ロードマップを変更せざるを得ない
本田技研工業(以下、ホンダ)は5月20日、『2025ビジネスアップデート』と題したメディア向けのプレゼンテーションを、東京都港区のホンダ本社で行った。登壇者は代表執行役社長の三部敏宏氏と、同副社長の貝原典也氏である。今回軸となるテーマは『4輪電動化戦略の軌道修正』だ。
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ホンダは2050年に『全ての製品と企業活動を通じたカーボンニュートラル』、『2輪、4輪が関与する交通事故ゼロ』の実現を目標としている。そこは引き続き目指していくが、様々な状況により、そこに至るまでのロードマップを変更せざるを得ないというのが今回の趣旨だ。
その方向性は、『知能化を軸とする、EV、ハイブリッド車の競争力強化』、『パワートレインポートフォリオの見直しによる事業基盤強化』の2点となる。
EV市場は明らかに減速しており、2030年時点のグローバルでのEV販売比率はこれまで目標だった30%を下まわるとホンダは見通している。そのため、需要の高まっているハイブリッドに力を入れ、2027年以降に次世代モデルを投入。2030年の販売台数は仮に現在の360万台を維持できた場合、220万台をハイブリッドとする想定だ。
主力モデルに新たなHマークを適用
また2027年頃から北米、日本で投入を予定するEV、ハイブリッドの主力ラインナップに、次世代ADASを幅広く採用していくことも公表した。これは一般道や高速道路の境をなしに、目的地までの全経路でアクセルやステアリング操作を支援するもの。
現在は上級モデルを中心に搭載されているが、ホンダのハイブリッドシステムは技術的課題をクリアできるとし、小型車まで幅広く搭載する。そうすることで商品力向上だけでなく、コストダウンにも繋がるというわけだ。
ホンダの2モーターハイブリッドシステムは『e:HEV』と呼ばれるが、次世代では新開発の電動AWDシステムを組み合わせる。2027年から4年間で、グローバルで13モデルを投入する計画だ。また、2020年代後半までに北米で需要の高い大型モデル向けのハイブリッドシステムも開発するという。
また、BEVのホンダ・ゼロ・シリーズは、予定通り2026年に第一弾を導入。2027年以降に投入される次世代モデルには、EVやハイブリッドの主力車種に新たなHマークを適用することも発表された。
長期的視点ではEVが最適解
プレゼンテーションの中で三部社長は、「カーボンニュートラル実現に向けて、長期的視点ではEVが最適解である」と強調したが、「市場を読むのが難しく、30%と想定していたEV比率は20%くらいまで落ちる可能性がある」との見方も示した。
しかし、「EV普及の前提となっていた環境規制は、米国、欧州を中心に緩和する方向性が強まった」と、EV減速とハイブリッド強化の根拠を語った。また、通商政策(トランプ関税)による不透明さにも懸念を表しつつも、「地産地消」という表現で、その市場でサプライチェーンを築き生産まで行っていくことを強調した。
また、知能化や電動化に対する莫大な投資を、日産自動車や三菱自動車との戦略的パートナーシップを強化することでリスクヘッジしていきたいと、3社の合流こそなくなったが、今後も連携していきたいとしている。
一方、二輪事業は絶好調で、何と2025年3月期の世界シェアは約40%となり、2057万台を販売。37の国と地域で過去最高を達成した。2030年前後には現在の5000万台が6000万台まで市場が拡大すると予想。インドに電動二輪車専用工場を作るなどして、長期的には世界シェア5割を目指す。
つまりホンダは、二輪事業の好調さをバックボーンに、電動化が踊り場にある状況をハイブリッドモデル強化や次世代ADASの幅広い採用で乗り切る想定だ。
三部社長のプレゼンテーションを聞いていて、中国市場など予断を許さない状況ではあるが、ホンダが100年に一度の変革期を何とか乗り切れそうな雰囲気は感じた。
ただ、ひとつ気になったのはクルマ好きという視点で見た時に、高揚感を覚えるような話がプレゼンでなかったこと。『ビジネスアップデート』だからそんな悠長な話が出てこないのは当然だが、自動車の未来に夢を見たいのは筆者だけではないだろう。
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