でも特に大きな負荷がかかる部分であり、エンジン設計者がジレンマに陥るところでもある。一方の問題に対処すると、また別の問題を引き起こす可能性がある。

その悪魔の1つがバルブバウンスと呼ばれる現象だ。高速で動く吸気バルブと排気バルブが、閉じる際にシートに接触して跳ねてしまうというもので、損傷や故障につながる。

これを解決する古典的な方法として、強力なダブル・バルブスプリングを使用することがある。しかし、それではバルブを開くのにより大きな力が必要となり、バルブトレインにかかる負荷がさらに増大する。

MHP-8では、軽量の中空構造の吸気バルブを採用してシングル・バルブスプリングとし、負荷を軽減している。中空排気バルブは高温になるため、ヘッドから熱を逃がすためにナトリウム充填という伝統的な方法を採用している。

最近よく使われるようになった技術としては、カムに作用してバルブを開くフィンガーフォロワーのダイヤモンド・ライク・カーボン(DLC)コーティングがある。DLCは表面の摩擦抵抗を減らし、バルブトレインの負荷も軽減する。

アルミニウム合金ブロックのシリンダーボアには、プラズマ溶射コーティングという処理が施されている。ピストンは合金ボアの中ではスライドできず、素材が柔らかすぎるため、従来は鋳鉄ライナーを挿入していた。プラズマ溶射コーティングはその代替となる最新技術であり、重量と摩擦を減らすことができる。

ドライサンプ潤滑システムには、電子制御の可変容量オイルポンプが採用されており、オイルを汲み上げる際の消費エネルギーを最小限に抑える。

吸気側では、エンジンに直噴とポート燃料噴射の両方が使用される。これは珍しいことではなく、各メーカーはそれぞれの長所を生かす独自の戦略を持っている。

通常、直噴は高回転時に燃料と空気の混合を最適化し、シリンダー内の空気を冷却する。ポート燃料噴射は低回転時に使用され、安定した燃焼を促す。

各シリンダーバンクにはツインスクロール・ターボチャージャーが1基ずつ搭載され、排気パルスを分離することで素早いレスポンスを実現する。このように細部にまでこだわった結果、最高出力928psを発生するエンジンが誕生した。

トランスミッションに内蔵された電気モーター(Eモジュール)と組み合わせることで、合計出力は1275psに達し、2500rpmから136kg-mの大トルクを発揮する。実に強力だ。

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みんなのコメント

1件
  • りょう
    そろそろ市販車にもニューマチックバルブが使われるかも。プラズマコーティングは日本の技術だったけどよそもできるようになったのかな?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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