まもなくやってくる夏の行楽シーズン。クルマでの遠出を計画している人は少なくないと思いますが、真夏の高速道路はタイヤにとって一年でもっとも過酷な環境。炎天下で熱せられた路面を高速で走り続けることは、タイヤに大きな負荷がかかり、思わぬトラブルにつながってしまうことがあります。
安全に目的地にたどり着くために、出発前に確認したいタイヤ点検のポイントをご紹介します。
【画像ギャラリー】夏の旅行を「台無し」にしないために!! 真夏の高速道路でタイヤがバーストする本当の原因(13枚)
文:吉川賢一/アイキャッチ画像:Adobe Stock_琢也 栂/写真:Adobe Stock、写真AC、エムスリープロダクション、JATMA
真夏の高速道路はタイヤのバーストが発生しやすい
クルマに乗り込んだ瞬間、ムワッと押し寄せる熱気。シートは焼けるように熱く、ハンドルも素手では握りづらい。夏の暑さが本格化するこの時期、「またこの季節が来たか」と感じる人も多いでしょう。
しかし、暑さにさらされているのは人だけではありません。愛車もまた、高温の環境で大きな負荷を受けています。なかでも注意したいのがタイヤです。
タイヤは、走行による変形や路面との摩擦で熱を発生しますが、真夏はこれに炎天下で熱せられた路面から受ける熱も加わるため、大きな負荷がかかります。さらに高速走行をすると、タイヤの回転数が増えて発熱も大きくなるため、負荷はさらに高まります。
実際、2025年度のお盆期間(8月9日~18日)の高速道路におけるJAFに寄せられたタイヤ関連のトラブルによる四輪車の救援要請は1,239件。年末年始(2025年12月27日~2026年1月5日、609件)の約2倍に達しています。
タイヤがパンクやバースト(破裂)する原因はいくつかありますが、真夏の高速道路で危険性を高める代表的な要因のひとつが空気圧不足です。タイヤは走行中、路面との接触や変形によって熱を持ちますが、空気圧が不足していると車重を受けることでタイヤのたわみが大きくなり、「スタンディングウェーブ現象」とよばれる、波打つような変形が発生しやすくなります。このスタンディングウェーブ現象によってタイヤ本体が異常に発熱し、ベルトやコードなどの内部構造が損傷することで、最悪の場合はバーストにつながります。JAFも、空気圧が低いタイヤはスタンディングウェーブ現象が起きやすくなるとして注意を呼びかけています。
空気圧不足はバーストだけでなく燃費悪化も招く
タイヤの空気は、何もしていなくても少しずつ抜けていきます。一般社団法人日本自動車タイヤ協会(JATMA)によると、乗用車用タイヤの空気圧は1か月に約5%自然低下するそう。5%低下することで、すぐに危険な状態になるわけではありませんが、空気は抜け続けていくため、点検せずに放置を続けると空気圧不足が進んでいくことになります。
空気圧不足は、前述したタイヤのパンク・バーストにつながるほか、トレッド面の偏摩耗や燃費悪化にもつながります。JATMAによると、適正空気圧より50kPa不足した場合の燃費悪化率は、市街地走行で2.5%、高速道路では4.8%とのこと。ガソリン価格を150円/Lとして、「実質4~7円/L高いガソリンを使っているのと同じ」と試算しています。
適正空気圧より50kPa不足するというのは、一般的な乗用車のメーカー指定空気圧(200~240kPa)に対して、約20~25%低下した状態。かなり空気圧不足が進んだ例ではありますが、空気圧が燃費にこれほど影響してくることは覚えておきたいところ。ガソリン価格が高騰すれば金額の差はさらに大きくなるため、無視できない負担となります。
ただ、空気圧不足のまま走っているクルマは意外に多く、JATMAが2025年に全国で実施した路上タイヤ点検では、実測した車両の49.7%に空気圧不足が確認されたそう。ガソリン価格の数円の値上がりには敏感なのに、空気圧不足による燃費悪化を放置するのは、非常にもったいない話です。
メーカー指定のタイヤ空気圧は、運転席側ドアの開口部やセンターピラー付近などに貼られたラベルに記載されています。前輪と後輪、乗車人数や積載量によって指定値が異なる車種もあるため、表示内容を確認してください。
