■当初予定から大激変で“名車”が劇的復活!?
2026年9月2日、三菱は5代目となる新型「パジェロ」を世界初公開しました。2026年度より生産国のタイをはじめ、日本などで順次販売を開始する予定だといいます。
【画像】これが20年ぶり全面刷新の三菱「新型パジェロ」です!(58枚)
かつては三菱の顔として活躍してきたパジェロですが、2006年登場の先代(4代目)が2019年に国内で販売を終えており、今回はおよそ7年ぶりの復活で、さらにフルモデルチェンジに至っては20年ぶりのこととなります。
久々に帰ってきた新生“パジェロ”とは、果たしていったいどのようなクルマなのでしょうか。
突然ですが、「パジェロスポーツ」というクルマをご存じでしょうか。日本では「チャレンジャー」という名前で、1996年から2001年にかけて販売されていました。
当時のパジェロ(2代目)と同じラダーフレームに、パジェロよりも背の低い専用設計のボディを組み合わせていたSUVです。
そんなパジェロスポーツは、日本販売が終了した後も海外では販売を継続しています。2007年にフルモデルチェンジして2代目に、2015年には3代目へと進化しました。
興味深いのは車体構造です。本家パジェロは3代目への進化で、フレームをビルトインしたモノコックへと車体構造が大きく変わりました。しかしパジェロスポーツはパジェロが純粋なラダーフレーム車ではなくなってからも、フレーム構造を貫いているのです。
構造はピックアップトラックである「トライトン」とフレームを(ショート化して)共用し、トラック派生型のSUVという成り立ちです。メイン生産国のタイでは「PPV(ピックアップ・パッセンジャー・ヴィークル)」と呼ばれるジャンルに属しています。
かつてのトヨタ「ハイラックスサーフ」や日産「テラノ」(初代)などと同じカテゴリーと考えればいいでしょう。
本稿は新型パジェロについての記事なのに、どうしてパジェロスポーツの説明をするのか。その理由は、当初「“次期”パジェロスポーツ」として開発を進めていたモデルが、結果的に“新型パジェロ”として世に送り出されたからです。
新型パジェロが3世代ぶりにフレーム構造へと戻る理由には、そんな背景があるのです。
どうして次期パジェロスポーツの開発が、新型パジェロへと変化したのでしょうか。
同社でデザイン本部長を務める渡辺誠二氏によると「誰が言いだしたとか誰が決めたというわけではなく、パジェロ復活を願う多くの社員の気持ちがプロジェクトを動かした」のだとか。
ただ、厳密にいうと開発段階ではあくまで「トライトンと同じラダーフレームを使うPPVとして開発コードに基づいて開発されていただけ」であり、「開発が始まった段階から『パジェロ』や『パジェロスポーツ』という特定の車名と紐づいていたわけではない」のだそうですが。
いずれにせよ、開発途中だった次期パジェロスポーツが、そのまま名前だけを変更して新型パジェロが復活するわけではありません。
ある段階で「次期パジェロになる」と決まったことにより(当初考えられていたものより)トレッド&全幅を拡大したほか、前席のヒップポイントをトライトンに対して30mm高めてアップライトな運転ポジションとし、それにあわせてハンドルの取り付け角度なども変更。その結果、運転姿勢はトライトンや従来のパジェロスポーツとは異なるものになりました。
パッケージング自体も大幅に変更され、3列・7人乗りの全席にも十分なゆとりを確保するとともに、細部の質感まで配慮したといいます。
結果として、当初予定されていた“次期パジェロスポーツ”像とは、まったくベツモノになったといっていいでしょう。
いうまでもありませんが、運転ポジションをアップライトにしたのは「真のオフローダーとして悪路走行に求められる理想を追求したから」であり、三菱としてはパジェロと名が付く以上は徹底的にやらないと気が済まないというわけです。
商品企画責任者(CPS:チーフ・プロダクト・スペシャリスト)を担当する稲垣邦俊さんによると、従来のパジェロとの大きな違いは「働くクルマに相当する仕様がないこと」や「先進性や先進機能を多く取り入れていること」、また「リアタイヤを車体の後ろに背負っていないのも大きな違い」と説明しています。
ちなみに全長は「背面タイヤまで含めた先代とほぼ同じ」で、全長4920mm×全幅1925mm×全高1910mm、ホイールベース2870mm。最低地上高は230mmを確保しています(数値はプロトタイプモデル)。数値上はトヨタ「ランドクルーザー250」(全長4925mm×全幅1980mm×全高1925mm、ホイールベース2850mm)と近いサイズ感です。
パワーユニットは、2.4リッター直列4気筒「4N16型」ディーゼルターボエンジンは8速ATと組み合わされ、最高出力150kW(約204ps)・最大トルク480Nmを発揮します。
駆動方式は4つのモードを持つ四輪駆動で、三菱自慢の車両運動統合制御システム「S-AWC」も搭載されています。
車両開発担当者は「走行性能はまずオフロードを中心に作りこんだ」と説明していて、前後のアプローチアングル・デパーチャーアングルもしっかり確保しています。そんなエピソードも本格オフローダーブランドらしいところですね。
※ ※ ※
ところでそもそも、なぜ今パジェロの復活なのでしょうか。
パジェロは2019年夏をもって国内販売を終了し、2021年夏には海外向けも生産を終了しています。新型は20年ぶりのフルモデルチェンジであり、日本においては約7年ぶりの復活となります。
「中国車の台頭も影響している」と教えてくれたのは広報スタッフ。
「三菱が得意とする東南アジアでも、中国車が浸透し始めている。安くてコストパフォーマンスの高いクルマを作るだけでは、市場はこれから中国車に浸食されてしまうだろう。
では生き残るためにはどうすればいいか。ブランドを強固にしていかなければならない。だからリーダーとしてパジェロが必要となったのです。
先立って発表したようにパジェロをシリーズ展開するのも、そのストーリーに基づいたものです」
果たして新しいパジェロは市場にどう受け入れられるのか、非常に楽しみです。(工藤貴宏)
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みんなのコメント
全幅1980のランクルには文句言わないのね。