日本のご長命クルマにあやかりたい年末年始
2019年の自動車業界は、マツダ車の「アクセラ」から「マツダ3」へという車名変更をはじめとし、トヨタ車では「ヴィッツ」から「ヤリス」というようなモデルチェンジに伴う車名変更が多い年だった。そんな対照的に思い起こされるのは、同じ車名で10世代以上に渡り販売されているモデルたち。ピックアップし、しばし思いを馳せてみましょう。
韓国車から米国2位のメーカーまで「日本では生き残れなかった自動車ブランド5つ」
トヨタ・クラウン(現行型で15代目)
純粋な日本製乗用車の基礎を築いた「クラウン」は1955年登場の初代モデル以来、一貫して「日本の道路環境に最適な高級車」というポリシーで造られている。これこそがクラウンが60年以上続いている大きな理由だろう。
それでいながらクラウンは保守的なクルマと思われがちだが、日本初となる生粋の国産車であることをはじめ、V8エンジンの搭載、スーパーチャージャーの装着などなど、こちらも日本初の技術採用が多いことや、トヨタ自ら「ゼロクラウン」と呼んだ12代目の変化、ニュルブルクリンクでテストを行なった現行モデルなど、イメージとは裏腹に挑戦的なクルマでもある。
しかし、現行モデルが意外に売れていないのはちょっと心配とはいえ、間違いなく日本を代表するモデルといえるだろう。
トヨタ・カローラ(現行型で12代目)
日産サニーに対抗する大衆車として1966年に登場したカローラは、消滅したサニーとは対照的に現在も世界中で人気車となっている。カローラが長年愛される理由は、クオリティや信頼性の高さに代表される移動の道具として非常に優れたクルマであるためだろう。
日本で販売されるカローラは先代の11代目モデルがヴィッツベースとなったためなのか、安っぽさが目に付くとも言われていたが、現行12代目のファミリーとなる2018年登場のカローラスポーツ、2019年登場のセダンのカローラ、カローラツーリングでは「総合力ではVWゴルフ以上」と思わせる高い完成度を誇る。
さらに現行型は、初代モデルから守り続けた5ナンバーサイズから3ナンバーサイズへと巨大化。とはいえ、セダンのカローラやカローラツーリングは専用の日本向けボディサイズとするなど、国内市場への配慮も抜かりがない。そういったことを考えるとカローラが世界一売れているクルマであることも大いに納得ができるだろう。
トヨタ・カムリ(現行型で10代目)
1980年にFRのアッパーミドルのセダンとして登場したカムリは、ボディサイズこそ時代の流れで大きく拡大したが、車格や「堅実な実用セダン」というコンセプトは不変だ。
近年は北米と中国が主なマーケットということもあり、日本では目立たない時期も長かった。しかし2017年登場の10代目(現行型)は、スタイルやパワフルな動力性能などエモーショナルな魅力も備え、日本でもマークX生産終了の間接的な理由になるほど、存在感を示すモデルに成長したと言えるだろう。
日産・スカイライン(現行型で13代目)
日産を代表するスカイラインはプリンス自動車の手で1957年に登場した初代モデル以来、迷走したことも少なくなかったが、日本人に響くスポーツセダンという強いイメージを持っていた。
しかし、2013年に登場した現行の13代目は、いろいろな意味で日本市場を軽視したところがあったのも事実。2019年のビッグマイナーチェンジでは、世界最先端の運転支援システムとなる「プロパイロット2.0」の採用や、新型3リッターV6ターボエンジンの搭載など、良化は感じられるものの「もう少し日本も見てほしい」と感じるのも事実なので、次期モデルに期待したいところだ。
ホンダ・アコード(次期型で10代目)
アコードは日本向けのキャラクターやポジションが途中で変わったこともあったが、世界的に見ればカムリのライバルとなるアッパーミドルセダン。初代は1976年にハッチバックで登場し、80年代半ばまでホンダのフラッグシップモデルを担っていた。
ここ10年ほどは日本向けの配慮に欠けるところがあり、販売は低迷。日本からアコードがなくなる心配もあったが、めでたく2020年2月にタイ生産となる次期型10代目にフルモデルチェンジされる(下写真は現行型)。
これは、日本で販売される次期アコードが北米を基準にすると2年以上遅れての導入。喜べないところもあるが、ホンダが日本でもアコードを途切れることなく継続していることにはひとまず拍手を送りたい。
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