意外にコンパクトに感じるサイズ
世界で一番売れているボルボ、ミッドサイズSUV『X60』。そのトップグレード『ウルトラT6AWDプラグインハイブリッド』に1000kmほど乗った話、その続きである。
【画像】世界で一番売れているボルボ!『XC60ウルトラT6 AWDプラグインハイブリッド』 全63枚
今回XC60と長い距離と時間を過ごして感じたのは、日本の公道で使いやすいボディサイズだった。
改めてサイズを記すと全長4710mm、全幅1900mm(B5)/1915mm(T6)、全高1660mm、ホイールベース2865mmとなる。決して小さくはないが、狭い路地のある筆者の自宅付近でも取り回しがよく、1900mmある全幅をそれほど広く感じないのは意外だった。
実は乗り始めた直後、立ち寄ったサービスエリアの駐車場で偶然XC90と隣になったところ、両車のサイズ差は想像以上で、XC60が意外にコンパクトであることに気がついた。
ちなみに取材車のボディカラーは『マルベリーレッド』と呼ばれる赤色なのだが、どちらかと言えばブラウン系に見える落ち着いた色合いだ。スペックシートでレッドという文字を見て驚いたほどだ。
プラグインハイブリッドは使い方次第
T6のパワーユニットは、253psの直列4気筒ターボとフロント52kW、リア107kWのツインモーターを組み合わせたプラグインハイブリッド(以下PHEV)。2180kgの車重を走らせるには十分なスペックだ。
ただ、PHEVに関しては、ユーザーの使い方次第だと感じた。実際にどうだったかをお伝えしよう。
最初に都内で車両を受け取り、そのまま静岡県東部の自宅まで『ドライブモード』はハイブリッド、『バッテリーの使用』は自動のまま120kmほどを走行した。ちなみに前者は、ハイブリッド、パワー、ピュア、オフロード、AWDの5種類、後者は自動、保留、充電の3種類から選べる。
高速道路中心のルートを流れに沿って走ると、途中でバッテリーが空(航続可能距離0km)になりエンジン走行となった。
そこで翌日、自宅で200V/3kWの普通充電を行ったところ、100%になるまで約6時間を要した。そこで表示されたバッテリーのみの航続距離は65km。カタログスペックは81kmだが、それまでの走行条件や季節を加味すれば妥当な数値だろう。
その後、数日は自宅周辺の街中を同条件で走ったところ、ほぼEV走行となった。そこから燃料計が下がることはなく、次にガソリンを多く使ったのは、取材で往復90kmほどを高速道路中心で走った時。そこでまたバッテリーが空になったからだ。
高速道路でも日本の法定速度内だとほぼEV走行となるが、もちろん、バッテリーの使用を『充電』切り替えれば走行中も強制的に充電可能だ。別日に試したところ、高速道路120kmほどの走行で、メーター読み3/4くらいを充電することができた。
体感上、1000km弱は走りそう
もちろんガソリンとバッテリー、両方を駆使した長距離移動も可能だ。
バッテリーが空の状態でエンジンの航続可能距離が830kmを示していたから、あくまで体感上だが、1000km弱は走りそう。ちなみに一時期1400kmを示したが、これはすぐに減ったので、そこまでは正確でないということだろう。これは若干不便に感じたところだった。
ここから導き出されるPHEVが向いているユーザー像は、走行ルートが街中(下道)中心であることと、自宅に充電環境があること。充電は3kWだと時間的にもどかしいが、残念ながら6kWには対応していないそうだ。
誤解しないで頂きたいのは、これらはあくまで使用用途に合うか合わないかという話で、PHEVの是非ではないこと。ちなみにせっかちな筆者は、PHEVこそ急速充電を使いたいと思ってしまった。
白眉レベルのエアサスペンション
さて、このXC60プラグインハイブリッドには『電子制御式4輪エアサスペンション/ドライビングモード選択式FOUR-Cアクティブパフォーマンスシャシー』が標準装備となっているのだが、これが白眉レベルの素晴らしいものだった。
後者に関してボルボの説明を引用すると、『道路と走行条件に合わせて最適な車高を保ち、ショックアブソーバーの減衰力を調整。ダイナミックな走りと洗練された乗り心地を両立』するものとなる。
XC60の足まわりは、タイヤがピレリPゼロという影響もあるのか、決して柔らかいものではない。むしろ路面からの入力はしっかりある印象だ。しかしその処理の仕方が絶妙。その入力を室内にガツンとは伝えず、乗員の身体は大きく揺らさず、あくまでフラットさを保つ。
以前試乗したマイルドハイブリッドモデルは非装着車で、ここの印象は劇的に違うものだった。とても車重が2t以上あるとは思えない乗り心地だ。
シートも柔らかすぎずバランスよく身体を支える印象。色遣いの優しいデザインのインテリアとあいまって、室内の居心地のよさもまた、ボルボXC60というクルマの白眉だと感じた。
これなら長く所有できそう
デビューから10年近く経つも、『電動化の踊り場』でモデルライフが長くなったXC60だが、昨年のビッグマイチェンなど改良を重ねてきており、例えばグーグル搭載のインターフェイスは現代的な使い方ができる。ひとつだけ古さを感じたのはADASの制御で、スイッチは使いやすいものの、速度および車線維持のさせ方にきめ細かさが足りなかった。
ちなみに古いと言えば、ウインカーの音質が昔から変わっていないような気がしたのは、逆に嬉しくなった部分だ。変わらない部分と、積み重ねた改良。ボルボの歴代最終モデル(=クラシック)が有してきた熟成感が、このX60にも確かにあったのだ。
価格1000万円超と聞くと高価に感じるかもしれないが、総じてその価格も納得の仕上がり。期間中、じわじわと好きになっていったのは本当の話で、これなら長く所有できそうと確信したのである。
……ということで、実はこの後にもう1台、別の熟成感溢れるボルボに乗ることができたので、この話は次回に続きます。
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