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フェルスタッペンの奇跡と認識の甘さ。名シーンを演じたサインツ【独自選出:F1第5戦ベスト5ドライバー】

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フェルスタッペンの奇跡と認識の甘さ。名シーンを演じたサインツ【独自選出:F1第5戦ベスト5ドライバー】

 長年F1を取材しているベテランジャーナリスト、ルイス・バスコンセロス氏が、各グランプリウイークエンドのドライバーたちの戦いを詳細にチェックし、独自の評価によりベスト5のドライバーを選出する。今回は第5戦サウジアラビアGPの戦いを振り返った。

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ピアストリ、今季3勝目でランキング首位浮上。角田裕毅はガスリーとの接触でリタイア【決勝レポート/F1第5戦】


■F1キャリアで初めて選手権首位に躍り出たピアストリ

オスカー・ピアストリ(マクラーレン):予選2番手/決勝1位

 速いというだけではレースに勝つには不十分であることを、オスカー・ピアストリはジェッダで証明した。全てのプラクティスセッションおよび予選の最初のふたつのセッションにおいて、ピアストリはランド・ノリスよりわずかに遅かった。予選ではマックス・フェルスタッペンに届かなかったものの、Q3の開始直後にクラッシュしたチームメイトよりは良い結果を残した。

 決勝では、素晴らしいスタートによってターン1に向かいながら、ピアストリはフェルスタッペンの前に出て、ライバルに対して引くことなく自らの位置を守ったことで、今季3勝目への土台を築いた。

 当然のことながらフェルスタッペンはペナルティを科されたため、ピアストリは先頭に立ち、その後の50周にわたるレースで一度たりともミスを犯すことなく、圧倒的な強さで勝利を収め、F1キャリアにおいて初めて選手権首位の座に躍り出た。


■勝利のチャンスを自ら手放したフェルスタッペン

マックス・フェルスタッペン(レッドブル):予選1番手/決勝2位

 今回もフェルスタッペンは予選で奇跡を起こし、速さで優るマクラーレン勢を打ち破って、あり得ないと思われたポールポジションを獲得した。さらに驚くべきことに、RB21がパフォーマンスの改善を見せ、フェルスタッペンは両方のレース用コンパウンドで優れたレースペースを発揮、優勝したマクラーレンよりもタイヤのデグラデーションが少なかった。

 ジェッダでフェルスタッペンは、すべてを正しくこなしており、あり得ないと思われた勝利を手にしていた可能性すらあった。しかし、レース開始から最初の10秒間の行動、ペナルティを回避するために何をすべきか認識できなかったことが、勝利の可能性を奪った。

 珍しくスタートの蹴り出しが悪く、それにもかかわらず先頭を維持しようとあがいた。しかし、彼がこれまで行ってきた「シケインをショートカットした上で、自分はターン1のエイペックスで先頭に立っていたと主張する」という作戦は、いまやスチュワードには通用しないことは、しばらく前から明らかだった。

 ルールがより厳しくなっていることを認識していなかったことこそが、フェルスタッペンの敗因の主たる理由でだったといえるだろう。


■新たなレベルへと進化したルクレール

シャルル・ルクレール(フェラーリ):予選4番手/決勝3位

 ジェッダでシャルル・ルクレールは、まさに卓越したパフォーマンスを我々に見せてくれた。チームメイトのルイス・ハミルトンが苦しみもがいているなかで、ルクレールは予選では、SF-25がファーストシケインだけで0.3秒を失っていたにもかかわらず、その後のラップ全体でフェルスタッペンやピアストリと互角のタイムを記録した。

 レースではさらに素晴らしい走りを見せ、非常に速かったうえに、他のライバルたちよりもタイヤの状態を良好に保っていた。そうして彼はまずジョージ・ラッセルの前に出て、さらにより新しく、一段ソフト寄りのミディアムタイヤを履いたランド・ノリスをチェッカーフラッグまで後方に抑え込むことに成功した。

 ハミルトンの加入がルクレールに影響し、パフォーマンスレベルが上がり、新たな才能が開花したように思える。彼は今やベテランの走りを見せており、レースエンジニアとの関係性もまた、彼自身とマシンのポテンシャルをさらに引き出す助けとなっている。

 ルクレールに勝てるマシンを与えるべきだ。そうすれば、マクラーレン勢やフェルスタッペンにとって、真にふさわしいライバルがひとり誕生することになるだろう。


■ラッセルに匹敵する走りを見せたアントネッリ

アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス):予選5番手/決勝6位

 ジェッダはルーキーにとって容易なサーキットではないが、アンドレア・キミ・アントネッリは、才能豊かなドライバーであれば、F1での初挑戦であっても最上位のドライバーたちに挑めるということを証明した。致命的なミスを全くしなかったアントネッリは、予選で5番手に入り、レースでは、優れたタイヤマネジメントにより、はるかに経験豊富なジョージ・ラッセルのペースに匹敵する走りを見せた。

 18歳の若者が、極めて困難なレースを、現在キャリア最高レベルにいるラッセルからわずか7秒差で完走するというのは、並外れた才能を持っていなければ不可能なことだ。彼をこれほど早くF1に昇格させたメルセデスの判断に疑問を抱いていた者たちも、今やトト・ウォルフ代表とその若手ドライバー育成チームが、これまでアントネッリに見出していたものを理解し始めているはずだ。


■本領を発揮し始めているサインツ

カルロス・サインツ(ウイリアムズ):予選6番手/決勝8位

 カルロス・サインツは、ウイリアムズという新たな環境で自身のベストレベルに到達するには10戦が必要だと述べていた。しかしサウジアラビアでの彼のパフォーマンスを見るかぎり、その「修行期間」を半分の時間で終えることができたように見える。サインツは、予選と決勝の両方で、チームメイトに勝ったのである。

 ちょうど1年前、虫垂炎の手術のためにジェッダで緊急入院を余儀なくされたサインツだったが、今年は週末を通して見事なパフォーマンスを見せた。予選では、フェラーリ、レッドブル、マクラーレンのそれぞれ1台ずつを上回って6番手を獲得。これは注目に値する結果だ。レースでは、冷静さを保ち、速いマシンとは無用な争いを避け、最後の15周ではチームメイトのアレクサンダー・アルボンにDRSを使わせることで、より新しく一段階ソフト寄りのタイヤで追いついてきたアイザック・ハジャーから、アルボンと自分自身のポジションを守り抜いた。

 サインツは、2年前のシンガポールで、後ろのノリスにあえてDRSを与えて、後方にいた、より速いマシンたちから身を守り、優勝を飾った。今回の走りも、その時の戦いを思い起こさせる、まさに名シーンだった。

[オートスポーツweb 2025年04月24日]

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