ジウジアーロの傑作品を振り返る
10周年記念イベントとして過去最大規模で開催されたオートモビル カウンシル2025。同イベントでは、Giorgetto Giugiaro展「世界を変えたマエストロ」の一環として、ジウジアーロ氏がデザインした名車たちが一堂に会した「Designed by Giorgetto Giugiaro 車両展示」も実施。歴史に残る名車、歴史を変えた傑作の中から厳選された10台が主催者テーマ展示としてキレイに並べられ、ギャラリーたちを楽しませました。天才と称されるマエストロの作品を1台ずつ紹介します。
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バンディーニ ドーラ
2020年にデビューしたバンディーニ ドーラは、披露される予定だったジュネーブ・ショーがコロナ禍によってキャンセルになり、オンラインでの発表にとどまっていた。今回のオートモビル カウンシル 2025がパブリックデビューの場となり、事実上のワールドプレミアであった。
イタリアのバンディーニは1946年創業のスポーツカーメーカーで、1992年に一旦途絶えたが、現在ジウジアーロ父子が率いるGFGデザインと手を組んでドーラを生産することで再スタートを切ろうとしている。
バンディーニのDNAはライトウェイトのバルケッタであり、EVとして甦ったドーラのデザインもその文脈上にあるといえる。フロントのホイールアーチから立ち上がったピラーが優雅な孤を描きながらリアエンドに達し、モノフォルムを形成しており、このディテールも美しい。フルカーボンのアンダースキンには、システム総出力が536psとなるツインモーターが前後に搭載されており、0-100km/h加速約3.3秒を実現している。
イタルデザイン アズテック
1988年にデビューしたイタルデザイン アズテックは、1988年のトリノショーにてイタルデザインのブースで披露された。運転席と助手席が独立したツインキャノピー・スタイルが最大の特徴で、ドライバーとコ・ドライバーはインカムを通じて会話した。
イタルデザインの共同創設者である宮川秀之氏が率いるトリノのコンパクト社がアズテックの独占販売権を取得。50台を生産し、日本で限定販売することが決まっていたが、ミッドシップの位置に搭載するアウディ製直列5気筒エンジンのクーリング問題の解決に時間がかかり、その対応に追われるうちにバブル景気が崩壊。そのため、生産計画が頓挫してしまった。駆動系は、ランチア デルタ インテグラーレから流用したフルタイム4WDだ。
DMC デロリアン
1981年にデビューしたDMC デロリアンは、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に登場し、劇中でタイムマシンとして活躍した夢のクルマだ。メカニズム面を担当したのはロータスで、エスプリから派生したシャシーを採用。その上にイタルデザインが手がけた2シーター/ガルウイングドアのボディを載せていた。
特徴的だったのはボディパネルにステンレス鋼が用いられたことで、ヘアライン加工された無塗装の状態で全車が工場をラインオフ。ステンレスキッチンと同じように表面に傷がつきやすいので、ゴシゴシと磨きすぎるようなメンテナンスは厳禁だといわれた。
市場投入直後からクオリティの低さ、PRV V6エンジンのトラブル、創業者が麻薬所持で逮捕されるなどの問題が重なり、わずか1年でDMC(デロリアン・モーター・カンパニー)が倒産してしまった。
フィアット パンダ
1980年にデビューしたフィアット パンダは、度重なる工場のストライキやオイルショックなどを理由に新車の開発が進まなかったフィアットの立て直しのために投入されたベーシックカーである。当モデルの開発にあたりフィアットのカルロ・ディ・ベネデッティがジュジャーロ氏にオーダーした条件は、126用エンジンの流用、コスト、重量という3つのみだったといわれ、あとはすべてフリーハンドでのデザインを任されたのだという。
「あの時代だからこそ自由にできた」とはジウジアーロ氏のコメントで、内外装の意匠のみならず、基本レイアウトまで彼の手中にあった。だからこそ、自由な発想と知恵を存分に発揮できたのであろう。左右非対称のグリル、多彩なシートアレンジなどを採用しつつ、簡素な足まわりでありながらもチープなだけで終わらない何かを実現できたことが商業的大成功につながった。
ランチア デルタ
1979年にデビューしたランチア デルタは、Asso di Picche(アウディ80をベース車としたプロトタイプ)のデザインが後年進化して生まれたクルマである。ボディの先端から後端まで一直線に伸びる水平のキャラクターラインやエッジの立った四角いフォルムなど、両モデルは共通点が多い。フィアット傘下に入ってランチアらしさを失いつつあった名門だが、それまでのモデルと同じように技術的に先進性が高く、エレガントかつスポーティであるデルタによって、ブランドイメージを取り戻すのが狙いであったとジュジャーロ氏は語っている。デルタは、その後WRCの世界で活躍するが、1981年に4輪駆動モデルのプロトタイプを製作したのもイタルデザインであった。
