ベテランモータースポーツジャーナリスト、ピーター・ナイガード氏が、F1で起こるさまざまな出来事、サーキットで目にしたエピソード等について、幅広い知見を反映させて記す連載コラム。今回は、2026年からF1に参戦する予定のキャデラックF1チームがマイアミGPでローンチイベントを実施したことを受け、ドライバー候補のうわさや、開発の進捗状況についてまとめた(全2回)。
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キャデラックF1チームの参戦をF1とFIAが最終承認。2026年に11番目のチームが誕生へ
2025年にF1に参戦しているほぼすべてのチームが、2026年に現在のドライバーラインアップを継続する予定である一方で、新規参戦するキャデラックは、現時点でふたつの空席を持っている。そのため、初めてF1の舞台に立ちたい者や復帰を目指す者など、多くのドライバーにとって、キャデラックは魅力的な存在としてとらえられている。
「多くのドライバーが私に連絡を取ってきている」と、キャデラックF1チーム代表のグレアム・ロードンは、F1マイアミGPの週末に明かした。「私の手元には6人から10人のドライバーのリストがある」
ロードンは、2026年のドライバーのうち少なくともひとりはできるだけ早く確定させたいと考えているものの、時間は彼の味方でもある。現在F1シートがなく、2026年に向けて契約を獲得したいと考えているドライバーたちには、キャデラック以外に現実的な選択肢が存在しないからである。
■キャデラックF1が開催した奇妙なレッドカーペットイベント
マイアミGPの土曜夜、キャデラックはやや奇妙で、多くの者が「期待外れ」とも感じたであろうプレゼンテーションを行った。『Queen Miami Beach』(マイアミで一番おいしい寿司を出す店だ)において行われたその発表会には、レッドカーペットが敷かれ、セレブリティが集まり、フィンガーフードが振る舞われたが、新たなF1プログラムの“プレゼンテーション”は、90秒の動画を流しただけで終わった。
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アウディが2022年のベルギーGPでF1参戦を発表した際には、少なくともショーカーを企業カラーに塗装する努力はしていたが、キャデラックは、宇宙船、女性、そしてアニメーションが登場するビデオのみで済ませた。F1メディアがこのイベントから得られた唯一の情報は、新たなチームのロゴだったが、それは伝統的なキャデラックの紋章に『Formula 1 Team』という文字を追加した、誰も驚かないデザインだった。
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■キャデラックF1のドライバー候補
一方、寿司レストランの外では、大勢のメキシコ人F1ファンたちが、「チェコを獲得しろ、チェコを獲得しろ」と、キャデラックの経営陣に対して盛大にアピールしていた。
チェコとはもちろん、2024年末にF1シートを失い、休業中のセルジオ・ペレスのことである。大勢の人々が、ペレスはすでにキャデラックの新F1チームと契約を結んでいると確信している。2024年後半、レッドブルで壊滅的な低迷に陥っていたことを忘れるなら、キャデラックにとってペレスは理にかなった選択である。彼には経験があり、レースでの勝利もあり、トップチームがどのように機能するかについての洞察もあり、そして大口スポンサーを引き寄せる力もある。
さらに、ペレスはメキシコGPを盛り上げることもできる。ここ数年にわたり、ペレスの熱狂的なファンたちは、メキシコシティでのレースにおいて祝祭的な雰囲気を作り出してきた。
ペレスとレッドブルとの契約が終了した直後に、F1とアウトドローモ・エルマノス・ロドリゲスとの契約が満了するのは、非常にタイミングが悪かった。しかしメキシコシティGPは契約を延長し、2028年までF1カレンダーにその地位を確保した。ペレスがキャデラックと3年契約を結んだ、あるいは結ぶ予定であるといううわさがささやかれていることと、メキシコの新契約締結は、おそらく偶然ではないだろう。
キャデラックのふたつめのシートについては、チーム代表ロードンとキャデラックの他の経営陣はアメリカ人ドライバーを望んでいるが、選択肢は限られている。F1で1年半の経験を持つローガン・サージェントは、2024年のウイリアムズでの失望の後、レース活動から退いている。他のアメリカ人には必要なスーパーライセンスを持つ者はおらず、インディカー・シリーズで走る最有力候補コルトン・ハータがそれを取得できるかどうかも疑わしい。スーパーライセンスを取得するためには、ハータは2025年のインディカー・シリーズでランキング4位以内に入る必要があるが、現時点で彼は9位にとどまっている。
ロードンは、“アメリカン・ドリーム”が実現しないと認識したときには、別の方向を向いて、ドライバーを探さねばならなくなる。チーム代表は当然のことながら、リストに載っている最大10人のドライバーの名前を明かそうとはしないが、ペレスのほかに、現在候補と考えられているのは、バルテリ・ボッタス、周冠宇、ミック・シューマッハー、フェリペ・ドルゴヴィッチ、フレデリック・ベスティ、ディーノ・ベガノヴィッチである。
(第2回に続く)
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