2週間のレースウィーク中にマン島へやってくるバイクは1万数千台以上。最新バイクから旧車まで、洋の東西を問わずいろいろなバイクが集まる。さながらそれは“動くバイク博物館”で、レースのない日などはバイクを眺めているだけでも楽しめるのだ。
観戦者はどこからやって来る?
【画像33点】マン島TTウィークで見かけたレア車、懐かしいちょい古日本車を全部チェック!
TTウィーク中のマン島へやってくるのは、当然ながら大半がイギリスのナンバープレートを付けたバイクだ。イギリスがEUに加盟していた頃は、EU規格のナンバープレートに「GB」の文字が表記されていたため判別するのにやや手間取ったが、2020年にイギリスがブレクジット=EU(欧州連合)離脱をして以降、ナンバープレートはイギリス独自の黄色一色のものへ切り替わったので判別しやすくなった。
ちなみにマン島はイギリス同様の黄色のナンバープレートだが、マン島の国旗にもあしわられている三脚巴(さんきゃくともえ)が描かれているので、すぐにそれとわかる。
次いでよく見かけるのがフランスとドイツで、イタリア、ベルギー、オランダ、スイス、スペイン、アイルランドなど西ヨーロッパ各国のナンバープレートを見かける。しかしまれにアメリカやオーストラリア、中国のナンバープレートを見かけることもある。アメリカとオーストラリアのナンバープレートを付けたバイクは世界一周中であることも珍しくなく、やはり大海を越えて来るにはそれだけの気力と労力が必要なのだ。
日本製バイクをはじめ、70~90年代の懐かしいバイクも多数存在
日本4メーカーのバイクが多勢ではあるが、やはりお膝元のトライアンフの比率は日本よりもグンと増える。もちろんBMW、KTM、ドゥカティ、アプリリア、モトグッツィ、MVアグスタなどのヨーロッパメーカーの比率も日本より格段に多い。ハーレーダビッドソンは日本よりも少ないが、ここ数年で増えてきた印象がある。
バイクのカテゴリーでいうと、スーパースポーツが大多数かと思いきや、アドベンチャーツアラーとおおよそ半々、ひょっとすると後者のほうが多いかもしれない。やはりマン島までの長距離を走ってくるには都合がいいのだろう。10年ほど前まではBMW・GSシリーズが大多数だったが、近年はドゥカティ・ムルティストラーダを筆頭にトライアンフ・タイガーシリーズやKTMのアドベンチャー系が増えている。
バイクの新旧では、ここ10年ほどに発売されたバイクが目立つものの、1980~90年代のプチ旧車も少なくない。そしてトライアンフやノートン、BSAなどのイギリス黄金時代を築いた旧車(50~70年代)を見かける。
いずれも数をカウントしたわけではないから正確性には欠けるが、日本とはずいぶんと様相は違っている。当然といえば当然だが、ここではそんなバイクの中から独断と偏見で選んだ日本製プチ旧車たちをメインにご覧いただこう。
【日本製70年代モデルも健在】
■「おお、往年のホンダレーサー!」と思いきや、こちらはオーナーが作り上げたRC181レプリカで、ベース車両はCB500Fourとのこと。RC181はホンダが500ccクラスに初参戦したレーサーで、デビューイヤーの1966年にジム・レッドマンとマイク・ヘイルウッドが走らせてシーズン5勝を挙げた。
■ホンダCB750Four(おそらくK7?)に装着されているパニアケースは、ひょっとすると当時の純正品かもしれない。一見するとノーマルかと思いきや、ほぼ直管みたいなマフラーを装着。相当に元気であろうサウンドは、残念ながら聞けなかった。
■サイドカバーに小さくレタリングされた車名は「DT175」。空冷2ストエンジン搭載の同車は、年式は不明ながらモノサス採用のため78年以降モデルだろう。こちらも丁寧に乗っていることがわかるコンディション。ちなみにナンバープレートはドイツだが、これで自走してきたの?
意外に多い80〜90年の日本製モデルetc.
※以下、抜粋した車両写真の説明
■良好なコンディションのスズキGS1000はスズキ初のリッターバイクだが、このモデルはGS1000G(80〜)という駆動方式をチェーンからシャフトに変更した仕様(そちら側の写真がなくて申し訳ない……)。国内でもGS750(後にE)に対してシャフト駆動のGS750Gが販売された。
■これまたグッドコンディションのヤマハRD350LC(80〜)のオーナーは、マン島在住のトレーシーさん。2ストロークが好きで、14年前に購入した愛車にはカストロールのエンジンオイルを使い、「その匂いが好きなのよ! RD350はパーフェクトなバイク」と大絶賛。
■ゼッケンスペースこそないものの、80年代のGPや耐久ワークスマシンなどで活躍したスズキ×ハーベーカラー(独のタバコブランド)が美しく再現された油冷のGSX-R1100(86〜)。島内では半袖短パンで走るライダーも多いのだが、こちらのライダーは上下ともレザーを着用しているところも好ましいポイント。
■1989年に発売されたTT-F1のホモロゲモデル、スズキGSX-R750R(通称RK)。ナンバープレートを見るとオーナーはフランス住まいで、マン島TTだけでなくル・マン24時間耐久レースも観戦しているレースファンのようだ。
■ヨーロッパでは見るのが珍しいエリミネーター250LXは、エリミネーター250シリーズのスポークホイール仕様で89年登場。もはや日本でもめったに見る機会はない気がする……。
■2気筒エンジンで270度クランクをいち早く採用したTRX850(95〜)。オーナーは左の男性で、所有してから16年。エンジン、ライディングポジション、サウンドが気に入っているそうだ。ちなみに右の女性は現役サイドカーライダーで、今年のマン島TTに参戦していた。
■今では日本でもめったに遭遇しないスズキ・ストリートマジック(97〜)。日本では50/110ccがあったが、欧州の一部地域で主に販売されたのは、意外にも50cc(TR50)だった模様。2スト好きはイギリスにも多くいて、NSR250R、RD350などはわりと見かけるが、「ストマジ」を見たのは初めてだ。
■ここはコース終盤のクレッグ・ニー・バーのバイク駐車場で、ざっと200台以上が停まっている。1世代前(2世代?)のスーパースポーツがこうして並ぶ光景は珍しくない。
Photo&Report●山下 剛(Yamashita Takeshi)
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