現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 「良心的」「燃費もスゲェ!」特別なものは何もない、なのに好バランス……スズキ「ジクサー150」試乗インプレッション

ここから本文です

「良心的」「燃費もスゲェ!」特別なものは何もない、なのに好バランス……スズキ「ジクサー150」試乗インプレッション

掲載
「良心的」「燃費もスゲェ!」特別なものは何もない、なのに好バランス……スズキ「ジクサー150」試乗インプレッション

ロングストロークの空冷エンジンが心地好い!

スズキの軽二輪スタンダードスポーツ「ジクサー150」が2025年モデルも価格据え置きで登場。さっそく試乗してみた。中途半端にも思える排気量や良心的な価格から想像するよりも優しく芯のあるキャラクターは、スズキらしさにあふれていた。

→【画像13枚】スズキ「ジクサー150」のディテール解説

●文:ヤングマシン編集部(ヨ) ●写真:楠堂亜希 ●外部リンク:スズキ

コスパモンスター、それだけだと思っていたら

これまでなかなか試乗する機会のなかった(筆者がたまたま試乗機会に恵まれなかった)スズキの軽二輪スタンダードモデル「ジクサー150」に乗ることができたのでインプレッションをお届けしたい。

高速道路やバイパスを走れる126cc以上、かつマニュアルトランスミッション車というくくりで見れば、38万5000円という車両価格は最安だ。そんな予備知識から、乗り手としてはコストパフォーマンスの部分にフォーカスを当てて試乗記を構成するつもりで乗りはじめた……のだが、走りはじめて最初の数秒でアテが外れてしまった。

なんというか、優しい乗り味の中にしっかりとした芯があって、よく出来たスタンダードスポーツなのである。これは安さ云々で評価するだけじゃ足りないぞ、と早々に考えを改めることになった。

―― あれ? こんなに気持ちよく走れるんだ……と早々に気付く。

何がいいって、まずはロングストローク設定の空冷単気筒エンジンだ。聞くところによると、排ガス規制への対応でだいぶマイルドな性格になったというが、前モデルに試乗経験がない身からすればとにかく優しい特性だ。低回転から粘りがあり、どの回転域からでも必要十分なトルクを発生する。

5速ギヤだが、エンジン特性から各ギヤのカバー範囲は広く、さっさとシフトアップ、またはギヤチェンジを適当にサボって走ってもOK。高回転域まで回しても正直言って速いわけではないが、角のない振動と交通の流れに乗るには十分なパワーで、あらゆる状況下で扱いやすい。

また、小さめの排気量ながらロングストローク設定によるストライドの長い加速感(鼓動の一発一発の間隔と進む距離の関係で歩幅が長いように感じる)が心地よく、自然に長い距離を走りたくなるキャラクターだ。

高速道路も少し走ったが、上半身を全く伏せない状態では最高速度100km/hが出るか出ないかといったところ。ベタ伏せかつ下り坂なら120km/hも出なくはないが、快適なのは80km/h~90km/hあたりだった。

エンジンと好バランスの車体まわり

次に感心したのはサスペンションだ。廉価な車両価格を実現するため普通もしくは低コストの足まわりのはずなのだが、思ったよりもしっかりとした減衰力があって、動きが良く乗り心地もいいのに程よく吸収性も備えている。特にフロントフォークはバイブレ製キャリパーが発生する制動力と好バランスで、街中でもワインディングロードでも安心してブレーキレバーを引いていくことができる。

リヤサスペンションは、2人乗りを想定しているためかやや硬めでリヤ車高もやや高い。1人で乗るのがほとんど、また大荷物も普段は積まないというのであれば、リヤショックのプリロードを1段抜いてもいいんじゃないだろうか。とはいえ、標準仕様のままでも違和感があるというほどではない。

少し気になったのはシートだ。クッション性はしっかりしていて乗り心地も悪くないが、大柄な筆者(身長183cm)だと少し後ろのほうに座りたくなるところ、座面が前傾気味なためシッティングポイントが前方に限定されがちなのだ。たまたま取材で一緒になった岡崎静夏さん(身長158cm)は気にならなかったようなので、体格によって感じ方は違いそうだが、筆者と同じような体格の方は購入の前に少し長めの時間を試乗してみたほうがいいかもしれない。

ただし、気になるのは直線をクルージングしているときだけで、ワインディングロードを積極的に走ろうとすると、このシートがちょうどいいと感じるようになったことを追記しておきたい。

