6月22日(現地時間)、ミラノ・メンズ・ファッションウィークでトム ブラウンが2027年春夏ショーを開催。田園風景を思わせるコレクションのインスピレーションは、ピクサーやディズニー映画からナポレオンまで多岐にわたる。
ミラノのパラッツォ・セルベローニで開催された、トム ブラウン2027年春夏コレクションのショー終了後のこと。猛暑から逃れるように集まった報道陣やVIPゲストがバックステージにひしめくなか、私はトム・ブラウンその人に、つい今しがた発表された田園風ルックの着想源について尋ねた。
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「そうですね、始まりは『バグズ・ライフ』だったんです」と、ブラウンは言う。ピクサーによる、1998年公開のアニメーション映画のことだ。
その牧歌的なインスピレーションは、ランウェイにモデルが登場した瞬間から明らかだった。ジャケットには、ビーズで表現されたアリや巨大なトンボ、バッタのモチーフが刺繍されていた。冒頭のルックでは、ボーターハットの上から養蜂用のベールが被せられ、肩には金色のハニカム模様が滴るようにあしらわれていた。なかには、シアサッカー生地で作られたじょうろを携えたモデルたちもいる。
ただし、ミツバチのモチーフ自体は映画から借用したものではない。「実はナポレオンがここ(パラッツォ)に3カ月滞在していたことがありましてね」と、ブラウンは金縁の扉や大理石の円柱を指し示しながら語った。「だから彼の紋章だったミツバチをモチーフに、虫というテーマへのちょっとした目配せにもしたかったんです」
ミラノの地で展開された“おとぎ話”
もっとも、コレクションを構成するのは昆虫や園芸用品のモチーフばかりではない。今回のショーはブランドにとって2023年春夏以来となる本格的なメンズ単独ショーでもあったが、その内容はトム ブラウンらしさに満ちていた。
ボトムスの大半はショートパンツで、一部にスーツパンツやスリムパンツも登場。レモンイエローに染められたものもあれば、フローラル刺繍が施されたものもあった。春夏コレクションとは思えないほどレイヤリングが徹底されており、あるモデルはシャツの上にニットベスト、その上にブレザー、さらにレザージャケットを重ね着していた(おそらく相当暑かったであろう)。色や柄、素材もあえてぶつかり合うように組み合わされていたのが印象的だった。
スポーティなアイテムもいくつか見られた。涼しげなマドラスチェックのノースリーブ・ウインドブレーカーや、カラーブロックのエンジニアジャケットなどだ。ブランドお馴染みのプリーツキルトも依然として存在感を放ち、フロントロウではジェイミー・キャンベル・バウアーやトラメル・ティルマンが軽やかに穿きこなしていた。一方ランウェイでは、ロング丈のコラムスカートやペンシルスカートなど、新たなスカートの解釈も提案された。
ところで、2026年春夏コレクションのラインストーン付きエイリアンマスクを被って来場していたゲストが、この暑さのなかで熱中症に罹らなかったことを祈りたい。
今回のショーは、トム ブラウンのメインラインとしては初のミラノ開催となった(ブラウンは2017年にモンクレール ガム・ブルーで同地にてコレクションを発表している)。しかし、彼にとって、ミラノは決して馴染みの薄い土地ではない。「ミラノは私にとって第二の故郷です。だからここに来るのはいつだって嬉しいですよ」と彼は言う。「コレクションの仕事で本当によく来ていますからね」
そんなイベントに相応しく、フィナーレは盛大だった。そこに現れたのは、真っ白な装いを纏った“新郎”である。クロップド丈のクリケットベストに白いショートスーツ、ブライダルベールを思わせるチュールのケープ。さらに頭には、ビーズのハチが群がるネットハットを被っていた。
「これはカエルとお姫さまの物語へのオマージュです」と、ブラウンは説明する。2009年のディズニー映画『プリンセスと魔法のキス』を念頭に置いているのだという。「でも、私の物語では“カエルと王子さま”なんですよ」
ショーの最後、ブラウン自身もブークレ素材とベールで作られたカエルのマスク姿でランウェイに登場し、一礼した。またしても、おとぎ話へのオマージュだ。そんなにディズニーが好きなのだろうか?
そう尋ねると、ブラウンは肩をすくめながら小さく笑った。「いいじゃないですか。嫌いな人なんていますか?」
【写真58枚】トム ブラウン2027年春夏コレクション全ルックを見るFrom GQ.COM
By Mahalia Chang
Translated and Adapted by Yuzuru Todayama
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