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EVモードがデフォルト W214 メルセデスAMG E 53(2) 操縦性と快適性へ影を落とす要因とは?

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EVモードがデフォルト W214 メルセデスAMG E 53(2) 操縦性と快適性へ影を落とす要因とは?

電気だけで140km/hへ対応 静かで滑らかな加速

3.0L直6ツインターボ・プラグイン・ハイブリッドを得た、メルセデスAMG E 53の発進時は、エレクトリック・モードがデフォルト。なんと140km/hまで、エンジンを回さず対応でき、極めて静かで滑らかな加速を実現している。

【画像】ガソリン不燃で100km走るV6 HV採用 メルセデスAMG E 53 競合クラスのサルーンたち 全108枚

運転してみると、AMGらしさを端々から感じられる。ステアリングホイールの操舵感には重厚感があり、高精度。乗り心地は硬めながら上質で、姿勢制御には締まりがある。

ブレーキペダルへ力を込めると、踏み初めは若干スポンジーで小さな段付きがある。運動エネルギーが、4段階制御で電気エネルギーへ変換されるためだ。だが更に傾けていくと、頼もしい踏み応えとともに、強力な制動力が立ち上がる。

エンジンは、活発に扱うとスピーカーから合成音が再生される。これは、若干安っぽいかもしれない。サイドウインドウを開けば、繊細で調律の整った、リアルな6気筒の叫びが放たれている。聞き惚れるほどではないとしても。

エンジンとモーターの高い協調性 0-100km/h3.8秒

スポーツ・モードやスポーツ+モードへ切り替えると、エンジンは即座に始動。本来のパフォーマンスを発揮する準備が整う。電気モーターとの協調性は高く、回転数を問わずパワーデリバリーはリニア。粘り強さも見事で、加速力には息を呑む。

トルクコンバーター式9速ATの仕事には、小さな不満も。エンジンとモーターのパワーを滑らかに処理しきれない場面があり、変速も稀にぎこちなく感じられた。

とはいえ、0-100km/h加速は3.8秒。先代のE 53より0.7秒も鋭い。間接的に置き換える、V8エンジンを積んだ先代のE 63は、3.4秒で処理していたが。290kg重い、2240kgの車重が足かせになっているのだろう。

サスペンションは、前がダブルウイッシュボーン式で、後ろがマルチリンク式。ツインバルブのアダプティブダンパーが組まれ、姿勢制御の締りも良い。

車重の影響を隠さない高負荷時の操縦性

操縦性は、基本的には安定感に優れ好ましい。ステアリングの反応は正確で、自信を持ってフロントノーズの向きを選べる。高機能な四輪駆動システムは、手強いワインディングでも不満ないトラクションを保ってくれる。

連続するカーブでの、第一印象は機敏。ところが、ステアリングの切り角が増したり、積極的な回頭を求めると、車重が影響してか反応が若干鈍くなる。リアアクスルが、操縦に対してワンテンポ遅れるような感覚も伴う。

高負荷時には、安定感にもしわ寄せがある。スポーツ+モードでも、サスペンションは完全には姿勢を手中に収めきれない様子で、ラインが乱れる場面もあった。路面の凹凸を吸収しきれず、乗り心地にも陰りが出る。

全力を召喚しようとすると、トルクステアも感取される。トルクの急激な高まりを、四輪駆動システムは処理しきれていないのかもしれない。

ドライバーズカーとして先代は超えず 新たな強みも

燃費は、カタログ値で111.1km/Lが主張される。プラグインHVだから、駆動用バッテリーの充電でまかなえる範囲なら、ガソリンを燃やさず走行可能。一方でAMGらしく走らせれば、10分の1程度まで悪化しても不思議ではない。

電動化技術により、ドイツ伝統のブランドらしい、驚異的な動力性能を見せつけるAMG E 53。だが、V8エンジンを積んでいたE 63を置換するのに相応しい、操縦性や一体感までは得られていない。その要因は車重にある。

反面、電気だけで最長101km走れる能力は、新たな強み。向上した燃費も、長距離クルージング時のうれしい見返りになる。ドライバーズ・サルーンとしての魅力が、先代を超えたとはいえないとしても。

◯:凄まじいパワー感と加速力 短距離を電気自動車のように走れる二面性 AMGらしく高級感漂うインテリア
△:V8級のドラマチックさがない直6エンジン 高負荷時に車重を隠さない乗り心地と操縦性 人工のエンジン音

メルセデスAMG E 53 ハイブリッド 4マティック+ サルーン(英国仕様)のスペック

英国価格:9万2120ポンド(約1796万円)
全長:4959mm
全幅:1902mm
全高:1472mm
最高速度:280km/h(パフォーマンスプロ・パッケージ時)
0-100km/h加速:3.8秒(パフォーマンスプロ・パッケージ時)
燃費:100.0-111.1km/L
CO2排出量:19-23g/km
車両重量:2240kg
パワートレイン:直列6気筒2999cc ターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
駆動用バッテリー:21.2kWh
最高出力:585ps(システム総合)
最大トルク:76.3kg-m(システム総合)
ギアボックス:9速オートマティック(四輪駆動)

文:AUTOCAR JAPAN AUTOCAR JAPAN
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