気持ちよく晴れ渡った北関東の空の下、今年で17回目となる「クラシックカー フェスティバル in 桐生」が、群馬県桐生市に在る群馬大学理工学部のキャンパスで開催された。毎年2万人以上もの集客があるという、この魅力あふれるイベントを、今年もフォトギャラリーを中心に紹介&レポートしたい。
最初から極論を言ってしまえば、このイベントの魅力は展示された自動車そのものではない。もちろんそこには貴重なクラシックカーも、めったに見かけることのできないスポーツカーも、かつてあこがれた旧車も構内のいたるところに展示されているが、それだけがこのイベントの魅力ではないことは、訪れているお客様たちを見ればすぐわかる。
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言葉通りに老若男女問わず、ありとあらゆる層の人々、その中にはおそらく自動車に興味がない(であろう)お爺さん、おばあ様や、自動車にあまり詳しくない(と思う)ヤングファミリ-などなど、桐生内外の街のすべてのジャンルの方々が続々と楽し気に足を運んでいる。
参加料が無料ということだけが理由ではないことは、みんなニコニコ笑顔で会場を闊歩している図を見れば明らかで、会場だけではなく、多くの参加者が街を走るラリー(パレード)では、様々な場所に手を振ったり、カメラを構えたりしている人の姿が途切れなく見られる。
展示車両に無粋な囲いや仕切りなどは一切ついていないし(特別展示車両の2台を除いて)、基本的には、中を覗き込むのも、オーナーに話しかけるのも自由そのもの。旧いバスがお客様を乗せて、楽し気に走っていたり、普段はいかめしい表情の警察官の方々も笑顔でパトカーや白バイにまたがらせてくれたりしている。日本道路公団は、電動ミニレクサス(子ども用)を持ち込み、子どもたちは笑いながら会場を走っているし、お弁当を食べるのも自由、日がな一日、日向ぼっこをしながらベンチでおしゃべりするのも自由。とにかくそこに流れているのは、だれもが笑顔で、どこにも肩ひじ張らず、構えず自然体であることが実に素晴らしい。
つまりこれは「愛された(愛されている)イベント」であり、人々が楽しみにしている、もはや年中行事の一つに組み込まれたイベントなのである。もちろんここまで愛されるイベントに成長するまでに至るには、実行委員の人々の汗と努力があったからなのだが、とにかく桐生の11月最初の日曜日は、「クラシックカー フェスティバル in 桐生」というのが風物詩となった。もし大げさだとあなたが思うのなら、ぜひ来年、街を訪れてほしい。けっして嘘ではないということを実感するはずだ。
「クラシックカー フェスティバル in 桐生」のプログラムの一つに、「自動車お絵かき教室」がある。これは会場を訪れた子どもたちが自由に展示された自動車を想い想いに描き、その作品は次年度のプログラムの表紙になるという、なんとも素敵な企画である。その成果もあってか、会場のいたるところでは画板とクレヨンを駆使し、作品を描く未来のエンスージャストたちの姿が多くみられる。
そうこれは未来へとつながる、爽やかなイベントなのである。
それでは当日の楽しい雰囲気を、以下のフォトギャラリーとともにお楽しみください。
フォトギャラリー: 第17回「クラシックカー フェスティバル in 桐生」毎年常連のヴィンテージボルボの一軍。たまたま同じホテルに宿泊したが、早朝から車磨きに務めていた。ルーフラックのトランクがお洒落。「スベスベマンジュウガニみたいなマヌケな顔のジドウシャだなぁ」お絵かきを楽しそうに行う未来のエンスージャスト。クレヨン(クレパス)も画板も現地で提供してもらえるので、手ぶらで訪れても大丈夫だんべ。日本道路公団が持ち込んだミニレクサスは超人気者。仲睦まじく兄弟で乗る姿が微笑ましい。こういうBEVは大歓迎だ。「なんだか鯖みたいな車だなぁ。あの黒い変なものなあに?」。スカGもフェンダーミラーも知らない未来のエンスージャストは画板の上でクレヨンを一生懸命に動かす。自動車のイベントで、警察(群馬県警)がコラボしてくれているのはいたって珍しい。いつもはつい構えてしまうお巡りさんとも、この日は笑顔で触れ合い体験。普段聞けない、あんなこと、こんなこと、聞いてみてはいかがでしょうか?木漏れ日の下にたたずむ2台のADO16(ヴァンデン・プラ・プリンセス)。