■現代の「キッチンカー」を先取りした“早すぎた”名車
自動車メーカーが将来のビジョンや技術力をアピールする場であるモーターショー。そこでは数多くのコンセプトカーが発表され、来場者の夢をかき立てます。
【画像】超かっこいい! これがガルウイングドア採用の「斬新軽バン」です! 画像で見る(36枚)
なかには、市販化を前提としない実験的なモデルでありながら、その魅力的な提案により、後になって価値が再評価される”隠れた名作”が登場することがあります。
2015年10月に開催された「第44回東京モーターショー2015」で、ダイハツが世界初公開した「TEMPO(テンポ)」は、まさにそんな一台でした。
テンポが掲げたコンセプトは、“新ジャンル・スペース系商用車”です。車名は日本語の「店舗」に由来しており、文字通り「クルマそのものが店舗になる」ことを目指した移動販売車として提案されました。
最大の特徴は、当時の軽商用バンの主流であったFR(後輪駆動)ではなく、FF(前輪駆動)プラットフォームを採用した点にあります。
これにより、エンジンを座席下ではなく前方に配置することで、従来の軽バンでは難しかった超・低床フロアと広い室内空間を実現。誰にとっても運転しやすく、乗降や荷物の積み下ろしもしやすい、新しい商用車の形を提示しました。
エクステリアは、質実剛健な商用車のイメージを覆すポップなデザインです。鮮やかなオレンジとブラックのツートーンカラーは、街中にあるお洒落なカフェや雑貨店を彷彿とさせます。
そして目を引くのが、助手席側に備えられた大型の「ガルウイングドア」です。ルーフ付近まで大きく跳ね上がるこのドアは、開放感抜群の開口部を作り出すだけでなく、そのまま雨や日差しを遮るオーニング(日除け)として機能。
ドア内側にはLED照明が内蔵されており、夜間には商品を照らすスポットライトになるなど、店舗としての実用性が徹底的に追求されていました。
さらに驚くべきは、ボディ側面に装備されたデジタルサイネージです。停車時にはここに店名やメニュー、宣伝映像を表示し、電子看板として活用可能。現代の街中にあふれるデジタル広告を、車両そのものに組み込んだ先見性は特筆すべきものです。
インテリアもアイデア満載です。助手席を前方に折りたためば、格納されていたカウンターテーブルが出現。壁面にはショーケースも備わり、車両の横に立つだけで即座に対面販売が可能なレイアウトが完成します。
また、テールゲート側にも商品棚が設けられ、後ろからも販売ができる“二刀流”構造となっていました。
ボディサイズは全長3395mm×全幅1475mm×全高1995mm。軽自動車枠内ながら、全高は約2mに達し、大人が車内で作業しやすい高さが確保されています。
公式スペックは明言されませんでしたが、ベース車両として目されていたスーパーハイトワゴン「ウェイク」などと共通の660ccターボエンジン+CVTの搭載が想定されていたようです。
発表当時はカフェのような商用車として注目を集め、その愛らしいデザインは多くの来場者を魅了しました。
結局のところテンポは市販化されませんでしたが、「FFレイアウトの軽商用車」という構想は、翌2016年発売の「ハイゼットキャディー」で実現されました(しかし、販売は振るわず2021年3月に生産終了)。
また他社でもホンダ「N-VAN」が登場しており、こちらは超低床プラットフォームにより、独自のニーズを開拓。ビジネスユーザーのみならず、軽商用車を趣味の相棒として使いたい一般ユーザーからのシェアを獲得するまでになりました。
ちなみダイハツは2022年9月に、現在も展開する移動販売パッケージ「ニバコ(Nibako)」をデビューさせ、テンポで目指した“誰でも簡単に移動販売を始められる”という思想を、車両ではなくサービスとして具現化することに成功しています。
ダイハツのテンポは、単なるコンセプトカーの枠を超え、軽自動車が持つ“ビジネスのパートナー”としての無限の可能性を示した、記憶に残る一台といえそうです。(くるまのニュース編集部)
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みんなのコメント
ハイゼットカーゴとの競合を避けたかったのかも知れないけど
スペーシアベース程度に抑えておけばそこそこ売れていたんじゃないかと思う