ハースのオリバー・ベアマンは、酷暑のグランプリでF1ドライバーが使用可能な新型の冷却ベストについて、その恩恵を高く評価する一方、実際にレースで使うためにはレギュレーションの微調整が必要だと考えている。
様々な要因が組み合わさり酷暑のレースとなった2023年カタールGPで複数のドライバーが体調不良を訴えたことを受けて、FIAは今年からドライバーがマシン走行中に着用できる冷却ベストの導入に取り組み、改良を進めている。
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ドライバーは自身の判断で冷却ベストを着用することが可能で、グランプリ週末の木曜日に外気温が31度を越えた場合、冷却デバイス搭載によるデメリットを解消するため、マシン最低重量が5kg引き上げられる。
2025年シーズンについては、ドライバーは冷却ベストの着用を見送ることができるが、その場合は公平を期すため、コックピットに500gのバラストを追加することになる。
さらに意見が別れているのは、基準となる気温が31度に達していない状況でドライバーが冷却ベストを着用したいという場合だ。
その場合、マシン最低重量は引き上げられない。そのためマシンを軽量化できたチームには有利に働くことになる……最低重量以下でマシンを組み上げ、レギュレーションを満たすためにバラストを搭載していたチームは、バラストの代わりに冷却ベスト用のデバイスを搭載できることになるからだ。
2025年シーズンは、木曜日の気候が冷却ベスト着用の基準に満たなかったというグランプリがこれまでにいくつかあった。サウジアラビアGPでは、木曜日の気温がレース当日よりも低く、基準に届かなかったのだ。
「冷却システム全体が重い。僕らはマシンのパフォーマンスを最大限に引き出そうとしていて、冷却ベストを機能させるためにマシンを軽くしようとはならない」
そう語るベアマン。フリー走行では冷却ベストを使用したものの、決勝レースでは軽量化のために外さざるを得なかった。
「残念だけど、もう少し自由に運用するために何か変更されるまでは、少し苦しまなければならない。今のところ、一部チームに運用の余裕があるのは明らかだ」
「いくつかのチームは運用できて、いくつかのチームは運用できない。僕としては、そこは変える必要がある。仮に彼らが暑いと宣言しないのなら、半分のチームしか恩恵を受けていないことになる」
ひとつの解決策は搭載の基準を下げることだ。ベアマンの所属するハースの小松礼雄代表はこのアイデアを支持。実際に冷却ベストを装備してレースに出場したメルセデスのジョージ・ラッセルも同意見だ。
「僕らはまだ基準を超えていないから、気温ハザードを少し下げるべきかもしれない」とラッセルは言う。
「サウジアラビアもバーレーンも、ここ(マイアミ)も暑い。数度は調整できるのかもしれない」
しかしmotorsport.comの調べでは、FIAは気温31度という現在の基準値に満足しているようだ。そのため基準値を下げることは検討されていないようだが、本来ならば木曜日の時点での4日間の正確ではない天気予報をあてにするのではなく、決勝日朝の天気予報で基準値に届くかどうかを判断するのが望ましいと考えているという。
当初はこの案が検討されていたものの、マシンのセットアップをギリギリで変更することを強いられるため、各チームが反発したと見られている。
またチームが冷却デバイス搭載による重量増の影響が出ないほど車重を軽くできるのは、不公平なアドバンテージというよりもエンジニアリング面での成果と考えているとも言われる。そのため、マシンの最低重量を変更するという案も見送られたようだ。
冷却ベストはドライバーからは賛否両論。最新バージョンはベアマンとラッセルの両ドライバーから高く評価されている一方、消極的な意見もある。
「冷却ベストを着用して走る機会に恵まれたことは幸運だったと思う。まだ完璧とは言えないが、間違いなく改善されている」とラッセルは語った。
またベアマンは次のように冷却ベストの感想を語った。
「僕はジェッダで試してみた。本当にいい感じだった。搭載できて本当に満足している。実際に成功しているし、かなり役立っている」
「特に背中はシートに押し付けられるから効果を感じる。しかし冷たい水があることで、たとえレースの10~20周しか機能しないとしても、状況を一変させると思う」
「目に見えないのは湿度だ。(気温は)27度~29度かもしれないけど、湿度が60%~70%とかだと、何層にも着込んでいると本当に暑い。冷たい水は世界を変えてくれる。いくつかのフリー走行では本当に役立った。残念なことにレースでは使えなかったけど、かなり良かった。元々の設計は誰にとっても上手く機能しなかったけど、今はかなり機能している」
FIAは2026年以降、酷暑のレースでは冷却ベストの着用を義務付ける方針。各チームは残りのシーズンのフリー走行でシステムをテストし、コックピットへの取り付けを改良することになる。
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みんなのコメント
スイッチ付けて、使用するかどうかはドライバーに選ばせればいい
最低重量とは切り離して、重量に関する規定は今まで通りで、気温に関係なく一律に全ドライバーが全レースで冷却ベストかバラストかを選べば良いだけなのでは?
で重量の計測値から一律に500g引けば良いんじゃない?