現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 作らないのではなく作る必要がなかった? ホンダS2000に「タイプR」が存在しないワケ

ここから本文です

作らないのではなく作る必要がなかった? ホンダS2000に「タイプR」が存在しないワケ

掲載 更新 28
作らないのではなく作る必要がなかった? ホンダS2000に「タイプR」が存在しないワケ

 この記事をまとめると

■S2000はそもそもがタイプR的な存在だった

かつてのホンダは凄かった! 踏めば脳天まで痺れる「エンジンのホンダ」を感じさせる名車5選

■その象徴はエンジンの赤ヘッド

■サーキットベストなタイプRの定義にオープンモデルは不向き

 創立50周年を記念して誕生したFRスポーツ

 ホンダの創立50周年記念として1999年に生み出された伝説のスポーツカーが「S2000」だ。専用設計のF20C型エンジンをフロントに縦置き、つまりFRレイアウトまでも専用設計するという半端ない力の入れようで作られた2シータースポーツだ。

 そんなS2000には、VGSステアリング機構を採用した「タイプV」、2.2リッターエンジンとなった後期型の最後期には専用サスペンションとエアロパーツを与えられた「タイプS」は用意されたが、結局最後まで「タイプR」は登場することはなかった。

 はたして、S2000にタイプRが登場しなかった背景とは?

 個人的に、S2000の開発に関わった複数のエンジニアに伺った話をひと言でまとめれば、「S2000は生まれながらにしてタイプRだった」という理解ができる。タイプRの象徴といえる赤ヘッド(赤い結晶塗装のカムカバー)が、S2000にはデフォルトで備わっていたのは、まさに生まれながらのタイプRであることの証といえる。

 一方で、S2000はオープンボディだったのでタイプRにはなれなかったという見方もある。日本におけるタイプR不変のキーワードは「サーキットベスト」である。ストリートでの使い勝手を犠牲にしてでもサーキットでの速さを追求するというのが、タイプRの根底にある。

 今でこそ、電子制御サスペンションによりストリートでの快適性も両立するようになっているが、S2000の後期に重なるFD2型シビックタイプRの走りを思い出せば、当時のサーキットベストへ向けた考え方が理解できるだろう。

 ロールケージを組んだ仕様を用意しなければならない

 では、S2000をサーキットベストに仕上げるときに課題となるのは何だろうか。硬いサスペンションについては、ユーザーが許容してくれただろうが、多くのサーキットでは、ルールとしてオープンのままで走れないというのは課題だ。今でこそミニサーキットなどであれば幌を閉じおけばオープンカーも走行可能というところもあるが、当時はオープンカーのサーキット走行にはロールケージが必須だった。

 サーキットベストという大前提でS2000タイプRを出すのであればロールケージは必須アイテムとなる。マツダ・ロードスターにはNR-Aというロールケージをアクセサリーとして用意したグレードもあるが、それはワンメイクレースという前提があってこそ。S2000にそこまで思い切った仕様を出すという判断は難しい。

 ロールケージがなければ、そのままではサーキットを走れないタイプRという矛盾した存在が生まれてしまう。それもS2000にタイプRが企画されなかった理由としては無視できない。

 とはいえ、S2000はストリートだけを考えて設計されたクルマだったわけではない。サーキットベストというタイプR的スピリットは、ノーマル状態でも感じられた。

 オーナーであればご存じのように、年式によってはドライとウエットで明らかにハンドリング特性が変わるほど、尖った特性となっていた。具体的にいうとドライ路面ではビタっと張り付くようなコーナリングが味わえる一方で、激しい雨になると高速道路を法定速度で走ることさえ憚られるようなリスキーなキャラクターに変身した。

 9000rpmまで回る2リッターエンジンのパフォーマンスを引き出すには、日本のストリートはあまりにも速度域が低かった。結局のところ、S2000の走りを楽しもうと思えば、サーキットに足を運ぶしかなかったのだ。

