この記事をまとめると
■世界最大級のクラッシックカー・イベント「レトロモービル」にブガッティが出展
市販車なのに最高速度430km/h超! スーパーカーを超えるハイパーカーのブガッティ・ヴェイロンとは
■「F.K.P.オマージュ」と呼ばれる名車ヴェイロンをオマージュしたワンオフモデルを展示
■最新技術などをふんだんに取り入れ「ブガッティに不可能はない」を証明する1台であった
世界最高峰の歴史的スーパーカーをオマージュ
世界最大級のクラッシックカー・イベントともいえる、フランス・パリのレトロモービルに、ブガッティが、ある1台のモデルを出品した。それはVWグループに再編されたブガッティにとって初のプロダクションモデルとなった「ヴェイロン」のデリバリーが、2026年で20年目を迎えたことを記念してのもの。ちなみにヴェイロンの生産台数は当初300台の限定とされていたが、のちにオープンボディのグランスポーツがやはり150台限定生産されたため、トータルでは450台がデリバリーされている。
また、ミッドに搭載される8リッターのW型16気筒+4ターボエンジンの最高出力は、スタンダードなヴェイロンでは1001馬力の設定だったが、2010年に誕生した進化型のスーパースポーツや、そのオープン仕様となる2012年デビューのグランスポーツ・ヴィテッセでは、そのスペックは1200馬力にまで強化されるに至っている。
今回ブガッティがレトロモービルに出品したモデルは、正式には「F.K.P.オマージュ」と呼ばれるものだが、そのスタイリングの基本がヴェイロンのそれにあることは誰の目にも明らかだろう。ヴェイロンに特有な後方に向って傾いた姿勢とベルトラインを維持しながら、F.K.P.オマージュではあらゆるボディパネルがさらに洗練され、アルミニウムの塊から削り出されたという馬蹄形のフロントグリルもまた、ヴェイロンの平面的なデザインとは異なり、その周囲のボディワークに巧みに溶け込む形状に一新されている。
大型化されたフロントのエアインテークもまた、走りへの期待を大いに高めてくれる要素のひとつだ。ホイールサイズはフロントが20インチ、リヤが21インチの設定となり、ミシュランが専用開発した最新技術によるタイヤがこれに組み合わされる。
ブガッティに不可能はないことを証明する1台
ヴェイロンの誕生から20年という時間のなかでは、ペイント技術も驚異的な進化を遂げた。F.K.P.オマージュはまさにその最先端に位置するモデルで、特徴的なエクステリアの仕上げには、高度なレイヤリング技術が採用されている。赤みを帯びたクリアコートの下にアルミニウムベースのシルバーコートを重ねることで、ボディには独特な奥行と立体感が生み出され、カーボンファイバーを露出させたパートには、クリアコートに10%のブラックペイントを配合。これもまた間近で見ると視覚的にも、そして触覚的にも豊かな質感を感じることができるという。
インテリアのフィニッシュもまた感動的だ。ブガッティのインテリア・パーソナリゼーションにおける最新の進化を体現したとされるそれは、パリでブガッティのために独占的に織られたカスタム・カー・クチュールと呼ばれるファブリックや、こちらも無垢のアルミニウムから削り出されたセンターコンソール、そして独創的な自動巻き機構を持つ41mmのオーデマ・ピゲ製の「ロイヤルオーク・トゥールビヨン」などを備えるもの。まさにブガッティにはカスタマーのリクエストに応えるために、できないことはないといった印象を受ける仕上がりを見せている。
ミッドに搭載されるエンジンは、もちろん8リッターのW型16気筒+4ターボだ。それはF.K.P.の名が示すところである、かつてのVWグループの会長であり、また天才的なエンジニアでもあったフェルディナンド・カール・ピエヒが、日本に出張中に新幹線の車内でその原案を思いつき、スケッチを描いたというW型エンジンの究極作、そして最終進化型ともいえるもの。まさにパッケージングの驚異ともいえるW型16気筒エンジンは、通常ならば1000mmにも及ぶだろうパワーユニットの全長をわずか645mmに抑え、ヴェイロンで2700mmというホイールベースを実現することに大きく貢献したのだ。
前後の重量配分は最適化され、さらに4WDの駆動方式を採用することで、圧倒的な動力性能を持ちながらその走りには圧倒的な安定感があった。
F.K.Pオマージュには、このW型16気筒+4ターボエンジンが、1600馬力の最高出力で搭載されている。これはヴェイロンの後継車である「シロン」の高性能版、「シロン・スーパースポーツ」に使用されたものと同一のもので、より大型のターボチャージャーやアップグレードされた冷却システム、そしてもちろん増大されたトルクに対応するためのギヤボックス(7速DCT)が採用されている。サスペンションももちろんこのモデルのために特別なセッティングが施されたものだ。
F.K.P.(フェルディナンド・カール・ピエヒ)の名は、VWグループのなかでこれからも偉大なる指導者、そしてエンジニアとして語り継がれていくのだろう。このワンオフのスペシャルモデルは、まさにそれを象徴する存在といえるのだ。
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