現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 横浜で開催中のハーレー主催イベント『ブルースカイヘブン』 そこで試乗可能な2025年ニューモデル、ストリートボブの可能性

ここから本文です

横浜で開催中のハーレー主催イベント『ブルースカイヘブン』 そこで試乗可能な2025年ニューモデル、ストリートボブの可能性

掲載 更新 3
横浜で開催中のハーレー主催イベント『ブルースカイヘブン』 そこで試乗可能な2025年ニューモデル、ストリートボブの可能性

ハーレーらしいトルクフルさを感じる新型モデル

2025年1月に新代表の玉木一史氏が就任し、新たな展開が期待されるハーレーダビッドソンジャパンですが、同ブランドの2025年モデルが3月から予約受付を開始しました。

【画像】ハーレーらしいトルクフルな走り!! ライディングモードも搭載された「ストリートボブ」2025年モデルを画像で見る

 2025年5月10~11日に神奈川県横浜市中区の山下埠頭特設会場(所在地:〒231-0023 神奈川県横浜市中区山下町)にて開催されているハーレーダビッドソンジャパン最大の大型イベント、ブルースカイヘブンでも“DEMO RIDE”と称した一般来場者向けの試乗会イベントを行っていますが、きっと多くの人が良い意味で“ハーレーダビッドソンの進化”を感じることになっているかもしれません。

 そのブルースカイヘブンに先立ち、メディアに向けた2025年ニューモデルのメディア試乗会が4月某日に神奈川県横浜市内にある“日本丸メモリアルパーク”を発着点に開催され、そこで今回は最もシンプルなクルーザーモデルである「Street Bob(ストリートボブ)」に乗る機会を得たのですが、ズバリ言ってしまえば「かなり良い」というのが率直な感想。あまりネガティブな印象を抱かなかったのが正直なところです。

 2025年ハーレーダビッドソンの新クルーザーモデルは排気量が117キュービックインチ(1923cc)に拡大され、モデルごとに異なるエンジンの味つけとなっているのですが、その中でスペック上では最もおとなしい仕様のストリートボブでもトルク感とパワーは必要にして十分。数値ではストリートボブと「ヘリテージ クラシック」に搭載された「クラシック」エンジンは馬力91hp、トルク156Nmとなっているのですが、乗って走らせれば、おそらく多くの人が「増大したトルク」を感じるのではないでしょうか。

 ちなみに人気モデルのファットボーイに搭載されるエンジンタイプは「カスタム」という名称で馬力103hp、トルク168Nm。スポーツクルーザーの「ローライダーS」には「ハイ・アウトプット」エンジンが搭載され、馬力114hp、トルク173Nmを誇るのですが、繰り返しを承知でいえばストリートボブに搭載されたクラシック エンジンでも2024年モデルの114キュービックインチ(1868cc)と比較するとパワーもトルクも十分。ハーレー・ファンならば、きっと満足のいくフィーリングです。

ディングモードの追加で「走りの楽しさ」を増幅

 その新エンジンとなった「ミルウォーキーエイト117」ですが、これまでと大きく異なるのが“ロード”と“レイン”、そして“スポーツ”とライディングモードが左手のスイッチで変更可能な点であり、これが「走りの楽しさ」に直結しています。

 雨の日の路面でリアタイヤが滑ることなく、安全に走れるよう配慮された“レインモード”では、いうまでもなく走りのフィーリングがおとなくしく、まるでEVO(1984~1999年まで生産されたハーレーのエンジン型式)のノーマルに乗っているかのような物足りなさを感じたのですが、それを“ロード”、“スポーツ”へと切り替えていくと、おもしろいようにエンジンのフィーリングが豹変します。特にスポーツモードの時は、1923ccの排気量と相まって、一昔前のチューニングしたハーレーをノーマルの時点で凌ぐであろうパワー感とトルク感です。

 こうした「デジタルの恩恵」は既存のハーレー・ファンから否定されることも予想できますが、スイッチひとつで乗り味が変わるフィーリングは、まるで1台のバイクの中に3台分の面白さが含有されているようで、素直に楽しめるものとなっています。

 もちろん、この日に乗る機会のあったローライダーSのハイ・アウトプットエンジンは、より強烈なフィーリングを感じさせるものであり、シングルカートリッジ43mm倒立フォークの搭載と相まって、より「アメリカン・スポーツクルーザー」らしい走りを堪能できます。

