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水に浮かぶSUVに踊るスーパースポーツカー! 中国車の尖った技術を見て「日本車は抜かれた」の論調は果たして正解なのか?

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水に浮かぶSUVに踊るスーパースポーツカー! 中国車の尖った技術を見て「日本車は抜かれた」の論調は果たして正解なのか?

 この記事をまとめると

■中国車のなかでもBYDは最新技術の開発や商品展開力に勢いがある

プールにどぼん! クラッシュテスト車を展示! タイで鈍化するBEVブームに中国メーカーが取った策は「安全性アピール」

■日本車は遅れをとっているが信頼性などの面ではまだまだリードしている

■中国メーカーの進展が早いのは明らかで日本メーカーは追い抜かれる可能性が高い

 中国車の勢いが止まらない

 中国車の台頭は、いまや世界中の誰の目にも明らかだ。とりわけ注目すべきは、BYD(比亜迪)をはじめとしたEVをメインとしたメーカーによる、技術革新と商品力の急速な進化である。ここ最近、話題になっているのが、BYD(YANGWANG)が本国で展開するフラッグシップSUV「U8」とスーパーカーの「U9」だ。これらを前にして、「日本車はもう終わった」「もはや中国車のほうが上だ」という声さえ聞こえてきそうだ。だが、本当にそうなのだろうか。

 過去30年以上、自動車ジャーナリストとして世界中のクルマを見てきたが、この問いに対する答えは決して単純ではない。確かに中国車の一部は技術的にもデザイン的にも日本車を凌ぐインパクトをもち始めている。しかし、それが「優れている」という評価とイコールかといえば、話はそう簡単ではない。

■BYD U8/U9が見せる「スゲー」の正体

 まずは話題のBYD U8。これは1台2000万円近いプレミアムSUVであり、4基のインホイールモーターを搭載し、戦車のような“その場回転”(超信地旋回・タンクターン)も可能というユニークな走行性能をもつ。しかもEVとしてだけでなく、エンジンを発電用に搭載したPHEVシステムを採用しており、実用性と先進性のバランスも取れている。水上を浮いて走るデモンストレーションには度肝を抜かれた。

 スポーツカーのU9はさらに尖っている。1000馬力級の出力を誇るピュアEVスーパーカーでダンスするように車体が上下するアクティブサスペンションや、航空機を彷彿とさせる内装など、まさに「ショーケース」としての魅力を満載している。

 確かに、この2台はスゴイ。けれど、その“スゲー”の多くが「見せるための技術」であるという印象も受けるのだ。欧州の名だたるサプライヤーが中国に生産拠点を設置し、デザイナーやエンジニアの引き抜きも多い。新興自動車メーカーといえども確立された技術を導入して競争力を高めているのである。

 一方、日本車はどうか。最近の国産車は全体的に保守的になったと感じる。だが、そこには理由がある。

 たとえばトヨタのハイブリッド車は、すでに製品として25年以上の実績をもち、信頼性・経済性・環境性能において非常に高い水準を維持している。ホンダのe:HEVや日産のe-POWERも含め、走行性能と燃費性能を高度に両立させており、長年の信頼性も加わって多くのユーザーに支持されている。

 また、品質管理や耐久性という点でも、日本車は依然として世界のトップレベルにある。過酷な環境下でも安定して動作するクルマをつくるノウハウ、素材選びから生産ラインに至るまでの緻密な設計力は、短期間で追いつけるものではない。

 このままでは日本車は追い抜かれる

■信頼性はすぐに確立できるものではない

 中国車が見せる「尖った技術」は確かに魅力的だ。しかし、日本車には「技術の深み」がある。長年のノウハウに裏打ちされたパワートレインのドライバビリティの高さ。緻密に設計されたサスペンションセッティングで、数値には表れにくいが官能性能として確実に体感できる「高い走りの完成度」がある。

 また、日本車はグローバル市場での実績においても、まだまだ優位を保っている。アメリカや東南アジア、中東など多様な市場で長く信頼されてきたことは、一朝一夕では築けないブランド価値だ。

 とはいえ安心もできない。日本車が過去の成功体験にとらわれすぎている面があるのも事実だ。変化のスピードが増すEV・ソフトウェア時代において、中国勢の大胆なチャレンジと開発スピードが大きな脅威なのは間違いない。日本の自動車メーカーが、この現実にどう応えるかが今後のカギとなる。

 とくに、ソフトウェアの統合や自動運転といった“非ハード”の領域では、いまのところ中国勢やテスラの後塵を拝している。ここをどう巻き返すかが、今後の日本車の生き残りに大きくかかわるだろう。

 結論として、日本車の優位性は「まだある」といってよい。ただしそれは、過去の実績と技術の積み重ねによって支えられているものであり、このままの姿勢でいれば、いずれ抜かれる可能性もある。

 BYD U8やU9が象徴するように、中国車は今後ますますグローバル市場での存在感を高めるだろう。だが、見た目の派手さやスペックでは測れない「使い続けてわかる信頼性」、「ユーザー視点に立った細やかさ」といった部分では、いまのところ日本車に一日の長がある。

 それでも、日本車が本当の意味で“未来の主役”であり続けるためには、変化を恐れず、よりスピード感をもった技術開発と、ユーザー体験を重視した商品づくりが不可欠だ。かつて、「トヨタにできないことはほかの誰にもできない」といわれた時代は終わりつつある。だからこそ、再び世界の頂点を目指すために、日本車は本気を出すべきタイミングに来ている。

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みんなのコメント

130件
  • nm7********
    電気自動車の時代は来ない。
    寒い地域では使えないし、インフラ整備も金がかかりすぎる。
    C製なんて怖くて乗れないしまじでいらん。
  • yen********
    浮かぶはともかく、踊る必要性なんてない。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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