いすゞ アッソ ディ フィオーリ
1979年にデビューしたいすゞ アッソ ディ フィオーリは、まだ乗用車の生産を手がけていたいすゞがジウジアーロ氏にスタイリングを依頼した2+2クーペ。ジュジャーロ氏が率いるイタルデザインは、1970年代初頭からアウディ80のランニング・コンポーネンツを使用したAsso di Picche(スペードのエース)、BMW 320をベース車としたAsso di Quadori(ダイヤのエース)という量産車につながるコンセプトカーのAssoシリーズを生み出してきたが、その集大成となったのがAsso di Fiori(クラブのエース/いすゞ ピアッツァ)であった。
ウェッジシェイプが基調となる2ドア・ファストバックスタイルのプロポーションは余計な装飾を排したクリーンなもので、現代の視点で見ても新鮮だ。インテリアのデザインも時代を先んじたもので、デジタルメーターやサテライトスイッチを採用。ヨーロッパ車よりも美しい日本車の最右翼だといえる。
BMW M1
1978年にデビューしたBMW M1は、ドイツ・ブランドのスポーツカーではあったが、その内容はバイエルンとイタリアの混成チームで仕上げたクルマであった。もともとはレーシングカーとして企画され、ミッドエンジン開発のノウハウを持たなかったBMWが、経営難に陥っていたランボルギーニを救済するかたちでプロジェクトがスタート。ジャンパオロ・ダラーラ氏が設計責任者として加わり、デザインはジュジャーロ氏が担当するという豪華な布陣となった。イタリアン・スーパーカーとは少し異なる雰囲気だったが、無機質なジャーマン・デザインだけに終始しない清潔感溢れる造形は、いま見ても見事のひと言。本来生産を受け持つはずだったランボルギーニがプロジェクトの途中で離脱したので、ボディの生産をジュジャーロ氏が率いるイタルデザインが行った。
フォルクスワーゲン ゴルフ
1974年にデビューしたフォルクスワーゲン ゴルフは、小型実用車の新デザインを確立し、マイルストーンとなった1台だ。直線基調のスタイリングは、その後、多くのフォロワーを生むことになった。ウェストラインが低く、グリーンハウスが広いが、それでいて安定感に富んでいるのは、まさしくジュジャーロ・マジックといえる。ゴルフは初代誕生から50年以上が経過し、現行モデルが8.5世代となっているが、基本フォルムを変えることなく、いまでも世界各国で愛され続けている。ゴルフならではの2ボックス・スタイルおよびCピラーの造形が現代にまで長く受け継がれてきたことは注目に値する。いつの時代にも実用性と普遍的なフォルムが両立しているゴルフのスタイリングは、クルマのデザイン史を語る上で欠かすことができない傑作だ。
マセラティ メラクSS
1972年にデビューしたマセラティ メラクSSは、ミッドエンジン・スーパーカー市場に参戦したマセラティの意欲作。フロントエンジン時代の傑作GTであるギブリをデザインしたのがジュジャーロ氏だったこともあり、メラクも依頼された。V8エンジンのボーラとV6エンジンのメラクは同じデザイン・テーマだったが、メラクはルーフの後端からリアエンドにかけて斜めのピラーがあり、一見するとファストバックのように見えた。クーリング性能を考え、エンジンフードを露出させたのだ。同時期に登場したカウンタックやBBシリーズが新しさを前面に打ち出していたのに対し、メラク/ボーラはクラシカルだったが、それは名門メーカーのスポーツカーをジュジャーロ氏が実用性を考慮しながらデザインしたからであろう。
アルファ ロメオ ジュリア スプリントGT
1963年にデビューしたアルファ ロメオ ジュリア スプリントGTは、新世代の中型クーペで、若きジュジャーロ氏の名声を飛躍的に高めた出世作。このクルマのスタイリングを仕上げたのは徴兵中のイタリア軍キャンプで、上官の許可を得て、自由時間をベルトーネの仕事に充てていたのだという。顔つきを“寄り目”にしたのは、当時常識的だったヘッドライトから始まる峰をフロントエンドの表情の起点にしたくなかったからだ。このエピソードからも、時代に対して常に斬新で、なおかつ美しく機能的な造形を求める姿勢を、ジウジアーロが20代前半という若い頃から持ち続けていることを窺い知れる。
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みんなのコメント
スポーツカーがカッコよく見えるのは当たり前のこと。それまで軽1BOXは商用車としてしか見られていなかったが、イタルデザインで乗用車として十分通用することを証明した。
私も以前アトレーワゴンカスタムに乗っていましたよ。
それよりも、親父は5人家族だったのに、セダンではなくピアッツアを買ったものだと今になって思います。もう他界して話すことはできませんが、やっぱりあのデザインに惹かれて衝動買いしたのだろうか。