高い完成度でも気になる点が

 ただこれらのモデルで気になった点を言えば、過剰な圧縮が原因であろうノッキング音とエンジンからの熱。それがよりハイパフォーマンスな仕様のハイ・アウトプットエンジンであれば、尚更感じたというのが正直なところです。そしてこの「過剰な圧縮」の原因にはアメリカと日本の「ガソリンオクタン価の違い」があります。

 ちなみにガソリンオクタン価の規定には「低速アンチノック性」を表す尺度であるリサーチオクタン価(RON)と「高速アンチノック性」を表す尺度であるモーターオクタン価(MON)の二つの測定法があり、それに準じて世界各国でガソリンオクタン価が表記されているのですが、アメリカのASTM(American Society for Testing and Materialsの略で日本語表記は米国試験材料協会。日本のJIS規格に相当するもの)は両者(RONとMON)の測定値の平均をもってオクタン価の規定を定めているということがポイントとなっています。対して日本のオクタン価表記はRONが採用されています。

 たとえば出荷直前のガソリン(ロットサンプル)オクタン価を表記するにしても、それがまったく同じものでもRONの平均は99.6で標準偏差(平均値からのばらつき)は0.1。MONの平均は87.5で標準偏差は0.1となるのですが、アメリカがRONとMONを平均としているならばRONが基準となる日本と同じガソリンでも大きなオクタン価の差が生じることがお分かりになると思います。上記のガソリンオクタン価をアメリカ規格で表記すれば93.55オクタンとなり、日本のRONによる99.6と大きな差があるのです。

 つまりはアメリカでの100オクタンは日本では93.55となっており、同じ100オクタン表記でも実際には6.5近くオクタン価が低いことがお分かりになるでしょう。

 これが近年のハーレーで見られるオーバーヒートやクランクの焼き付きなどのトラブルの原因なのですが、この症状は点火時期の変更などで防げる類のものではなく、エンジンの圧縮比、その根本を見直す必要があります。

 排気量が1923ccに拡大された分、そのリスクも比例して大きくなったと言わざるを得ないミルウォーキーエイト117ですが、こうした部分では燃焼室加工やピストンの変更などによって、「適切な圧縮比」に変更してやらなければならないのが現状でしょう。ましてや2023年度の登録台数で12万台を越えるアメリカに対して1万台に満たない日本では現地のガソリン事情に合わせた特別仕様車の導入などはコスト的に現実的ではありません。

 それゆえにユーザーがそれぞれで自衛する必要があるのですが、しかし、2025年のハーレーのエンジン自体のポテンシャルが低いというワケではありません。むしろ1923ccの排気量に耐える設計・強度などは過去最強といってもいいでしょう。ノーマルのハーレーを「素材」として考えれば、まだまだこのバイクは「より楽しくなる」可能性を秘めています。

 たとえばキャブレターモデルの最終である2007年以降、ハーレーマニアであればあるほど現行モデルを否定する傾向を感じることもあるのですが、過去を振り返るばかりでは未来に向けた建設的な話が起こりようハズもありません。

 近頃、様々な要因が重なり、ハーレー人気に陰りが見え始めたと一部ではささやかれていますが、ここは基本に立ち返り、「気に入らない箇所があるのならカスタム」すれば良いのです。

 個人的な意見をいえばノーマルの状態でEVOよりも断然、ミルウォーキーエイト117に楽しさを感じます。その中で、もっともシンプルなモデルである「ストリートボブ」には、まだまだカスタムをする余地があります。

 いにしえのナックルの時代からパン、ショベル、EVOにTC(ツインカム)と移り変わってもハーレーとは切っては切れないカスタムという行為……その素材として考えると、2025年クルーザー・ニューモデルには大きな可能性を感じます。

【キャンペーン】第2・4金土日は7円/L引き!ガソリン・軽油をお得に給油!(要マイカー登録&特定情報の入力)

