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F1コラム:アウディF1プロジェクトが抱える課題。さらなる体制変更の可能性と、サインツ獲得失敗後に残された選択肢

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F1コラム:アウディF1プロジェクトが抱える課題。さらなる体制変更の可能性と、サインツ獲得失敗後に残された選択肢

 ベテランモータースポーツジャーナリスト、ピーター・ナイガード氏が、F1で起こるさまざまな出来事、サーキットで目にしたエピソード等について、幅広い知見を反映させて記す連載コラム。今回は、2026年からのF1参戦に向けて準備を進めるアウディの現時点での課題をテーマにした。

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F1コラム:自動車業界の変化に合致する2026年新パワーユニット。優れた“実験室”に期待する新規参入メーカー

 アウディがF1に正式にデビューするのは18カ月ほど先だ。アウディはすでにザウバーチーム全体を買収し、舞台裏での準備が本格的に進められている。そのなかで、いくつか対処しなければならない問題を抱えていることが見えてきた。

■マネジメント体制の混乱

 アウディ/ザウバーチームのマネジメント陣営には、数カ月前から混乱が続いている。アウディF1プログラムの立案者のひとり、オリバー・ホフマンは、今年3月にザウバーグループの取締役会会長に就任、マクラーレンの元チーム代表アンドレアス・ザイドルは、アウディF1チームのCEOを務めていた。しかしこの数カ月、ホフマンとザイドルの意見に相違があると伝えられていた。

 そのうわさはインゴルシュタットのアウディのトップ経営陣にも伝わり、ホフマンとザイドルの両方が解雇された。そして、昨シーズン前にフレデリック・バスールに交代するまでフェラーリのチーム代表を務めていたマッティア・ビノットが、アウディF1プロジェクトの責任者の役割に就いた。

 さらにレッドブルのスポーティングディレクターを務めるジョナサン・ウィートリーが加入し、アウディF1プロジェクトのチーム代表に就任することが発表された。

 ザウバー内では、アレッサンドロ・アルンニ・ブラービ(以前ストフェル・バンドーン、ロバート・クビサ、クリスチャン・ルンガーのドライバーマネージャーを務めた)は、『チーム・リプレゼンタティブ』という正式な肩書の、奇妙な立場に立っている。彼にもまた、ザウバーから離脱するといううわさがある。

 一方、アストンマーティンF1チームの現代表マイク・クラックが、アウディ/ザウバーに移籍するとの説もささやかれている。

■2024年型ザウバーのパフォーマンスの低さ

 ザイドルは、マクラーレンからアウディ/ザウバーに移った半年後の2023年6月、マクラーレンで同僚だったジェームズ・キーをテクニカルディレクターとしてヒンウィルに招いた。

 ザイドルもキーも、F1リーダーとして実力があることは確かだが、彼らが去った後にマクラーレンが躍進したために、ふたりの実力を疑問視する者もいる。

 キーはザウバーにおいてこれまで大きな成功を収めていない。2010年から2011年にかけてテクニカルディレクターを務めた際に、コンストラクターズ選手権におけるチームの順位は8位と7位だった。2度目の任期においては、現在、ほとんどの技術リソースがおそらくすでに最初のアウディ名義の2026年型マシンに使用されている。それでも、ザウバーの2024年型マシンがシーズン前半においてノーポイントに終わったというのはいただけない。

 次にアウディ/ザウバーを去る主要メンバーは、キーかもしれない。

■F1エンジンプロジェクトは順調か

 ヒンウィルのザウバー本社では混乱が続いているが、ノイブルク・アン・デア・ドナウに位置するアウディ・スポーツ本社では事態は落ち着いているようだ。ノイブルクでは新しいF1エンジンの製造が進められ、すでにダイナモでの稼働が行われ、プランどおりに作業が進んでいるとチームは述べている。最近アウディは、2026年からF1で使用される新しいバイオ燃料の開発において、BPと独占提携を結んだ。

■セカンドドライバーの決定は最優先事項

 ザイドル解雇の理由は、ホフマンとの揉め事だけではないだろう。他の理由のひとつとして考えられているのは、非常に有利なオファーをしたにもかかわらず、カルロス・サインツの獲得に失敗したことだ。サインツは、アウディ/ザウバーからの関心に対して、やや冷淡な態度を取っていた。チームのマネジメント体制が不安定だったためだと思われる。

 2025年~2026年にはニコ・ヒュルケンベルグを走らせることが確定しており、そのチームメイトを選ぶことが、新たなボスであるビノットの今の最優先事項だ。ルーキーを抜擢するのは良い解決策には思えないが、経験豊富なドライバーはほとんど残っていない。現在のザウバーで走るバルテリ・ボッタスと周冠宇のどちらかが、契約延長を認められる可能性はある。外部のドライバーであれば、RBのダニエル・リカルドは新しいチームを探しているかもしれないし、ハース離脱が確定したケビン・マグヌッセンもいる。

 ヒュルケンベルグは現在のハースでチームメイトのマグヌッセンと良い関係を築いており、アウディ/ザウバー上層部に対して、マグヌッセンが有利になるような発言をしているだろう。ビノットは、マグヌッセンがマラネロでのシミュレーター作業をしていたことを通じて、彼を知っている。そういったことがマグヌッセンとの契約に結び付き、彼がF1キャリアを延長することが可能になるかもしれない。

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みんなのコメント

4件
  • エンツォ
    はじめっから順風満帆なチームなど、あるワケない。どこまでマトメられて、継続して出走できるのか。見てみよう。
    われわれに出来るのはそれだけだ。
  • *****
    失敗するね。出走したところで良い成績さえ残せない。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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