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【50年後でも仰天】ランボルギーニ・カウンタック LP400から25thアニバーサリーまで 前編

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【50年後でも仰天】ランボルギーニ・カウンタック LP400から25thアニバーサリーまで 前編

強烈な印象を与えたカウンタック

text:Richard Heseltine(リチャード・ヘーゼルタイン)

【画像】発表50年 ランボルギーニ・カウンタック アヴェンタドールやシアンも驚きのデザイン 全91枚

photo:Remi Dargegen(レミ・ダルゲゲン)

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


たとえ運転したことがなくても、ランボルギーニ・カウンタックはいつも心の中にあった。少し大げさかもしれない。でも1970年代のスーパーカーブームで、若者の部屋に飾られていたであろう1番のポスターは、カウンタックだったのではないだろうか。

鮮烈な登場から10年が過ぎた1980年代後半でも、カウンタックは健在だった。子どもの心にこれほど強烈な印象を与えたモデルは、他にあっただろうか。今でも特定の年齢の大人にとっては、特別なクルマであり続けていると思う。

もし、そんなカウンタックが4台も揃ったら。電気が走って、その場に立ち尽くしてしまいそうだ。

今でも、周囲の空気を大きく変える。2021年に見ても鮮烈。ほぼ同じ形のLP500プロトタイプが、50年前の1971年ジュネーブ・モーターショーに出展されたのだ。会場の反応は、さぞかしスゴイものだっただろう。

自動車雑誌、ロード&トラックはこんな記事を載せている。「カウンタックとは、驚きを表現するトリノの方言。オーマイゴッドや仰天、といった意味ですが、実際にそんな印象を与えます」

「最高速度300km/hは、ドラマチックなこのクルマが備える可能性。もしこのフォルムで生産されないなら、(速度を)達成する機能のためでしょう」

そして、ほぼそのままの形で生産された。ランボルギーニは、5年前にミウラでフェラーリを挑発した時と同じように、公道用モデルを介して中指をマラネッロに突き立てた。

チューブラーフレームに宝石級のV12

カウンタックは、沢山のエアスクープやダクトで走行性能を実現させた。必要なものへの妥協はなかった。しかし、ボディに与えられた穴や膨らみは、別世界からやって来たようなオーラを増幅させることにも役立った。

見た目は、これまでのクルマと一線を画す。だが、内側にも驚嘆の声を上げるような構造を秘めている。

マルチチューブラー・スペースフレーム構造の主要骨格に、さらにチューブラー構造が追加され、アルミニウム製のボディを搭載。ロールケージの機能も果たしていた。

フロント側の構造は、サスペンションのウイッシュボーンとコイルを支持。リア側も同様の構造だが、コイルオーバー・ユニットは片側に2本づつ与えられた。その中央には、オールアルミニウム・クワッドカムのV型12気筒エンジンが収まった。

ジオット・ビッツァリーニが基本設計を施し、ジャンパオロ・ダラーラが磨き込んだ宝石級のエンジンは、主任エンジニアのパオロ・スタンツァーニの采配により、ミウラとは異なり縦向きに搭載。エンジンの前方でトランスミッションにつながっている。

珍しいレイアウトではあったが、そのおかげで燃料タンクとラジエターも、ホイールベース内に搭載が可能だった。エンジンでも特に重い部品となるフライホイールが、クルマの重心位置に近い場所に来るというメリットもあった。

パッケージングは傑作といって良いだろう。基本的なレイアウトは1971年以降の約20年間、ほとんど変更されることはなかった。

純粋なデザインが特別感を強めるLP400

カウンタックLP400の生産が始まったのは1974年。ランボルギーニを創業したフェルッチオ・ランボルギーニは、その時までに株式を手放し経営を退いていた。オイルショックが世界を襲い、イタリアは産業的にも政治的にも、不安要素で溢れていた。

ちなみにLP400とは、ロンジドゥディナーレ・ポステリオーレ 4リトロの略。縦置きミドシップ、4Lの意味がある。

1977年までに、ランボルギーニは150台のLP400を生産している。今回ご登場願った1台は、1976年10月に納車されたカウンタック。マローネ・メタリザートと呼ばれる、落ち着いたメタリック・ブラウンのボディカラーが素晴らしい。

1970年代に快楽主義を象徴したように、現在も自己主張が非常に強い。フォルムは読者の脳裏にあるままだと思う。LP400のボディサイズを、写真ではお伝えしきれないのが残念だ。

恐らく、カウンタックは大きいスーパーカーとして記憶しているはず。しかし実際は、現在のハッチバックと比較できるくらい小ぶりなのだ。全長は4140mmしかない。

それでも、LP400が放つ衝撃力は衰えていない。今回の4台の中で見た目は1番大人しいが、純粋なスタイリングが特別感を強めている。

後期モデルのように、バンパーにはチンスポイラーが付いていないし、オーバーフェンダーやウイングもない。それでも、ジュネーブ・モーターショーで出展された時のインパクトを今に残す。

疑問を抱くほど窮屈な車内

ベルトーネ社のチーフデザイナー、マルチェロ・ガンディーニが描き出した未来的なコンセプトカー、アルファ・ロメオ・カラボ。その要素が浄化され、ランボルギーニに落とし込まれている。

ガンディーニは、自動車として確立されていた一般的な形やイメージに気を留めなかった。トレードマークともいえる、キックバックしたリアのホイールアーチは好例だ。

ボディサイドにはNACAダクトがえぐられている。その影には、ドアを開閉するためのボタンが付いている。ダクトのくぼみは、シザーズドアを持ち上げる時の取っ手にもなった。こんなディテールを観察していると、何杯もワインを飲みながら過ごせる。

実際にLP400の車内に身体を押し込んでみると、少し圧倒される。ボディのスタイリングと機械的なパッケージングとのトレードオフが、明確になる。何しろ車内は窮屈だ。

なぜこうなったのか、疑問を持ってしまう。技術者とスタイリストは、シャシーとボディを結合する前に1度でも相談したのだろうか。

頭上空間は非常に限定的。薄いパッドの入ったシートは、ほとんど位置調整できない。リアのバルクヘッドは、シートの直後。お尻はシザーズドアの開口部より下に収まる。高いサイドシルと幅の広いセンターコンソールの間に、身体をはめる。

フロントのホイールハウスも車内を侵食している。3枚のペダルの間隔は狭く、ほぼ垂直に立てられたステアリングホイールが膝の上に伸びている。

この続きは中編にて。

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