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佐藤琢磨、インディ500初日はニューマシンのシェイクダウンに集中「無事に走行できた事に感謝」

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佐藤琢磨、インディ500初日はニューマシンのシェイクダウンに集中「無事に走行できた事に感謝」

 第109回インディアナポリス500マイルレース(インディ500)のプラクティスが、5月13日からインディアナポリス・モータースピードウエイ(IMS)で始まった。

 今年のエントリーは4人のルーキーを含む34台。そのうちインディ500優勝経験者はエリオ・カストロネベス(2001、2002、2009、2021)、ジョセフ・ニューガーデン(2023、2024)、スコット・ディクソン(2008)、ライアン・ハンター-レイ(2014)、アレクサンダー・ロッシ(2016)、ウィル・パワー(2018)、マーカス・エリクソン(2022)、そして佐藤琢磨(2017、2020)の8名だ。

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 佐藤琢磨は2010年の初出場以来16年連続の出場で、今年48歳の琢磨は年齢ではカストロネベスの50歳に次ぐ2番目のベテラン。もしカストロネベスか琢磨が今年優勝した場合は、最年長優勝の記録を更新することになる。

 琢磨は昨年に引き続きインディ500のみのスポット出場となるが、チームは変わらずレイホール・レターマン・ラニガン(RLL)からのエントリー。2020年優勝時のエンジニア、エディ・ジョーンズとは今年も変わらずタッグを組み、メカニック、クルーは旧知の仲間を集めて75号車の結束を固めた。

 4月23日~24日に行われた事前オープンテストで琢磨の75号車は、素晴らしいパフォーマンスを見せつけた。1年ぶりのレースということもあり、リフレッシャーという扱いだったが、そのなかで最速はもちろん、総合でも3番手のタイムで初日を終えた。ここ数年でもインディ500スポット出場のドライバーがここまで上位に顔を出すのは珍しい。

 だがオープンテスト二日目に琢磨は、ブーストの上がった予選シミュレーションの際に、ターン1で姿勢を見出してウォールにヒットし大クラッシュ。琢磨に大きな怪我はなかったのは幸いだったが、マシンはほぼ全損となり、チームはすぐに新しいマシンをダラーラにオーダーすることになった。

 クラッシュの原因は、ダウンフォースやマシンの荷重配分などの複合的な要素が絡んでいたというが、琢磨は「体は少し痛みが残っていますが大丈夫です。ターン4で少しリヤが不安定な感じだったので、アタックをやめておけば良かったのかも……」と後悔も語っていた。

 RLLのチームは、その日のうちにマシンをオーダーし、5月のプラクティスに間に合うようにスケジュールを組み始めた。本来ならアラバマのレースに行くクルーをショップに残して再編成し、75号車は突貫工事で再製作されることになった。クラッシュしてしまったマシンはたっぷり2カ月かかって製作されたが、新たな75号車は実質二週間で組み上げられることになった。

 プラクティス開始まであと三日となり、IMSではシリーズ第5戦としてロードコースのレースが行われている真っ最中に、琢磨はレイホールの工場を訪れ、作り直したシートの確認作業を行っていた。その時点でマシンはおおむね仕上がっており、プラクティスの初日にはマシンは出走できる目処が立っていた。

「もう、時間をギリギリまで使ってマシンを仕上げてくれて、本当にチームと75号車のクルーには感謝しかないですね」と言葉が止まらなかった。

 そして迎えたプラクティス初日。この週のインディアナ周辺の天候は不安定で、プラクティス初日、二日目にはにわか雨の予報が出ていた。そして走行開始時間を待つことなく雨が落ち始め、プラクティスの開始時間は2時間30分遅れて始まった。

 琢磨の75号車は待ちかねたように一番にピットに姿を現した。「クラッシュで遅れていた分、急ぎたいけど焦らずじっくりと」と言っていた琢磨もヘルメットをかぶってマシンに乗り込んだ。

 グリーンフラッグとなりコースに出た琢磨は、インスタレーションを終えると自分のピットに戻ってくる。ピットボックスとしばし無線で話すと、琢磨は一度マシンを降りた。そして75号車のクルーは、マシンを一度ガレージに戻す準備を始めた。マシンの荷重配分を操るウエイトジャッカーにトラブルが出てしまったとのことだ。

 およそ1時間弱のインターバルでクルーはマシンをピットに戻してきた。琢磨は急いで支度をし、コクピットに入ると再度コースイン。ゆっくりとペースを上げると200マイルを越えて、210マイル、215マイルとじわじわスピードが上がっていった。上位のマシンはすでに225マイルのスピードを越え始めていたが、琢磨の75号車は先を急ぐことなく走行を続けた。

 プラクティスも残り1時間を切った頃には、イエローフラッグが出されてセッションは中断。サンダーストームが接近中との警報が出されて観客も避難。プラクティスはここで終了となってしまった。

「今日はまったくのシェイクダウンでした。システムチェックやマシンのチェックを兼ねながらの走行でしたし、ウエイトジャッカーのトラブルが出てしまったのは残念でしたけど、いろいろ修正しながら大体狙っていた所にマシンを持っていけたと思うし、僕自身も最初からスピードを上げずに徐々に体を慣らしながら走行を重ねてました。いきなり期待通りのスピードにはなりませんでしたけど、今日は無事に走行できた事に感謝ですし、明日は大きな方向性をいくつか確認しながら、じっくりメニューをこなしたいと思っています」という琢磨。

 オープンテストの大クラッシュは、琢磨にとって2010年のプラクティス以来の大きなもので、レース中のアクシデントを除けばF3やF1時代を通じてもモノコックを台無しにするようなクラッシュはなかった。おそらく体にも痛みが残っていようが、寸暇を惜しんで懸命に75号車を作ってくれたクルーの前で、そのような泣き言も言うことは出来ないだろう。

 プラクティス初日は219.998mphを記録し31番手と、パーフェクト発進とは言えなかったが、ここから琢磨の75号者がどこまで挽回してくるか見物である。

[オートスポーツweb 2025年05月14日]

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みんなのコメント

2件
  • nor********
    >マシンはほぼ全損となり、チームはすぐに新しいマシンをダラーラにオーダーすることになった。

    そりゃ1戦目でいきなりマシンを全損させ2台目が必要なドライバーは全戦参戦はさせられないよね。
    1985年のチェザリスがオーナーのギ・リジェから「このドライバーには数十台のニューマシンが必要になる」と言われ途中でクビになったのと同じような有様だね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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