F-35がエンジン1基なのは気にくわない
2025年5月15日、アメリカのドナルド・トランプ大統領は滞在中のカタールで、新型戦闘機F-55を開発するという驚くべきスピーチを行いました。
「我々はF-35のアップグレードを行っており、これをF-55と呼ぶ。F-35はエンジンが1つだが、私はエンジンが1つしかないのは(安全性の面で)好きではない。もし適正な価格が実現すれば、F-35のエンジン2基を搭載した大幅なアップグレードになるだろう」とトランプ大統領は発言。これに対し、軍事の専門家や記者、軍関係者は一様に唖然とし、混乱の渦が一気にSNS上に広がりました。
まず、F-55という型番自体が現在のアメリカ軍戦闘機のナンバリングに存在しません。アメリカ空軍は、1か月ほど前に第6世代戦闘機「NGAD」(次世代航空支配戦闘機)について、F-47の名称であると公式発表したばかりで、その直後に新たな「Fナンバー」を冠した機体が登場することは極めて異例だと言えます。
しかも、F-55なる機体の設計思想があまりに唐突すぎます。トランプ大統領いわく、それは「F-35を双発にしたような戦闘機」であると言います。要するに、単発機であるF-35にもう1基エンジンを追加するだけという粗雑な説明です。
F-35は現在「ブロック4」と呼ばれる性能向上型の開発が進んでおり、ある程度アップグレードの道筋が計画されていますが、このようなエンジン双発化という大規模な改修案は、これまで明らかにされていませんでした。
トランプ大統領の言う「F-35の双発化」に軍事的合理性は存在するのでしょうか。F-35は単発機としては最大級のエンジン推力を持ち、搭載するF-135ジェットエンジン1基でF-15「イーグル」のエンジン2基ぶんのパワーを有しています。すなわち、単発でありながら高い搭載力を重視した機体だと言えるでしょう。これを双発にすれば、トランプ大統領が特に強調したエンジン停止時の安全性確保や、推力が理論上倍加したことによる飛行性能や搭載量、航続距離の向上を実現できるかもしれません。
米空軍やメーカーは一切言及なし
しかし実現には高いハードルがあります。F-35はF135エンジンを単発で搭載することを前提に最適化された設計となっており、仮にこれを双発化するとなると、機体のアップグレードというよりも完全に設計を改める必要があります。新規に設計するとなると、その開発費は数兆円レベルに膨らむことがほぼ確実でしょう。
このF-55の発表について、F-35の開発元であるロッキード・マーチン社や、アメリカ空軍は何ら公式発表を行っていないため、これはホワイトハウス内で立案された計画なのではないでしょうか。トランプ政権はしばしば何の調整もなく、突然思いつきを発表してしまうクセが間々あります。そのことを鑑みると、F-55の計画も具体的な内容は一切存在しない可能性もかなり高いと言えます。
またトランプ大統領は、F-55と同時に「F-22スーパー」と呼ばれるF-22改修案が存在することについても言及し「世界で最も美しい戦闘機はF-22だと思うが、我々はF-22スーパーを開発する予定で、これはF-22戦闘機の非常に現代的バージョンになるだろう」と語っていました。なお、こちらについては実現性の点においてF-55よりも可能性は高そうです。
結局のところ、F-55という名の戦闘機は今のところアメリカ空軍のどの計画書にも存在しません(少なくとも明らかにされていない)。つまり、構想、設計、研究すらなされておらず、名称すら不明な幻の機体だと言えます。そうした存在しない兵器を通じて見えてくるのは、ときとして軍事テクノロジーが政治的演出や幻想の材料に利用されるという事実でしょう。(関 賢太郎(航空軍事評論家))
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みんなのコメント
トランプはすべての分野が素人で思いつきを言うだけでしょ。
「僕の考えた最強の戦闘機」(エンジン2倍で強さ2倍)
「貿易相手国への罰金としての関税引上げ」(自国民の負担との認識欠如)
ある意味すがすがしい。