測定は、走行前などタイヤが冷えている「冷間時」に行うのが基本です。走行後はタイヤ内部の空気が温まり、測定値が高くなる傾向があります。ガソリンスタンドによっては、空気充填機やエアゲージを無料で貸してくれるため、給油のタイミングに合わせ、月に1度確認する習慣をつけると忘れにくいでしょう。
また、タイヤ空気圧は高くても本来の性能を発揮できません。タイヤ中央部が摩耗しやすくなるほか、乗り心地や路面との接地状態にも影響することで、グリップ性能も下がる傾向があります。
空気圧だけでは不十分!! 傷・異物・残り溝も確認
パンクやバーストを防ぐために確認しておきたいのは空気圧だけではありません。タイヤの傷やひび割れ、膨らみ、異物、残り溝なども確認しておきたいところです。
まずは、タイヤ側面や路面と接するトレッド面に、傷やひび割れ、膨らみがないかを確認しましょう。とくに側面が局所的に膨らんでいる場合は、タイヤ内部のコードが損傷している可能性があります。危険な状態ですので、すぐにタイヤ販売店や整備工場に相談してください。
溝の中に釘やネジ、金属片などが刺さっていないかも確認してください。もし異物を見つけても、その場で抜くことは避けてください。抜いた途端に空気が急激に漏れることがあるため、タイヤ販売店などに相談して対処しましょう。
そしてもちろん、残り溝も重要です。乗用車用タイヤは、残り溝が1.6mmになるとスリップサインが現れ、使用限度に達しますが、溝が減るほど路面の水を排水する性能が低下するため、雨の日のグリップ性能が低下し、スリップしやすくなります。高速走行では、タイヤが路面から浮き上がりグリップを失う「ハイドロプレーニング現象」を招くおそれも。ブリヂストンは、安全上の観点から、雨の日の性能が著しく落ちる前の残り溝4mm以上での交換を推奨しています。
パンク・バーストを感じたら、徐々に速度を落とそう
走行中にタイヤがパンクすると、異音や振動が発生したり、ハンドルが左右に取られたように感じるほか、加速が鈍くなり、クルマが傾いたように感じる場合もあります。バーストでは大きな破裂音が発生し、車体が急に傾いたり、進行方向が乱れたりすることがあります。
これらを感じたら、まずはハンドルを両手でしっかり保持し、アクセルを緩めましょう。クルマの向きを保ちながら徐々に速度を落とし、ハザードランプを点灯させたあと、可能な範囲で路肩などへ寄せて停止します。
停止後は、車内にとどまらないことも重要です。とくに高速道路では、後続車へ知らせるため停止表示器材などを設置し、運転者と同乗者はガードレールの外側など安全な場所へ避難します。その後、非常電話や携帯電話から道路管理者、警察、JAFなどへ救援を依頼しましょう。
路上を歩き回ったり、路肩で修理作業を続けたりすることは、後続車にはねられる2次事故につながるため危険です。タイヤを直すことよりも、乗員が安全な場所へ避難することを優先してください。
真夏の高速道路を走る前にタイヤを見る時間をつくろう
タイヤのパンク・バーストは、空気圧不足による大きなたわみ、タイヤ内部の発熱、経年劣化、外傷や異物など、複数の要因が重なることで発生します。なかでも空気圧は、短時間で確認できるにもかかわらず、点検を忘れやすい項目です。
事前に指定空気圧を確認し、タイヤ全体の傷や摩耗も見ておけば、途中で異常に気づくよりもはるかに安全。この夏にクルマでの遠出を計画している人は少なくないと思いますが、家族や友人との旅行をタイヤトラブルで終わらせないためにも、高速道路へ向かう前に、一度タイヤの状態を確認するようにしてください。
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みんなのコメント
誤解している人が多すぎ
誰も彼も高級なタイヤ履けとは言わんけど、溝の残量とかヒビ割れとか空気圧とか、せめて数ヶ月おきにチェックしようよ…
そして、エントリーグレードのタイヤや任意保険などの維持費すらケチらざるを得ないような経済力しか無いなら乗ってるクルマがそもそも身の丈にあってないって事だよ…