 冒頭で書いたように、やはりS2000はタイプR的なコンセプトで生み出された。だからこそ、あえてタイプRを追加する必要はなかったのだろう。

こんな記事も読まれています

マツダのETC取り付け位置に唖然……色々あってフツーの場所なったけど戻した方がよくね??
マツダのETC取り付け位置に唖然……色々あってフツーの場所なったけど戻した方がよくね??
ベストカーWeb
なんで今でもこんなカッコいいの……サンルーフの開き方なんて痺れるぜ!!  やっぱ2代目ハリアーこそ至高!!  内装のデキ伊達じゃなかったのよ!
なんで今でもこんなカッコいいの……サンルーフの開き方なんて痺れるぜ!!  やっぱ2代目ハリアーこそ至高!!  内装のデキ伊達じゃなかったのよ!
ベストカーWeb
コンパクトなのに積載性ハンパなし!? [新型WR-V]はキャンプにもピッタリ! ホンダが提供する新たなライフスタイルとは?
コンパクトなのに積載性ハンパなし!? [新型WR-V]はキャンプにもピッタリ! ホンダが提供する新たなライフスタイルとは?
ベストカーWeb
2024年3月 中古車相場 値上り・値下りランキング ランクル70、高値傾向に
2024年3月 中古車相場 値上り・値下りランキング ランクル70、高値傾向に
グーネット
【2024年3月 中古車見積ランキング】プリウス(50系)がトップに返り咲き
【2024年3月 中古車見積ランキング】プリウス(50系)がトップに返り咲き
グーネット
GTワールドチャレンジ・アジアがセパンで開幕。8台参加の日本勢はDステーションが総合6位入賞
GTワールドチャレンジ・アジアがセパンで開幕。8台参加の日本勢はDステーションが総合6位入賞
AUTOSPORT web
キャンプにオススメ!野外での“トイレ事情”を解決する「キャンパートイレ」発売
キャンプにオススメ!野外での“トイレ事情”を解決する「キャンパートイレ」発売
グーネット
三菱 コンパクトSUV「ASX」改良モデル発表 “ダイナミックシールド”強調した新デザイン
三菱 コンパクトSUV「ASX」改良モデル発表 “ダイナミックシールド”強調した新デザイン
グーネット
「ランクル250販売前線」悲喜こもごも?? 意外に多い「辞退客」とは? ディーラーごとに対応は千差万別だった
「ランクル250販売前線」悲喜こもごも?? 意外に多い「辞退客」とは? ディーラーごとに対応は千差万別だった
ベストカーWeb
テスラ「モデル3」 最高速262キロ!専用デザインの新グレード「パフォーマンス」追加
テスラ「モデル3」 最高速262キロ!専用デザインの新グレード「パフォーマンス」追加
グーネット
ヒョンデ、高性能EV「IONIC 5 N」の国内仕様車の概要を発表 4月25日から期間限定モデル「First Edition」の購入予約受付を開始
ヒョンデ、高性能EV「IONIC 5 N」の国内仕様車の概要を発表 4月25日から期間限定モデル「First Edition」の購入予約受付を開始
月刊自家用車WEB
「サーキット以外の場所でやることにも意味があったと思う」盛り上がりを見せた岩佐歩夢発案のSFキャラバンが成功裏に終了
「サーキット以外の場所でやることにも意味があったと思う」盛り上がりを見せた岩佐歩夢発案のSFキャラバンが成功裏に終了
AUTOSPORT web
新型スイフトスポーツも新型ワゴンRも24年夏に登場予定か!? スズキは計5台の新型を投入で戦力アップなるか
新型スイフトスポーツも新型ワゴンRも24年夏に登場予定か!? スズキは計5台の新型を投入で戦力アップなるか
ベストカーWeb
「SLS AMG」の偉大さをメカニズムから検証。速さだけでないメルセデスの安全思想も注ぎ込まれた最高傑作の1台でした
「SLS AMG」の偉大さをメカニズムから検証。速さだけでないメルセデスの安全思想も注ぎ込まれた最高傑作の1台でした
Auto Messe Web
スーパーカーオーナーさん、いらっしゃい──新型ヒョンデ アイオニック5 N試乗記
スーパーカーオーナーさん、いらっしゃい──新型ヒョンデ アイオニック5 N試乗記
GQ JAPAN
愛犬家は要チェック!?ルノー「カングー」最長1年間貸与!モニターキャンペーン実施
愛犬家は要チェック!?ルノー「カングー」最長1年間貸与!モニターキャンペーン実施
グーネット
軽からミニバンまで!車中泊にぴったりの厚さ8cmマット、新デザイン登場 ベアーズロック
軽からミニバンまで!車中泊にぴったりの厚さ8cmマット、新デザイン登場 ベアーズロック
グーネット
BMW 燃料電池車「iX5 ハイドロジェン」 日本での実証実験を2024年も継続
BMW 燃料電池車「iX5 ハイドロジェン」 日本での実証実験を2024年も継続
グーネット

みんなのコメント

28件
  • 完全に開発側の意向ですよ。
    タイプRにしたからと言って売り上げが増えるわけでも無かったですしね。
    現状でも多く売りたいって考えはホンダには無いですよ。
  • 中の人曰く、S2000は記念車である。これがタイプRにならなかった理由の一つ。らしい。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

386.4399.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

158.0935.0万円

中古車を検索
S2000の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

386.4399.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

158.0935.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村