こんな記事も読まれています

一体なにが違う? マフラーをカスタムしたいけど「フルエキ」と「スリップオン」があるって?
一体なにが違う? マフラーをカスタムしたいけど「フルエキ」と「スリップオン」があるって?
バイクのニュース
【2台でGO!!】エンジンだけでは語れない? スズキ「Vストローム250」と「Vストローム250SX」の魅力とは
【2台でGO!!】エンジンだけでは語れない? スズキ「Vストローム250」と「Vストローム250SX」の魅力とは
バイクのニュース
スズキの新基準スポーツバイク新型「GSX-8R」発売から3か月 販売店に寄せられるさまざまな声とは
スズキの新基準スポーツバイク新型「GSX-8R」発売から3か月 販売店に寄せられるさまざまな声とは
VAGUE
Eクラスが売れなくなる!? クラスを超えた質感に驚いた メルセデスベンツ4代目Cクラス初試乗【ベストカーアーカイブス2014】
Eクラスが売れなくなる!? クラスを超えた質感に驚いた メルセデスベンツ4代目Cクラス初試乗【ベストカーアーカイブス2014】
ベストカーWeb
【ホンダドリームスーパースポーツCB72TypeI/TypeII比較試乗】意外なほどキャラクターが違う2つのエンジン!
【ホンダドリームスーパースポーツCB72TypeI/TypeII比較試乗】意外なほどキャラクターが違う2つのエンジン!
モーサイ
11年経過した2025年でも現役!! 日産 V37「スカイライン」デビュー時徹底レポートプレイバック【ベストカーアーカイブス2014】
11年経過した2025年でも現役!! 日産 V37「スカイライン」デビュー時徹底レポートプレイバック【ベストカーアーカイブス2014】
ベストカーWeb
エンジン車の代わりとなる選択肢を目指して! 日産が第3世代新型「リーフ」のインサイトビデオを公開
エンジン車の代わりとなる選択肢を目指して! 日産が第3世代新型「リーフ」のインサイトビデオを公開
バイクのニュース
原付だけど5速MTの本格派!! ホンダ「エイプ」がストリートシーンで若者の個性演出を応援 キャッチコピーは「渋谷原宿エイエイ・プー」!?
原付だけど5速MTの本格派!! ホンダ「エイプ」がストリートシーンで若者の個性演出を応援 キャッチコピーは「渋谷原宿エイエイ・プー」!?
バイクのニュース
ホンダの”猿”は2021年モデルでどう変わった?(相場情報つき試乗レビュー)
ホンダの”猿”は2021年モデルでどう変わった?(相場情報つき試乗レビュー)
WEBヤングマシン
コルベット「Z06」に コンバーチブルを追加!日本限定モデル「イエロージャケット エディション」とともに、シボレー ファンデーで日本初公開
コルベット「Z06」に コンバーチブルを追加!日本限定モデル「イエロージャケット エディション」とともに、シボレー ファンデーで日本初公開
Webモーターマガジン
いまだに見かける!「米国製ミニバン」大ヒットしたのお忘れか? 日本で売れる “アメ車の法則” とは
いまだに見かける!「米国製ミニバン」大ヒットしたのお忘れか? 日本で売れる “アメ車の法則” とは
乗りものニュース
伝説のスポーツカーが新バージョンとアップグレード版で超絶進化! TOYOTA GAZOO Racingが「A90 ファイナル エディション」と「GR スープラ ライトウェイト EVO」を欧州市場で発売
伝説のスポーツカーが新バージョンとアップグレード版で超絶進化! TOYOTA GAZOO Racingが「A90 ファイナル エディション」と「GR スープラ ライトウェイト EVO」を欧州市場で発売
バイクのニュース
新型日産リーフ、全貌公開!──GQ新着カー
新型日産リーフ、全貌公開!──GQ新着カー
GQ JAPAN
伝説のNISMO 400Rルックと800馬力エンジンの特別なR33型GT-R!予想を大きく上まわる約2333万円で落札
伝説のNISMO 400Rルックと800馬力エンジンの特別なR33型GT-R!予想を大きく上まわる約2333万円で落札
Auto Messe Web
【元専門誌編集長の視点】フェラーリ296スペチアーレが日本初お披露目!既に全完売の先に見えるもの
【元専門誌編集長の視点】フェラーリ296スペチアーレが日本初お披露目!既に全完売の先に見えるもの
AUTOCAR JAPAN
足つき性アップの新技術も!未来のバイクが楽しみになるアステモの「夢のようなシステム」を体感してみた
足つき性アップの新技術も!未来のバイクが楽しみになるアステモの「夢のようなシステム」を体感してみた
レスポンス
2024年モデルでコスパがヤバイことになった、ホンダの操りやすい600ccスーパースポーツといえば?
2024年モデルでコスパがヤバイことになった、ホンダの操りやすい600ccスーパースポーツといえば?
WEBヤングマシン
個人で楽しむ贅沢クーペ ポンティアック・グランプリ(1) 馬力が削がれた時代の希望の光
個人で楽しむ贅沢クーペ ポンティアック・グランプリ(1) 馬力が削がれた時代の希望の光
AUTOCAR JAPAN

みんなのコメント

3件
  • Mt.Rainier
    去年も横浜、今年も横浜。内容は多分、大差ない。
    こーゆー大きいイベントの開催許可がおりるのってなかなか厳しいんですかね?
  • *****
    ああ!擦っちゃう擦っちゃう💦💦
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村