2026年4月8日、東風日産は新型電動SUV「NX8」を中国市場で発表した。日産が中国で展開する「Nシリーズ」の第3弾であり、シリーズ初のSUVとなる。
デザインやスペック、価格のバランスに優れた一台で、中国専売にとどめておくには惜しい内容だ。新型NX8の詳細をご紹介しよう。
【画像ギャラリー】なんと約300km分を約6分で補給可能 日産が中国で発表した高級電動SUV「NX8」(20枚)
文:立花義人、エムスリープロダクション/写真:NISSAN
800V対応BEVとREEVを用意
2025年4月に発売されたフル電動セダンの「N7」、同10月に発表されたPHEVセダン「N6」に続く、日産の中国合弁企業、東風日産乗用車公司(DFN)による電動モデル群「Nシリーズ」の第3弾として登場した「NX8」。
ボディサイズは全長4870mm、全幅1920mm、全高1680mm、ホイールベース2917mm。日本への再投入が明らかとなった北米日産のSUV「ムラーノ」に近いサイズ感で、堂々とした体躯と伸びやかなプロポーションを備える。
プラットフォームには最新の「天眼アーキテクチャー2.0」を採用し、パワートレインはBEVとREEV(レンジエクステンダーEV)の2種類を用意。
BEVは後輪駆動で、最高出力215kW(292PS)または250kW(340PS)のモーターを搭載。バッテリー容量は73kWhまたは81kWhで、航続距離はCLTCモードで最大650kmと公表されている。電動システムには800Vシステムが採用され、5Cの急速充電に対応。充電は10~80%を約12分、約300km分を約6分で補えるという。CATL製のリン酸鉄リチウムバッテリー「クラウドシールドバッテリー2.0」を搭載し、クラウドによる24時間監視機能も備えるなど安全性にも配慮されている。
一方のREEVは1.5Lターボエンジン(108kW)に250kWの電動モーターを組み合わせた構成。ガソリン使用時の燃費は4.51L/100km(約22.17km/L)とされ、EV走行距離は310km、総合航続距離は1450kmに達する。
価格は約15万9900~20万9900元(約370~490万円)。装備内容とスペックを踏まえると、価格競争力は高いといえる。
「全席が主役」を掲げた室内設計と実用性
車内のつくりも充実している。「すべての座席が主役」という理念のもと、どの座席でも快適な移動ができるよう配慮されており、室内は全長4.9mのボディを活かしたゆとりある空間に仕上げられている。後席のヘッドルームは最大1285mmを確保し、子どもであれば車内で着替えができるほどの余裕をもたせた。ラゲッジ容量も773Lを確保し、日常の買い物からレジャーまで幅広く対応する。
また、マイナス6度から55度まで設定可能な両開き式の車載冷蔵庫や、ペットを車内に残した際に警告と温度管理を行う「ペット保護モード」など、ユーザーの利便性を追求した機能も盛り込まれている。
インフォテインメントシステムも最先端だ。15.6インチのデュアルディスプレイと10.25インチのメータークラスターに加え、中国市場向けの高性能OS「Nissan OS 2.0」を採用。さらに約63インチ相当の大型AR-HUD(拡張現実ヘッドアップディスプレイ)を標準装備し、視認性と先進性を両立する。オーディオには25スピーカー、総出力2,000Wのシステムを搭載し、アンビエントライトやAI音声操作と合わせ、上質な車内体験を提供する。
運転支援システムは、中国の自動運転技術大手「Momenta」と共同開発したものを採用。LiDARを含む計29個のセンサーを駆使し、高速道路から都市部まで対応するNOA(ナビゲーション・オン・オートパイロット)を実現する。自動駐車支援機能も備え、日常の運転負荷を軽減する設計だ。
日本導入の可能性は現時点低い
NX8は、中国で競争が激化する電動車市場に投入されたモデルだ。現地メーカーとの競争が厳しさを増すなかで、装備や性能を高い水準でまとめてきた一台といえる。
その実力をぜひ日本でも見せてほしいところだが、NX8は中国市場を主眼に開発されたモデル。東風日産が主導し、現地のプラットフォームやOSを採用していることを考えても中国専用モデルとしての性格が強い。
日本市場における日産のBEVラインナップは、アリア、リーフ、サクラと軽~中型モデルしかなく、NX8のように装備と居住性を重視したBEVは用意されていないが、日本では高速充電に対応した充電設備が圧倒的に不足していることや、NX8には現時点で右ハンドル仕様の設定がないこと、1,920mmという全幅などを考慮すると、残念ながら日本市場への即時の導入は現実的とはいいがたい。
しかし、日産は中国を重要な電動化拠点と位置づけており、Nシリーズはその中核を担う戦略車だ。将来的には他地域への展開も示唆されており、グローバルモデルへ発展する可能性が完全に閉ざされているわけではない。また、日本投入がないとしても、中国で培われた技術や商品企画が今後どのように他地域へ展開されていくのかは日本のユーザーとして注目すべきポイントだ。中国市場の動向からは、今後も目が離せそうにない。
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みんなのコメント
この事は、海外の老舗モーター誌などでも度々特集されています。
また、ジーリーのように、メルセデスの大株主となり、ボルボやロータスといった老舗企業をまるごと買収してノウハウや特許の全てを入手している企業もあります。
CATLとBYDの猛烈なバッテリー開発競争もそうですが、とにかく人口の数がハンパないので、国そのものを巨大な実験場にして凄まじいスピードでトライ&ゴーを繰り返している。
結果、トヨタの新型bZ7などは中国テックの集合体のような新車になっています。
かつての中国車とは別次元で勝負が繰り広げられているため、15~20年前から印象がアップデートされていない状態のまま、相手を甘く見ないことだと思います。