―― ライディングポジションは、上半身がわずかに前傾するスポーツネイキッドのそれで、全体にコンパクト。足着きもよく、また小柄な方でも車重が軽いため支えやすそう。膝まわりやハンドルグリップも気になるところはない。体格と車格が合っていないとカメラマンからも指摘があったがご愛敬ということで……。【身長183cm/体重81kg】

デジタルLCDメーターの視認性はかなりよく、必要な情報が整理されているので指針式をこのむ筆者でも把握しやすい。

ちなみに、燃費が優れているとあちこちで言われるジクサー150だが、申し訳ないことに今回はアップダウンの激しいワインディングロードなど走行条件がまあまあ厳しめだったため、実測値(満タン法)では35.3km/Lほどだった。とはいうものの、この状況でも35km/Lを切らんのか……というのが正直なところだ。

WMTCモード燃費は50.0km/Lで、ネット界隈で見られる実測燃費もそれに近いか、ツーリング燃費ではさらなる低燃費を報告している例も多い。今回の試乗でも、街乗りメインならば普通に40km/Lくらいは走るだろうなと思えた。

デザインはマフラーカバーやタンク形状などけっこう凝っていて、ヘッドライト&テールライトにLEDを採用しているのも立派だ。

特別な装備はないが、限られたコストの中で可能な限りの好バランスを追求しているのがよくわかる。優しく乗りやすく、尖りすぎていないデザイン性も○。街乗りやツーリングがメインで、たまにバイパスや高速道路も走る必要があるといった方には、いい相棒になりそう。初心者だけでなくベテランのセカンドバイクにもすすめられる、またサーキットで低いリスクで練習したいといった方(バンク角対策は必須だが)にも悪くにかもしれない。そんな、意外なほどの秀作バイクがジクサー150だった。

SUZUKI GIXXER 150[2025 model]

―― 試乗車の車体色は「トリトンブルーメタリック/パールグレッシャーホワイト(AGQ)」

主要諸元■全長2020 全幅800 全高1035 軸距1335 シート高795(各mm) 車重139kg(装備)■空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ 154cc 13ps/8000rpm 1.3kg-m/5750rpm 変速機6段 燃料タンク容量12L■タイヤサイズF=100/80-17 R=140/60R17 ●価格:38万5000円 ●色:青×白、灰、黒 ●発売日:2025年3月21日