手前のクルマも後方のクルマもいずれもツートンカラーが美しい。砲弾型ミラーが好い雰囲気を醸し出している。「あだ名は水中眼鏡だったんだよ」、「へぇー」。訪れた老夫婦が楽しそうに会話していた。後方には三菱ミニカの姿も見える。アルファ軍団。手前のスパイダーなど新車と見紛うほど美しい。気持ちよい秋の日差しが心地よい。パレードに出かけるジュリア・スパイダー。車もクラシックなら、カッコ良いひげを蓄えて乗っている紳士も、やっぱりヴィンテージ。DSの群れ。3台目のDSはあえてレストアをしない状態での展示。来年には美しい姿を披露してくれるはず………かな?DSの向こうにはCXやGSも見える。決して子どもの足漕ぎジドウシャではない!!さてこの車の名前は………?(正解は下の方に。どうぞスクロールしてください)このイベントの常連のポルシェ912パトカー。後で適当に塗ってそれ風にしたのではなく、ちゃんとした歴史を持つ、まごうかたなき元警察車輛だ。車をのぞき込む田舎紳士も興味津々。なぜかアルファロメオの数が多いのもこのイベントの特徴。日向ぼっこするスパイダー。絶好のお天気だし、そろそろ幌を開けてはいかが?(笑)お菓子屋(ケーキ屋)さんの持ち込んだシトロエン2CVフルゴネット。(カラーデザインは、故今村幸治郎氏)これが一番正しいフルゴネットの使い方といえよう。マルーンの縦目のメルセデスベンツ250S(コードネームW108 エンジンは6気筒SOHCのM180)は世田谷からやってきた。白いステアリングホイールが、いかにも当時のメルセデスベンツらしい。対抗式ワイパーにご注意。車の向こう側には、現地の名物である「焼きまんじゅう」の販売車も見える。素朴で美味しいソウルフードだ。故今村幸治郎画伯のブースでは、可愛くて素敵なオリジナルグッズを息子さんが販売していた。スーパーカー世代にはあらためて言うまでもない2台。ランボルギーニ ミウラとフェラーリ ディーノ(Dino 246 GT)。どちらもミントコンディションであった。2台のフェラーリに挟まれたシルバーの車の名前をさらっと言えたらなかなかのエンスージャスト。CAR検2級には受かるかも(笑)。正解はフィアット ディーノ クーペ2400。もちろんデザインはピニンファリーナ。ワイヤーホイールまで徹底的に磨きこまれたジャガーMK2 3.8。オートマチックトランスミッション仕様であった。パレードに出かける車輛を激撮するモータージャーナリスト&フォトグラファーの沼田 亨氏。この手のイベントでは知らない者はいない名物男だ。グリーンメタリックにアイボリー色の内装が美しいメルセデス・ベンツ280SL(コードネームW113)。二桁ナンバーに注目。この車も常連である。その向こうにはポルシェ914も見える。パゴダルーフと呼ばれるこのモデル、今回の旅仲間、「AK氏」も、「メルセデスは今一つ好きになれないが、このモデルだけは別だ」と本音を吐露した。やさしい色に塗られたロータス エランS 3 DHC。オープン日和のいいお天気で良かったですね(^^。目をたててディスプレイしたところが可愛い。パレードに行ってらっしゃーいませ~。街中のいたるところで手を振ってくれるので、腕はシッカリ鍛えておきましょう!この車が分かったらかなりのエンスージャスト。正解はヴィニャーレのフィアット500ガミーネ。1967年から作られたモデル。もちろんベースはフィアット500。……と知ったかぶりをしているが、私もまったくこの車が何かわからず、友人の超エンスージャスト、大野マコチ氏が教えてくれた。ありがとう、持つべきものは友である。もう一台、色違いのヴィニャーレのフィアット500ガミーネ。グリルがどことなくランチア風だ。パレードに出かける車たちの末尾にはちゃんとトランスポーターも走る。こういう壊れやすい車たちにとっては、実に安心で心強いサポートの配慮だ。(笑)「クラシックカー フェスティバル in 桐生」は毎年、国立大学である群馬大学の理工学部のキャンパスで開催されている。素晴らしい。我々にとっても桐生のグルメを楽しむのを含めて、年に一度訪れるのが楽しみな年中行事となっている。(笑)また来年桐生で会いましょう。それまで車も人もみんなお達者で!Text & photo: 大林晃平 / Auto Bild Japan
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