F1第3戦オーストラリアGPの予選で8番手を獲得した角田裕毅(RB)は、予選後、義務付けられているメディアからの取材を済ませた後、RBのホスピタリティハウスに戻って行った。そして、ホスピタリティハウスの屋外のテラス席に座っていた22号車担当のエンジニアたちの元へ近づき、まずシステムエンジニアやパフォーマンスエンジニアと握手を交わして喜びを共有していた。エンジニアたちとの握手を終えるのを確認したレースエンジニアのマティア・スピニはおもむろに席を立ち、最後に角田を抱きしめて祝福した。
スピニはイタリア人だが、非常に冷静なエンジニアで、あまり感情を表に出さないタイプ。そのスピニに力強く抱きしめられた角田は、少し驚きながらも、心から喜んでいる様子だった。
角田裕毅が今季ベストの予選8番手「安定したマシンのおかげで、最大のパフォーマンスを発揮できた」RB/F1第3戦
角田が予選後にエンジニアたちの元へ向かったのには、理由があった。それは、この日、今シーズン最高のパフォーマンスを発揮できた最大の要因がエンジニアたちの努力だと角田が感じていたからだった。
「今週末は、フリー走行1回目から、とにかくクルマの感触がすごくよかったんです。だから、アタックでも無理することなく、クルマに自分のドライビングをアジャストするだけでよかったのが大きいと思います。アタックしていても、大きく挙動が乱れることもなかったので、特に大きなミスをすることもなく、どのアタックも自信を持って攻めることができました。チームに本当に感謝しています」
金曜日に「今シーズン、ここまでで最高の初日」と語っていた角田。その好調な走りは土曜日も続いた。フリー走行3回目で11番手につけて、手応えをつかんで臨んだ予選。Q1を8番手で通過した角田は、Q2も9番手につけて、前戦サウジアラビアGPに続いて2戦連続でQ3へ進出した。そして、迎えたQ3ではトップ5チームの一角であるアストンマーティンの2台を上回り、さらに前戦サウジアラビアGPでの自身の予選9番手を上回る今シーズンここまでで最高位となる8番手を獲得した。
「順位的にももちろん、今シーズン最高の結果でしたが、アタックラップもとても安定していて、今シーズンここまでで一番いい週末を送れていると思います」
予選後、そう語った角田。2戦連続でQ3へ進出したのは、じつは2021年の終盤のカタールGPから最終戦アブダビGPまでの3戦連続以来のこと。チームが不調だった2022年と2023年という厳しいシーズンを乗り越え、いま角田の走りもまた安定感が増し始めている。
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