―― LCDメーターはバーグラフ式の回転計、数字式の速度計、燃料残量計、オド&トリップ、時計、ギヤポジションインジケーターを表示。

―― コンパクトな空冷単気筒エンジンはロングストローク設定。優しい鼓動感と(排気量なりに)豊かな低回転トルクを約束する。

―― 容量12Lの燃料タンクは下半身でのホールドもしやすい。

―― しっかりしたクッションのシート。座面はやや前傾気味。

―― LEDテールランプは車体デザインに溶け込む。ウインカーはバルブ式。

―― 独特の表情を見せるLEDヘッドライトは意外なほどの大光量。

―― リヤタイヤはラジアル。後輪ABSは比装備だ。

―― 前輪のみABSを装備。タイヤはバイアスを履く。

※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

ホンダ新型「フィット」まもなく登場!? 3年ぶり顔面刷新で「斬新顔」に? 細スギ「ヘッドライト」がカッコイイ「新モデル」に登場に期待
ホンダ新型「フィット」まもなく登場!? 3年ぶり顔面刷新で「斬新顔」に? 細スギ「ヘッドライト」がカッコイイ「新モデル」に登場に期待
くるまのニュース
小椋藍、懸念払拭し6ポイント獲得「完走が目標だったけど、良い位置で終えられた」/第9戦イタリアGP 決勝
小椋藍、懸念払拭し6ポイント獲得「完走が目標だったけど、良い位置で終えられた」/第9戦イタリアGP 決勝
AUTOSPORT web
なぜミサイル発射は「ブオオオオ!」と炎を上げるタイプと「スポンッ!」と飛び出すタイプがあるの? それぞれの特徴と利点とは
なぜミサイル発射は「ブオオオオ!」と炎を上げるタイプと「スポンッ!」と飛び出すタイプがあるの? それぞれの特徴と利点とは
乗りものニュース
660ccで「1000万円」超え! 斬新「2人乗り“軽自動車”」がスゴい! スズキエンジン×クラシックデザインを採用! 段違いに高額・軽量な「ケータハム スーパセブン600」どんな車?
660ccで「1000万円」超え! 斬新「2人乗り“軽自動車”」がスゴい! スズキエンジン×クラシックデザインを採用! 段違いに高額・軽量な「ケータハム スーパセブン600」どんな車?
くるまのニュース
「3度目の梅雨入りに最適!」「履きやすそう」ダイヤル式ライディングシューズに防水モデルが登場
「3度目の梅雨入りに最適!」「履きやすそう」ダイヤル式ライディングシューズに防水モデルが登場
WEBヤングマシン
千葉・一宮の海と緑に囲まれた“プライベート空間”!? サーファーにも人気の「一宮海水浴場」までアクセス抜群の立地に誕生する一棟貸しヴィラの特徴とは
千葉・一宮の海と緑に囲まれた“プライベート空間”!? サーファーにも人気の「一宮海水浴場」までアクセス抜群の立地に誕生する一棟貸しヴィラの特徴とは
VAGUE
【ポイントランキング】2025MotoGP第9戦イタリアGP終了時点
【ポイントランキング】2025MotoGP第9戦イタリアGP終了時点
AUTOSPORT web
GT-R生産も……期待のスーパースポーツLFA IIが爆誕!?
GT-R生産も……期待のスーパースポーツLFA IIが爆誕!?
ベストカーWeb
スズキEA11R型「カプチーノ」で東北660ターボGPに参戦! 純正タービンまま改造範囲の広い上位クラスで王者に
スズキEA11R型「カプチーノ」で東北660ターボGPに参戦! 純正タービンまま改造範囲の広い上位クラスで王者に
Auto Messe Web
なぜマレリは「2度目の破綻」に追い込まれたのか? 負債1.2兆円と「日産依存3割」の呪縛――インド社主導の再編劇が突きつける“非情な現実”
なぜマレリは「2度目の破綻」に追い込まれたのか? 負債1.2兆円と「日産依存3割」の呪縛――インド社主導の再編劇が突きつける“非情な現実”
Merkmal
ファンティック「キャバレロ ラリー125」【1分で読める 原付二種解説 2025年現行モデル】
ファンティック「キャバレロ ラリー125」【1分で読める 原付二種解説 2025年現行モデル】
webオートバイ
ローヴェBMWが総合優勝。トップチェッカーのマンタイは100秒ペナルティに泣く/第53回ニュル24時間
ローヴェBMWが総合優勝。トップチェッカーのマンタイは100秒ペナルティに泣く/第53回ニュル24時間
AUTOSPORT web
高級車と言えば今も昔も変わらない!! 天下のロールスロイスが描く特別な世界
高級車と言えば今も昔も変わらない!! 天下のロールスロイスが描く特別な世界
ベストカーWeb
マルク・マルケス、ドゥカティ同士の限界バトル制して11年ぶりイタリア勝利! 小椋がトップ10入り|MotoGPイタリアGP決勝
マルク・マルケス、ドゥカティ同士の限界バトル制して11年ぶりイタリア勝利! 小椋がトップ10入り|MotoGPイタリアGP決勝
motorsport.com 日本版
弟従えM.マルケスがリードし同地11年ぶり優勝。残り2周でバニャイア表彰台逃す/第9戦イタリアGP
弟従えM.マルケスがリードし同地11年ぶり優勝。残り2周でバニャイア表彰台逃す/第9戦イタリアGP
AUTOSPORT web
Eクラスが売れなくなる!? クラスを超えた質感に驚いた メルセデスベンツ4代目Cクラス初試乗【ベストカーアーカイブス2014】
Eクラスが売れなくなる!? クラスを超えた質感に驚いた メルセデスベンツ4代目Cクラス初試乗【ベストカーアーカイブス2014】
ベストカーWeb
アップルウォッチを夏仕様に! さわやかなブルーストラップと削り出しカーボンケースのカッコよさとは
アップルウォッチを夏仕様に! さわやかなブルーストラップと削り出しカーボンケースのカッコよさとは
VAGUE
なにコレ自転車? 電動バイク? 家電? 2輪車の概念を変える超スマートなカード型バイク
なにコレ自転車? 電動バイク? 家電? 2輪車の概念を変える超スマートなカード型バイク
バイクのニュース

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村